イタリアの空質空調メーカーINNOVA社とパナソニックが資本業務提携契約を締結
【訂正】2024年7月9日、本文注釈に誤りがありましたので訂正いたしました。
(訂正前)HFC(ハイドロフルイノーバカーボン)、PFC(パーフルイノーバカーボン)
(訂正後)HFC(ハイドロフルオロカーボン)、PFC(パーフルオロカーボン)
イタリアの空質空調機器メーカーINNOVA社(以下、イノーバ社)とパナソニック株式会社 空質空調社(以下、パナソニック)は、このほど、資本業務提携契約を締結し、パナソニックはイノーバ社発行済株式総数の40%を取得しました。これにより両社は、住宅用給湯・空調・換気事業において、技術開発を中心に、生産、販売などの分野で包括的協業を推進します。
欧州では、環境保護や気候変動対策への関心が強く、脱炭素社会の実現に向けた取り組みがいち早く推進されています。省エネルギーなど環境対応製品への需要の高まりに加え、空調機器の冷媒として使用されているフロンガスは、モントリオール議定書キガリ改正(※1)や欧州Fガス規制(※2)によって温室効果が低い冷媒への転換が不可欠です。
それに伴い、欧州の住宅においても、既存の給湯・暖房用水配管を無駄にせず、それらを活用した給湯・空調の最適化システムや、外観や室内空間を意識したデザイン対応が求められています。加えて、環境に配慮した高気密高断熱住宅が拡がり、換気など室内空気質(IAQ:Indoor Air Quality)改善も含めたトータルソリューションが必要です。
イタリアに本社を置くイノーバ社は、欧州の文化、生活様式に合致した技術・商品開発に強みを持つイノベーション企業です。住宅用水循環型機器(※3)であるファンコイルユニットだけでなく、全館換気システム(全熱交換器)、一体型全館空調などをラインアップし、IoT制御システムや優れたデザインによる家庭内の価値提案が得意です。
一方、パナソニックは欧州で、住宅用ヒートポンプ式給湯暖房機(A2W)、エアコン、業務用ビル用マルチエアコン、パッケージエアコンなどの商材を展開し、2023年、水循環型空調(※4)を手掛けるスウェーデン・システムエア社の空調部門を買収しました。戦略市場と位置付ける欧州でのさらなる事業展開にあたり、特に換気事業の拡大を含む室内の空間価値向上には、イノーバ社の強みを掛け合わせることが必要と判断しました。
イノーバ社とパナソニックは、本資本業務提携により、両社の保有するこれら給湯・空調・換気事業のリソースを融合し、要素技術開発や、顧客の幅広いニーズに対応する製品の共同開発などを進めていきます。快適、省エネ、省施工、建物と調和したデザインの製品を実現し、より付加価値の高い新たなソリューションを創出することで、欧州における最適な室内空間の提供と環境経営を加速させます。
イノーバ社の創業者オレステ・ボッターロは、「グローバルな競争の中で成長し続け、より強くなるためには、当社の才能と創造の精神を、産業界のリーダーであるパナソニックの資質と組み合わせることが適切であると考えました。パナソニックが、当社創業以来の歴史的な関係を踏まえて、私たちの起業家としての能力と精神を信頼し、戦略的パートナーとして投資してくれることに感謝いたします。このパートナーシップの哲学に基づき、イノーバ社は、独自の新製品を生み出すアイデアを育み続けるだけでなく、パナソニックが提供するグローバルな技術サポートによって、快適な生活の未来に向けたソリューションを具現化していくことができます。」と述べています。
空質空調社の社長道浦正治は、「イノーバ社とは早くからA2Wヒートポンプやファンコイルユニットの相互調達関係を経て、協業を拡大してきました。その中で、両社の強みや企業文化に対して理解が深まり、資本業務提携による加速が、お客様及び互いの従業員に対して最適解であると判断しました。イノーバ社で培われた欧州の住宅を熟知した冷温水を循環するノウハウ、換気の経験、そしてそれらを結ぶIoT技術と、当社の調湿技術、デバイスも含めた総合的なヒートポンプ技術を掛け合わせ、顧客に求められる高付加価値なソリューションを提供していきます。」と述べています。
■イノーバ社の概要
(1)社名 INNOVA S.r.l.
(2)本社所在地 Via 1° Maggio, 8 - 38089 Storo (TN), Italia
(3)代表者 Oreste Bottaro
(4)創業 2003年
(5)事業内容 住宅用ファンコイルユニット、全館換気システム、一体型全館空調、IoT制御システムの開発・生産・販売
(6)従業員数 148名(2022年)
(7)販売高 102.7百万ユーロ(2022年)
※1:オゾン層保護を目的とした環境条約。オゾン層を破壊するおそれのある物質の生産・消費を削減する目標と、削減スケジュールなどが定められている。
※2:欧州おいて、京都議定書中のHFC(ハイドロフルオロカーボン)、PFC(パーフルオロカーボン)、SF6(六フッ化硫黄)のフロンガスを規制するもので、2006年7月4日から施行されている。
※3:水循環システムは水を使って室温を調整する為、冷媒循環に比べ、使用冷媒量を削減することが可能。欧州では暖房用で建物に水配管が既に設置されているケースが多い。
※4:業務用チラー、ヒートポンプ式空調、業務用ファンコイルユニットなど。
全文は以下プレスリリースをご覧ください。
▼[プレスリリース]イタリアの空質空調メーカーINNOVA社とパナソニックが資本業務提携契約を締結(2024年2月1日)
すべての画像