仏像ツウになる “3つの視点” とは? 大人のための文化・教養誌『サライ』最新号は、あたらしい「仏像」の見方を大特集
『サライ』 8月号、小学館より7月9日発売

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『サライ』2025年8月号
2025年7月9日発売
特別価格1100円(税込)
小学館
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『サライ』公式サイト… サライ.jp
『サライ』公式X(旧twitter)・・・@seraijp
・大特集/あたらしい「仏像」の見方
仏像の時代を超えた美を鑑賞するためには、仏がなぜ作られたのかを多角的に見る必要があります。
「時代の祈り」「仏師と流派」「素材と技法」の3つの視点で、100体を超える美仏を鑑賞し尽くします。
時代の祈りから見る
仏教伝来時には「異国の神」だった仏像。ひとびとの祈りを受けて、その役割は変わっていきました。
奈良時代に、鎮護国家の象徴として。平安前期は現世の願いを叶えるため、平安中期、後期には来世へ導くものとして。時代と共に、その容貌と佇まいがどのように変化をしていったのかを詳しく解説します。
仏師と流派から見る
日本で最初の “仏師” は飛鳥時代、渡来系の鞍作止利(くらつくりのとり) とされます。奈良時代から平安時代前期、仏師は官寺(朝廷が設立した寺)の官営組織に属したいわば公務員でした。その後、平安時代後期になると、独立した工房を持つ仏師が現れ、中でも定朝は多数の仏師を抱えて制作に取り組む一方、丸顔で円満な表情の「和様」を確立し新様式を完成。そして鎌倉時代には、天才仏師・運慶と、その一門の慶派が活躍していきます。渡来人から始まった、日本の仏像造りが、芸術性の高い専門仏師の活躍する時代にいたるまで、歴史や系譜とともに美仏を案内します。
素材と技法から見る
金銅を頂点に、漆、木、石、土と、素材によって仏格がわかるという仏像。
土を捏ねて思いのままに造形する塑像、漆の質感を最大限に活かした典雅な乾漆像、木に宿る霊性を刻み出す一木造り、そして、表現の幅を広げた寄木造りなど、彫刻家の籔内佐斗司さんが素材別の技法を解説します。

国宝、『九体阿弥陀如来坐像』。
木造・漆箔、像高:中尊224.20cm/脇仏138.8〜145.5cm、平安時代・11〜12世紀。桁行11間に及ぶ長い本堂の内部に9体の阿弥陀如来坐像が並ぶ。写真中央の大きな像が本尊。9体は作風に違いがあり、制作年代や仏師が異なるともいわれる。京都・浄瑠璃寺蔵

国宝、運慶作『大日如来坐像』。
木造・漆箔・玉眼、像高98.8cm、平安時代。台座裏の墨書銘によれば安元元年(1175)11月に制作を開始し、翌年10月に寺に納めたとある。現存する運慶最古の仏像であり、銘記に仏師自ら名を記した最初の例。奈良・円成寺蔵 写真/三好和義

重文、康円作『文殊菩薩坐像』。
木造・金泥塗・彩色・玉眼、像高46.1cm、鎌倉時代。運慶の孫にあたる康円は鎌倉時代中期に活動、新世代の「慶派」一門を率いた。この像は獅子像に乗り従者と海を渡る「渡海文殊」の群像として構成。東京国立博物館蔵 写真/ColBase
・特集/涼味「そうめん」
奈良時代に中国から伝わり、平安時代には貴族の間で欠かせない夏の贈答品となったそうめん。清涼感と喉ごしを楽しめる “夏越しの知恵” として「みやこびと」の間で親しまれていました。今でこそ庶民的な存在となったそうめんを、歴史と文化から紐解き、その軽やかな味わいを毎日楽しむためのアレンジレシピを紹介します。さらに、“手延べ” の技が400年伝承される産地を訪ねるほか、そうめんの名品取り寄せ案内まで。日本の夏を象徴する食文化を深掘りします。

小豆島(香川県)の澄み渡る青空の下で天日干しされるそうめん。400年にわたり伝承されている “手延べ” の技で入念に引き延ばしたそうめんは、乾燥による縮みで麺が切れぬよう、張り具合を調整しながら干す。

京都の名料亭『菊乃井』本店の厨房では、夏、そうめんがまかないに登場する日が増える。写真は菊乃井流 “まかないそうめん” 。具材は煮椎茸、卵豆腐、彩りにすだちやみょうが、食用花などを添える。出汁の比率を多めにした清涼感のある一品。誌面では「京都風」めんつゆのつくり方と、そうめんの茹で方を紹介します。
●サライ・インタビュー/新宮晋さん
1937年大阪生まれ。東京藝術大学絵画科卒業後、イタリアに留学。大阪万博(1970年)での作品で脚光を浴びる。日本を代表する造形作家で、「風や水など自然の力で動く彫刻」の第一人者。「地球に生まれた意味を探求したい」と作品とともに地球10周半の距離を巡った新宮さんに、発想力や実現力の源や、次の時代を担う子どもたちのために進めている活動などを伺いました。

兵庫県立有馬富士公園にある「新宮晋 風のミュージアム」には、9000平方メートルの敷地に、これまでの作品12基が風を受けながら回る。またここは、子どもたちへの活動の拠点でもある。オリジナルのミュージカル公演や、子どもたちの絵を募集し、選んだ作品を彫刻にしてミュージアム内に設置する企画などが行なわれている。
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