『ノンフィクションW 格闘球技ウィルチェアーラグビー 十二人の戦士と百の言葉』 崔洋一監督「人間が永遠に記憶し続ける物語を」
あなたは「ウィルチェアーラグビー」をご存じだろうか。数あるパラスポーツの中でも“最も激しい競技”と言われ、1チーム4人の選手がマシンのような競技用車いすに乗り、ボールを前へと運びゴールを狙う。そのスピード、迫力、高度な戦術は、観る者を惹きつける。WOWOWでは3月12日(土)、リオ・パラリンピックでのメダル獲得を狙うウィルチェアーラグビー日本代表に、映画監督・崔洋一が密着したオリジナルドキュメンタリー 「ノンフィクションW 格闘球技ウィルチェアーラグビー 十二人の戦士と百の言葉」を放送する。放送に先立ち、自身が番組化を熱望したという崔監督によるトークショー付き試写会を開催。制作舞台裏のエピソードや、作品に込めたメッセージを語った。
崔洋一監督「アスリートとしての美しさに迫る」
長きにわたり世界4位だった日本代表が、リオ・パラリンピック本大会出場の切符を手にする半年間の軌跡を追いかけた本作品。崔監督自身、国内各地に留まらず、オーストラリアにも足を運び、選手や関係者と同じ時間を共有するなかで、リアルな言葉の数々を紡ぎ出していった。「タイトルに“百の言葉”とありますが、これは認識しやすい単位に置き換えただけで、実際は数え切れない言葉が存在し、彼らのプレーや存在そのものも言葉だと思う」と崔監督は話す。実際、言葉を通じて作中から溢れ出す出演者たちの感情は観る者の胸に突き刺さる。「障がいは個性」と話す日本代表エース・池崎大輔選手は「むしろ自分たちを可哀想だと思っている人たちが可哀想」と言い放つ。
崔監督は「(作品制作は)自分が興味を持つことから始まるが、それ以前に個々の選手達に惹かれていく自分がいた」と話す。作中では、怪我や病気に苦しんだ過去や、社会環境に苦悩する選手たちの一面も描かれているが、彼らはいたって明るく、次第にその空気感に引き込まれていく。
「アスリートとしての美しさや強さを基準に僕らは近づいていく必要がある。そこがスポーツに人間が共鳴・共感を示す一番大切な根本であり、これからの障がい者スポーツの中でも重要な観点になってくると思う」。崔監督のその言葉が意味する通り、彼らの戦う姿に健常者との違いなど微塵も存在しない。
「記録を超えて記憶に残る作品を」
日本は、宿敵オーストラリアなども出場した昨秋のアジア・オセアニア チャンピオンシップでニュージーランドに勝利し、リオの切符を手にする。池崎選手は「メダルを取ることで、講演など色々なことができるようになる」と本大会でのメダル獲得に意欲を燃やす。チーム関係者が「障がい者スポーツのアスリート雇用が一つの企業にとってもステータスとなり、障がい者のライフスタイルの形になって欲しい」と話すように、障がい者にとってより良い社会の実現にはまだまだ課題が多い。
「彼らはスポークスマンとしての役割を強く担っている」と崔監督は話す。競技を通じて自分たちの存在を認めさせ、より良い社会を自らの手で切り開いていこうとする気概がこの作品から伝わってくる。彼らにとって、パラリンピックとはそれほど大きな使命を背負う大会だ。
「これから10年は追いかけ続け、彼らと同じ時間を過ごしたい」と話す崔監督は、最後に「記録を超えて人間が永遠に記憶し続けなければならない物語に僕自身もコミットしていきたいし、スポーツの本質に近づいていきたい」と語った。
◆WOWOW放送情報◆
ノンフィクションW 格闘球技ウィルチェアーラグビー 十二人の戦士と百の言葉
3月12日(土)午後1:00 【WOWOWプライム】
http://www.wowow.co.jp/documentary/original/
【WOWOW開局25周年記念】
IPC×WOWOW パラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM
2016年秋スタート予定
http://www.wowow.co.jp/documentary/whoiam/
公式Twitter:@wowowparalympic
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