スキマスイッチ×和田唱(TRICERATOPS)がコラボ! 講義とジョイントライブで届けた『楽演祭 vol.3』
2019年1月17日(木)、別冊カドカワ(KADOKAWA)×昭和音楽大学×ACPC(コンサートプロモーターズ協会)が立ち上げたライブ・エデュテインメント「楽演祭」の第3回目が開催された。今回のゲストはスキマスイッチの大橋卓弥、常田真太郎の2人にTRICERATOPSの和田唱を加えた3アーティスト。昭和音楽大学での講義と、校内にある「テアトロ・ジーリオ・ショウワ」でのライブの様子をお届けする。
“ライブ・エデュテインメント”とは、ライブエンタテインメントとエデュケーション(教育)を融合させた造語で、「楽演祭」は2組のアーティストによる対談講義とジョイントライブを通じ、音楽の楽しさを体感できるイベントとして、2018年1月に第1回目を開催。第3回目となる今回の講義は「音楽プロデューサーとは?」をテーマに、音楽ジャーナリスト・柴那典の進行でスタートした。
今回は、TRICERATOPSの和田唱(左から2人目)とスキマスイッチの大橋卓弥(同3人目)、常田真太郎(同4人目)の計3人が登場。「音楽プロデューサーとは?」をテーマに、いったいどんな話が飛び出すのか?
まずはビートルズのほぼ全作品を手がけたジョージ・マーティンや、ジャズミュージシャン出身のクインシー・ディライト・ジョーンズ二世らの仕事を挙げながら、プロデュースのあり方について探ることに。
「一口に“プロデュース”って言っても、分かりにくいですもんね。曲の雰囲気を作る人や、サウンドから歌詞まで細かくアドバイスしてくれる人と、いろいろなんです」と和田。
「僕があるアーティストさんをプロデュースした時は、とにかくいいところをたくさん褒めました。いまのいいよ〜!って」と和田が話すと、教室内に笑いが起こる
「プロデュースって、はっきりと“これが仕事”というものがないというか」(大橋)
「ずっとセルフプロデュースでやってきたので、他の人が僕らの楽曲を手がけたらどうなるか確かめてみたいなと。一度自分たちなりの答えを出したものにどんな変化が起こるのか。そこでいわゆる職業プロデューサーの方ではなく、アーティスト目線でやってくださる方々にオファーしました」と大橋。
リプロデュースを手がけたスキマスイッチ『マリンスノウ』について「オリジナルは結構コードが変わるんですけど、思いきってサビまでたった2つに減らしました。結果、そのコードに合わせてメロディも変えさせてもらいました」と和田
さらに3人は、原曲とTRICERATOPSプロデュースによる2つの『マリンスノウ』の音源を聴きながら、制作過程を解説。ギターやピアノで実演しつつ、原曲にはあまり出てこなかったFディミニッシュコードを多用した和田バージョンについても、コーラスのハーモニーを実際に歌って聴かせるなど、講義ならではのマニアックなトークが繰り広げられた。
真剣に耳を傾ける学生らを前に、普段はあまり話さない、楽曲制作にあたってのマニアックな話も
「人間は激しさと優しさの両面があって、はじめて奥行きが出るんじゃないかなと。『if』はソフトな面が強調されているけど、ギターはひずんでいるの。綺麗すぎる時は音で汚すとか。いつも両面を入れるようしています」(和田)。
終盤に入ると、互いにリスペクトする曲を挙げながら、それぞれのサウンドメイクについて話し合い。すると、惜しくも講義終了のチャイムが。プロデューサーについての話をはじめ、楽曲の制作風景をのぞき見しているような、濃厚かつ互いへのリスペクトであふれる1時間半であった。
「テーマがプロデューサーということで、でも僕らも答えを知っているわけじゃなくて。僕らが思う、“プロデューサーってこんな仕事なんじゃないかな?”というのを話せたらいいなと思いましたね」(大橋)
「これからこの世界に飛び込んで行く人もいるだろうし、講義を通して興味を持ってもらえたらうれしい。僕も学生時代にこんな講義を受けたことがあって。その時はプロデューサーの方をお招きした場所だったんですが、今でも“音楽プロデューサーと会った!”という感情をはっきり覚えていて。この体験が学生さんたちの背中を押すきっかけになったらいいですね」(常田)
(ステージ)
19時からは大学内にあるホール「テアトロ・ジーリオ・ショウワ」にて、スペシャルライブが開演。まず登場したのは和田唱。『Over The Rainbow』のギターでのインストルメンタルから、昨年リリースした初のソロアルバムのタイトルナンバー『地球 東京 僕の部屋』を披露。まっすぐで伸びやかな歌声に、客席が引き込まれていく。
曲が終わると、「みなさんこんばんは、和田唱と申します。イェイ! スキマスイッチと一緒にステージに立てて、うれしいですね」と気さくな挨拶をした後に、「次は僕の足元にある“ループペダル”を使って、音を重ねながら演奏してみたいと思います。」と、音大でのライブらしいMCから、『矛盾』そして『アクマノスミカ』を披露。
和田の手の動きに合わせ、客席からもクラップが鳴りはじめる。終わると、「音楽のいいところはみんなを一つにすることだからね」と和田
曲が終わるとピアノの前に移動し、「スタインウェイのピアノなんて滅多に弾けないよ!」と『Let It Be』のワンフレーズを披露するサプライズも!「僕、デビューして21年目の去年に初のソロアルバムを作ったんですよ。そこでこのステージではチャレンジングなことをしようと。TRICERATOPSの曲は1つもやらず、全部そのソロアルバムから構成しました」(和田)。
