WOWOW国際共同制作プロジェクト最新作「SACRED~いのちへの讃歌」が東京国際映画祭でワールドプレミア! トーマス・レノン監督と『FAKE』森達也監督が登壇
WOWOWが手掛ける国際共同制作プロジェクト最新作「SACRED~いのちへの讃歌」が第29回東京国際映画祭の特別上映作品に選ばれ、11月1日にTOHOシネマズ六本木ヒルズにてワールドプレミア上映を果たした。この作品は、ニューヨーク公共放送WNETと連携したWLIW LLCによるWOWOWとの国際共同制作プロジェクトで、上映後にはトーマス・レノン監督と『FAKE』の森達也監督によるティーチインイベントも行われた。
本作では40もの制作チームが世界中から参加。各クルーはそれぞれのロケーションを物語の1シークエンスとして担当、取材対象の個人的なシーンや大規模な祭事などの撮影を丹念に行った。しかしながらクリエーター同士はお互いに一度も顔を合わせていない。そんなユニークなスタイルについてレノン監督は「ニューヨークのオフィスを一歩も出ないで作るというやり方は誰もやったことがないし、できるかどうかも分からなかったですが、とにかくやってみました」と述懐。そのやり方について「インターネットを使って、世界中のフィルムメーカーたちに連絡をとりました。彼らは地元の文化や宗教、信仰などについて、僕らよりも詳しいはずなので、この映画に必要なシーンを彼らに依頼して撮ってもらうようにお願いした。単にクラウドソーシングとして、誰かが撮ったシーンを取り寄せたのではなく、実際にわたしが演出した映像を撮影し、送ってもらった。こういうやり方をしたのは初めてだったし、いい経験だった」と解説した。
レノン監督も「まさに森さんの言う通り。ただ、宗教はあれほどのパワーとエネルギーを持ってるものなので、すごく恐ろしいものにもなり得るんです。イギリスのラバイがとてもいいことを言っていたんですが、宗教的な信仰心というのは火のようなものであると。温めることもできるが、焼き尽くすこともできる」とコメント。そんな二人の刺激的な話の数々に、観客は熱心に耳を傾けていた。
WOWOWオリジナルドキュメンタリー 国際共同制作プロジェクト
「SACRED~いのちへの讃歌」
第29回アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭パノラマ部門正式出品
2017年 春 WOWOWにてプレミア放送
あらゆる人々の日常にあまた存在する“祈り”や“信仰”の経験を紡ぎあわせ、それらの大切さを探っていく本作。大勢の観客で埋まった場内を見渡したレノン監督は「今日は来てくださってありがとうございます。2年半の長い旅路が終わり、ここに来られてすばらしいと思っています」と晴れやかな表情。一方の森も「宗教を持っているのは人類だけですが、その宗教が、歴史的にも争いの元になってきました。そして特に今、そういったことが色濃く大きな問題になっています。僕はかつてオウム真理教のドキュメンタリーも撮ってきましたし、宗教というのはいろんな意味で考えなければいけない大事なものだと思っているので、とにかくこの映画は、ひとりでも多くの人に観てもらいたいと思っています」と呼びかけた。
2007年にドキュメンタリー作品「The Blood of Yingzhou District」でアカデミー賞を受賞するなど、数多くの作品を手がけているレノン監督だが、今回の制作方法は特殊だった模様。
本作では40もの制作チームが世界中から参加。各クルーはそれぞれのロケーションを物語の1シークエンスとして担当、取材対象の個人的なシーンや大規模な祭事などの撮影を丹念に行った。しかしながらクリエーター同士はお互いに一度も顔を合わせていない。そんなユニークなスタイルについてレノン監督は「ニューヨークのオフィスを一歩も出ないで作るというやり方は誰もやったことがないし、できるかどうかも分からなかったですが、とにかくやってみました」と述懐。そのやり方について「インターネットを使って、世界中のフィルムメーカーたちに連絡をとりました。彼らは地元の文化や宗教、信仰などについて、僕らよりも詳しいはずなので、この映画に必要なシーンを彼らに依頼して撮ってもらうようにお願いした。単にクラウドソーシングとして、誰かが撮ったシーンを取り寄せたのではなく、実際にわたしが演出した映像を撮影し、送ってもらった。こういうやり方をしたのは初めてだったし、いい経験だった」と解説した。
本作の感想を聞かれた森は「日本でも、最近では東日本大震災の時に神も仏もないのかという思いをした人はたくさんいます。もし神がいるならば、神はとても無慈悲です。でも時には優しい。どちらかではなく、いろんな面がありますし、信仰とはそういったもの。それは見る僕たちの意識によって全然変わってしまう」と語った。加えて、「今、大学で学生に教えているんですが、まず学生に言うのはモスクに行けと言うこと。しかし彼らはみんな怖がります。モスクに行ったら帰ってこられないんじゃないかと本気で言う人もいます。でも行かなきゃ単位をやらないと言うと、みんな泣きながらモスクに行きます」と切り出した森は、「でもモスクから帰ってきたら、ムスリムの人はみんな穏やかでピースフルで。自分が思ったのと違うと報告してくれます。これが今の日本の状況。信仰がどうこうというよりも、リテラシーを身につけないといけないなと思っています」とコメント。
レノン監督も「まさに森さんの言う通り。ただ、宗教はあれほどのパワーとエネルギーを持ってるものなので、すごく恐ろしいものにもなり得るんです。イギリスのラバイがとてもいいことを言っていたんですが、宗教的な信仰心というのは火のようなものであると。温めることもできるが、焼き尽くすこともできる」とコメント。そんな二人の刺激的な話の数々に、観客は熱心に耳を傾けていた。
WOWOWオリジナルドキュメンタリー 国際共同制作プロジェクト
「SACRED~いのちへの讃歌」
第29回アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭パノラマ部門正式出品
2017年 春 WOWOWにてプレミア放送
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