【岡山大学】タマネギの動原体は、動き回っている〜染色体のE pur si muove〜

2025(令和7)年 6月 19日
国立大学法人岡山大学
<発表のポイント>
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移動しないと考えられていた動原体が、タマネギでは頻繁に移動することを発見しました。
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ニンニクが、これまで報告された中で最も大きい動原体をもつことが明らかになりました。
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これらの発見は、動原体の常識を塗り替え、他の生物の動原体研究にも新しい視点を与えます。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の学術研究院先鋭研究領域(資源植物科学研究所:大麦・野生植物資源研究センター)の長岐清孝准教授と学術研究院環境生命自然科学学域(農)の牛島幸一郎教授らの共同研究グループは、ネギ、タマネギ、ニンニクの多くの系統を用いたセントロメア(動原体の存在する染色体上の位置)の解析により、
(1)タマネギのセントロメアが頻繁に移動していること
(2)ニンニクは、これまで報告された中で最大のセントロメアをもつこと
を明らかにしました。
これらの研究成果は2025年6月10日、米国の植物科学雑誌「The Plant Cell」のResearch Articleとしてオンラインで公開されました。
セントロメアは、「くびれ」として染色体の形を表記する際のランドマークとして使われ、それぞれの種で固有の位置に存在し不動であると考えられてきました。ところが、本研究で、タマネギの動原体は移動し続けており、品種間のみならず、個体間でも違う位置に存在することが明らかになりました。
この発見は、セントロメア研究分野において、地動説のようなインパクトを持ちます。高校生物の染色体観察の教材として馴染み深い生物に、このような新発見が隠されていたのは驚きです。
今後は、セントロメアが移動する原因や「他の生物では移動するのか?」、そして「ニンニクよりも大きなセントロメアをもつ生物はいるのか?」を明らかにしていきます。将来的には、セントロメアを人為的に動かすことによる品種改良も可能かもしれません。

◆長岐清孝准教授からのひとこと
学生の頃から「セントロメア(動原体)は、ランドマークだから動かない(”動”原体でも動かない)」と教わり、その北極星のような存在のセントロメアが動きまくっているのを発見した時は、定説を覆すこの結果に対して、思わず「E pur si muove(それでも、それは動いている)」と言いたくなりました。

◆論文情報
論 文 名:Pancentromere analysis of Allium species reveals diverse centromere positions in onion and gigantic centromeres in garlic
掲 載 紙:The Plant Cell
著 者:Kiyotaka Nagaki, Koichiro Ushijima, Takashi Akagi, Keisuke Tanaka and Hisato Kobayashi
D O I:https://doi.org/10.1093/plcell/koaf142
U R L:https://academic.oup.com/plcell/advance-article/doi/10.1093/plcell/koaf142/8159937
◆研究資金
本研究は、東京農業大学生物資源ゲノム解析センター生物資源ゲノム解析拠点共同研究の支援を受けて実施しました(課題番号H25-12)。
◆詳しい研究内容について
タマネギの動原体は、動き回っている〜染色体のE pur si muove〜
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r7/press20250618-1.pdf
◆参 考
・岡山大学資源植物科学研究所(IPSR)
https://www.rib.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学資源植物科学研究所 統合ゲノム育種グループ
https://www.rib.okayama-u.ac.jp/nucleus/IGBj/index.html
◆参考情報
・【岡山大学】個人で手軽にAI(人工知能)による画像自動分類が可能に! ~様々な分野の研究の省力化に貢献~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000308.000072793.html
・セントロメアが速く進化するしくみ-セントロメアクロマチンを標的にレトロトランスポゾンが転移する-〔東京大学,国立遺伝学研究所,北海道大学,岡山大学,京都産業大学〕
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002843.000072793.html



◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 先鋭研究領域(岡山大学資源植物科学研究所大麦・野生植物資源研究センター) 准教授 長岐清孝
〒710-0046 岡山県倉敷市中央2-20-1
TEL:086-434-1208
FAX:086-434-1208
https://www.rib.okayama-u.ac.jp/nucleus/IGBj/index.html
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1398.html
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8745、086-251-8746
FAX:086-251-8748
E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://venture.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
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