ラスト『Home』の演奏前には「人生は勝負ですよ。僕だって、いつまでたっても緊張するし、分からないこともたくさん。でも大人になったら、おもしろいことがたくさんあります」と語りかけた
和田がステージを降り再び明かりが灯ると、スキマスイッチの2人が登場。 大橋が「どうも、スキマスイッチでーす! なんか静かだね、立ちたい人いたら!」と声をかけ『view』が始まると、観客は一斉に総立ちに。
スキマスイッチの1曲目は『view』
『さみしくとも明日を待つ』を珍しい2人バージョンで
2人の音にも熱がこもる
客席とのコールアンドレスポンスを経て、はじまったのは『ガラナ』。熱いクラップと共に熱気に包まれたのち、最後は「まだ時間ありますかね? 最後にもう一曲やろうか」という大橋の呼びかけから『奏(かなで)』がスタート。ラストのサビはマイクなしで。昭和音楽大学のテアトロ・ジーリオ・ショウワの館内に気持ちよく響く歌声に、誰もが魅了された。
ライブはセッションタイムへ
1曲目の『マリンスノウ』では、美しいハーモニーが響く
まずは大橋と。「音楽の歴史でいうと60年代くらいから語られることが多いんですけどね。いまからやるエヴァリー・ブラザーズ『Crying in The Rain』はビートルズの面々も影響を受けた、50年代の曲です」(和田)。
「レノン&マッカートニーならぬ、“大和田”を結成しました」と和田が笑いを誘い、エヴァリー・ブラザーズ『Crying in The Rain』を大橋と2人でセッション
「これはポールが作ったビートルズの曲。彼はロックンロール以前のスタンダードやジャズにも興味があって、こうした古き良きアメリカの雰囲気ある曲をたまに作っていたんですね」と話し、大橋は客席へ
「アルバム『The BEATLES』、通称ホワイトアルバムに入ってるミュージカルっぽい曲です」という和田の紹介から、『Honey Pie』がスタート。息ぴったりのコンビネーションと軽快なメロディに、自然とクラップが起こった
そして最後は「コールアンドレスポンスから入る?」という常田の提案により、観客も総立ちになって『全力少年』がスタート! ラスト、大橋の「叫べ〜!」という声に、会場のボルテージがマックスに。ステージと観客らが一体となったジョイントライブは終幕を迎えた。
それぞれのオリジナル楽曲にカバー曲と、3人ならではの多彩なステージングは、ステージと観客らが一体となって、終幕を迎えた
−−−初の音楽大学でのライブということで、いかがでしたか?
大橋「すごくいい会場でしたね。歌っててもめちゃくちゃ響くなと。音の制限がなかったり、上手くいったら僕らも何かできるんじゃないかなって思いました」
常田「音がほんとによかったよね」
−−−和田さんは、「このステージはチャレンジ」と話されていましたよね
和田「定番曲はいっさいやらずに、新譜だけで攻めました。まぁ、一人で立っているだけでかなり攻せめてますからね。俺、ホールで一人だよ、みたいな」
大橋「帰ってきてすぐ『一人ホールやべえ!』って言ってたもんね(笑)」
和田「頼れる人が一人もいないから、最後まで気が抜けないっていう。でも世界観は作れたかな? すごく楽しかったです。カバーもよかったよね」
常田「もともとカバーをたくさんやりたいねって打ち合わせもしていたんですよ」
大橋「唱くんとやるってなったときに『Crying in The Rain』が一番最初に思い浮かんで。この曲じゃなくてもエヴァリー・ブラザーズの曲をやりたいなとは思っていました。二声で綺麗にコーラスをやっているグループが合うんじゃないかなと。知らない人ばかりだったと思うんですけど、いいなと感じてもらえたかな」
和田「こんな音楽あるのか!っていうね。ビートルズも、背景はこういう曲なんだよ、こういう時代を意識した曲なんだよって説明しながら演奏できたのがよかったかな。講義みたいに」
−−−講義の流れをくんだ内容だなと感じました
和田「僕的に発見だったのは、ドラムもベースもいないのに、ここまでできるんだなと。歌がよりよく聞こえる感じがして、これも一つの形としてありなんじゃないって。リズムもギターで出せるしね」
常田「もう、(3人で)まわっちゃいます?」
和田「ここもまわって(大橋+和田)、ここもまわって(常田+和田)」
大橋「別々!(笑)」
講義やライブ同様、なごやかな雰囲気でインタビューは終了。「楽演祭」のまた新たな可能性がみえた一夜であった。
1/17(木)楽演祭ライブ セットリスト
【第1部 和田唱】
M-1 Over The Rainbow (GTR inst.)~地球 東京 僕の部屋
----MC---
M-2 矛盾
M-3 アクマノスミカ
----MC---
M-4 1975
M-5 Home (pf.)
【第2部 スキマスイッチ】
M-1 「view」
M-2 「未来花(ミライカ)」
M-3 「さみしくとも明日を待つ」
----MC---
M-4 「ガラナ」
M-5 「奏(かなで)」
【第3部 和田唱×スキマスイッチ】
M-1 マリンスノウ
M-2 Crying in The Rain(大橋/和田)
M-3 Honey Pie(常田/和田)
M-4 if
M-5 全力少年
●「楽演祭」特設サイト:https://gakuensai-betsukado.com/event/vol3
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