介護保険の申請は「必要になってから」が63%。未認定層の制度理解不足も明らかに|介護マーケティング研究所 by 介護ポストセブン

株式会社小学館

介護保険制度は、多様な介護サービスを提供し、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活ができるように2000年に創設された、社会全体で介護を支え合う仕組みです。

超高齢社会の深化に伴い、公的介護保険制度はもはや単なる社会保障の一環ではなく、国民の「生活インフラ」としての重要性を増しています。しかし、実際に申請方法や相談先などの必要な情報はどれくらい浸透しているのでしょうか?

介護マーケティング研究所は、「介護のなかま」2,784人を対象にした調査により、介護保険制度の利用実態と、制度に対する認識の間にある障壁を明らかにしました。

【2025年調査】介護保険制度の認定に関する調査

◆調査概要

公的介護保険制度は社会にとって重要な制度である一方で、利用実態や制度に対する意識は十分理解されていません。

そのため、利用者および未利用者の回答から、制度利用の現状と背景を明らかにします。

◆アンケート概要

調査主体:介護マーケティング研究所by介護ポストセブン

調査方法:インターネットによるアンケート調査

調査対象:『介護ポストセブン』会員組織『介護のなかま』登録者

調査地域:全国(国内)

調査期間:2025年8月15日(金)~9月2日(火)

有効回答者数:2,242名

∟要介護認定を受けた経験あり : 1,184名(53%)

∟要介護認定を受けた経験なし : 1,058名(47%)

【調査サマリー】

  1. 要介護認定は「身体状況の変化」をきっかけに申請する傾向

  2. 介護保険申請は「大変」が64%。申請手続きの負担が課題

  3. 未認定者層の多くが制度について詳しく「知らない」

  4. 制度の将来や費用負担に不安を感じている人が多数

調査詳細

◆要介護認定は「身体状況の変化」をきっかけに申請する傾向

要介護認定を受けた経験がある1,184名を対象にした「要介護認定が必要な状況になることを想定していましたか?」の質問には750名(63%)が「想定していた」と回答しました。

しかし、同対象に行った「要介護認定を受けようと思ったきっかけは何でしたか?」と申請のきっかけを尋ねたところ、「要介護者の身体能力の低下(41%)」や「入院・退院後のサポートのため(35%)」など、介護の必要性が顕在化した段階で申請を意識したという回答が上位を占めました。

介護保険は必要性が顕在化した段階で検討される傾向

介護保険申請は「大変」が64%。申請手続きの負担が課題

 要介護認定の申請手続きについては、申請経験者の約64%が「とても大変」または「どちらかと言えば大変」と回答しました。

申請手続きは時間的・労力的負担として認識されている

申請手続きが負担と感じられる理由として、「申請書類の作成」や「認定までに要する時間の長さ」が指摘されています。

・何も知らない状態で相談~利用できるようになるまで色々と大変で時間も掛かった [54歳 女性]

・何度も区役所へ行き、その後包括センターへ行き、面接を数回。そのあとまた区役所へ……普通に働いていたら無理 [59歳 女性]

・書類作成がかなり大変でした [56歳 男性]

・書類を市役所でもらう時に、時間がかかり過ぎた事が残念でした!半日かかりました! [41歳 男性]

介護や仕事をしながら申請に時間と労力を割かなければならないことが、主な負担の原因になっています。

◆未認定者層の多くが制度について詳しくは「知らない」

 要介護認定を受けた経験がない1,058名を対象に、「要介護認定の申請方法」「地域包括支援センターの役割」「ケアマネジャーの役割」それぞれの認知度を調査したところ、すべての項目で「知らない」が半数を超えるという、周知が不足している厳しい状況が示されました。

未認定者層では制度内容の具体的理解が十分に浸透していない

 理解不足の背景には、「わからないことが多い」ことによる困惑の声が多く挙がりました。

・頼りにしたいとは思っているが、手続きなどよくわからないことが多い。そのうち調べようと思ってはいるが、なかなか取りかかれない。 [44歳 女性]

・介護保険を申請・認定されると、どの様なサービスを受けることができるのか、知識が全然ない。 [73歳 男性]

・わかりにくく、受けたくても躊躇してしまう [69歳 男性]

◆制度の将来や費用負担に不安を感じている人が多数

 公的介護保険制度についてどう思うかの自由コメントでは、多くの人が制度そのものに対し、根深い不安を抱えていることが明らかになりました。

【自己負担額や将来の支払額への不安】

・助かる制度ですが、もっと負担が減れば嬉しいです [49歳 男性]

・結局はお金が掛かるし年々高くなってる [51歳 女性]

・現役世代の負担が増えているので、もっと負担を減らす方向で進めてほしい [41歳 男性]

【制度の持続性への懸念】

・介護保険が充実されてないし、人手不足であり、いずれ崩壊する。受けたくても受けられない [39歳 男性]

・持続可能な制度設計なのか現役世代の負担が増しているので、この先どうなるのか過剰な介護サービス提供している会社を取り締まってほしい [41歳 男性]

・大事な制度だと思うが、親の世代は人口多いのでちゃんと利用出来るか心配 [55歳 女性]

・今後制度を維持していけるのか不安がある [51歳 女性]

【家族への経済的負担の心配】

・とても助かる制度だと思います。ただ、自分がいずれ施設への入所を考えると年金で足りるのか不安があります。子どもたちに迷惑はかけたくないし、お金の不安なく利用して生活出来る制度であってくれたら嬉しいです [44歳 女性]

・子供や姉妹への負担や迷惑等を考えたら、介護認定を受けて施設入居したほうが本人としては安心出来ます [78歳 男性]

・よく知らないが、自分が要介護状態になった時、介護保険と年金でまかなえるのか、子供たちに迷惑が掛かるのではないかと心配 [66歳 女性]

自己負担額や将来の支払額、制度の持続性への懸念に加え、「子どもに迷惑をかけたくない」「年金で足りるのか不安」といった世代間の経済的不安が重なっている状況が窺えます。

◆まとめ|公的介護保険制度は「わかりにくいもの」と捉えられている

要介護認定は「必要になってから」という事後的な対応になりやすく、介護と並行して申請書類の作成と認定のための時間と労力を捻出する必要があり、介護を始めた人のさらなる負担となっています。

また、申請や認定後の利用方法、サービスの種類などの基礎情報の浸透が不十分であるが故に、利用へのハードルが高いことや、制度の将来性と費用負担への不安が介護中の課題の1つになっている可能性が示されました。

公的介護保険制度は、その有効性を事前に周知し、申請~認定までのフローや手続きを簡素化し、制度への不安を払拭することが重要であると考えられます。

※掲載しているデータは調査の一部です。掲載していないデータや自由記述設問に寄せられたコメント詳細については、以下までお問い合わせください。お問い合わせの際は、企業・部署名をご明記ください。

介護マーケティング研究所

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担当:小学館 メディアビジネス局

【出典の記載についてのお願い】

本記事で紹介されている調査データは、自由に引用いただけます。その際は、以下のように出典をご記載ください。

出典:介護保険の申請は「必要になってから」が63%。未認定層の制度理解不足も明らかに(介護マーケティング研究所 by 介護ポストセブン)

https://kaigo-postseven.com/220231

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URL
http://www.shogakukan.co.jp
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区一ツ橋2-3-1
電話番号
03-3230-5355
代表者名
相賀信宏
上場
未上場
資本金
1億4700万円
設立
1922年08月