【岡山大学】救命の一歩を軽くする 全自動型AEDがもたらす変化

2025(令和7)年 8月 25日
国立大学法人岡山大学
<発表のポイント>
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心停止時のAED使用で、全自動型AEDは一般市民の「ボタンを押すためらい」を軽減しました。
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一般市民は全自動型AEDを好み、医療従事者は半自動型AEDを選ぶ傾向にあることが分かりました。
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全自動型AEDの普及と講習内容の見直しが、今後の救命率向上に必要です。
◆概 要
心停止から命を救うには、一般市民による迅速な初期対応と、電気ショックを行うAED(自動体外式除細動器)の早期使用が欠かせません。AEDには、救助者がボタンを押す「半自動型」と、機械が自動でショックを行う「全自動型」の2種類があります。「全自動型」は2021年から日本で導入され、公共施設で広がりつつありますが、まだ一般市民にはなじみが薄く、非医療者である一般市民が使う際の使用感や心理的負担を比較した調査はありませんでした。
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)学術研究院医歯薬学域(医)地域二次救急・災害医療推進講座の野島剛講師(特任)と同学域救命救急・災害医学の中尾篤典教授らの研究グループは、国内初となる両タイプの使いやすさ比較調査を実施。その成果は国際医学誌『Internal Medicine』に掲載されました。
2021~2022年に行われた心肺蘇生講習で、443人(医療従事者47人、一般市民396人)が両タイプを体験。一般市民は「全自動型」を好み、ボタンを押すためらいが減る傾向が見られました。一方、医療従事者は、使い慣れた「半自動型」を選ぶ傾向があり、「全自動型」は危険と感じる声もありました。
今回の研究は、一般市民にとっては「全自動型」AEDが使いやすく、救命のスピードと成功率を高める可能性を指摘しました。しかし、現状の心肺蘇生講習で「全自動型」の教育がほとんど行われていない課題もあり、誰もが迷わずAEDを使える社会へ向け、講習内容の見直しを提言しています。
本情報は、2025年8月22日に岡山大学から公開されました。

◆野島剛講師と中尾篤典教授からのコメント
心停止では、ためらわず迅速に対応できるかで、その人の運命は大きく変わります。全自動型AEDは、機械が自動的にショックを行うので、みなさんの「ボタンを押す」という心理的な負担を減らしてくれます。市民にとって使いやすいことから今後の普及が期待されます。「いざという時に分からない」では救命できません。ぜひ、全自動型AEDの使い方を今後、講習会などで一緒に学んでいきましょう。

◆論文情報
論 文 名:Differences in the Usability of Fully Automated External Defibrillators between Medical and. Nonmedical Professionals
掲 載 紙:Internal Medicine
著 者:Tsuyoshi Nojima, Takafumi Obara, Takashi Hongo, Tetsuya Yumoto, Hiromichi Naito and Atsunori Nakao
D O I:https://doi.org/10.2169/internalmedicine.4578-24
U R L:https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/64/13/64_4578-24/_article
◆詳しい研究内容について
救命の一歩を軽くする 全自動型AEDがもたらす変化
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r7/press20250822-1.pdf
◆参 考
・岡山大学病院 救命救急科
https://okayama-u-qq.sakura.ne.jp/
・岡山大学医学部
https://oumed.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学病院
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/
◆参考情報
・【岡山大学】子どもを救う“ひと息”が減っている!?~コロナ禍で蘇生時の人工呼吸が敬遠、小児の救命に影響~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003245.000072793.html
・【岡山大学】乳児期のケガは小学校入学前までのケガの再発につながる!~家庭内での事故予防の再確認を~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002747.000072793.html
・【岡山大学】ECMO使用の有無は肺を除き臓器提供後の生着率に影響を与えないことが明らかに ~看取り方の選択肢のひとつである臓器提供について適切な情報提供を~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002256.000072793.html
・【岡山大学】急性呼吸促迫症候群への長期的な水素ガス吸入は、肺内の炎症を軽減し、慢性期の呼吸機能低下を緩和する
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000517.000072793.html


◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(医)地域二次救急・災害医療推進講座 講師(特任) 野島 剛
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学鹿田キャンパス
TEL:086-235-7427
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1427.html
<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
岡山大学病院 新医療研究開発センター
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/
<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-235-7983
E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8745、086-251-8746
FAX:086-251-8748
E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://venture.okayama-u.ac.jp/
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