「島本和彦 炎の原画展 Ver.3 トキワ荘編 開催記念 島本和彦×藤田和日郎 炎のトークショー」熱血レポート!
ライバルにして盟友。唯一無二の巨匠2人が、アニメイト池袋本店にて激突!? 『うしおととら』藤田和日郎先生が「どうしても許せない」コトってなに?

炎の漫画家・島本和彦先生の画業40周年突破記念、特別企画展「島本和彦 炎の原画展 Ver.3 トキワ荘編」の開催を記念して、アニメイト池袋本店地下2階・アニメイトシアターにて、「炎のトークショー」が開催された。
本トークショーには島本和彦先生はもちろん、先生のライバルにして盟友・藤田和日郎先生も登壇。今もなお漫画界の最前線を走る巨匠たちによる、熱いトークバトルが繰り広げられた。
笑いアリ、感動アリ、サプライズアリ。何でもアリだったトークショー。本稿では、そんなイベントの様子をレポートとしてお届けする。
あなたは“島本派”? それとも“藤田派”?
両先生の登壇前から異様な熱気に包まれる「アニメイトシアター」。『炎の転校生』『逆境ナイン』『燃えよペン』『アオイホノオ』など多数の代表作を持つ島本和彦先生と、『うしおととら』『からくりサーカス』『月光条例』「黒博物館シリーズ」の藤田和日郎先生の登場を、みな今か今かと待っていた。
そんな中まず登場したのは、島本先生の担当編集を9年務める石田真悟氏(本イベントのMC)。島本先生、藤田先生が登壇される前に、注意事項兼オープニングトークを行うため、マイクを握った。
自己紹介、イベントの注意事項の発信を終えた石田氏は、「ちなみに」と前置きしてから、「島本和彦の方が好きだよっていう方……?」とまさかのアンケートを実施。客席の“島本派”である一人は元気よく、またある一人は少し遠慮気味に手を挙げた。この日来場したファンの半数ほどが“島本派”であるらしい。
続けて石田氏は、「いやいや、藤田先生のファンだよっていう人は?」と投げかけると、先ほど挙手をしなかった“藤田派”が手を挙げる。人数はこちらも、およそ半数。ライバルである2人は、ファンの割合も競り合っているようだ。
島本和彦×藤田和日郎 炎のトークショー開幕!
石田氏の呼び込みにより、島本和彦先生、藤田和日郎先生が登壇。会場は割れんばかりの拍手と歓声に包まれる。
注目が集まる島本先生の第一声は「みんな! スマホ好きか!?」という予想外の一言だった。それに、思わず藤田先生が「何ソレ!?」とツッコむ。挨拶からフルスロットルである。本来、撮影NGだった本イベントだが、開催直前で写真撮影が許可された。島本先生曰く全部NGにしてしまうと面白くない、(撮影には条件があるが)みんなオトナだから、オトナの頭で考えて撮影して、とのこと。こうしてスマホ等での撮影が解禁されたのである。

手始めに会場を沸かせたあと、改めて島本先生がご挨拶。「最近『アオイホノオ』を頑張っている島本和彦です!」という挨拶に、拍手が贈られた。
続けて藤田先生は「俺は読者目線で漫画を描くから、ちゃんとゆっくり、わかりやすく喋りますから」「よろしく」と発言。

さらに藤田先生は、豊島区立トキワ荘マンガミュージアムで開催中の「島本和彦 炎の原画展 Ver.3 トキワ荘編」のチケット半券と、アニメイト池袋本店での対象商品の購入レシートが参加条件であるにもかかわらず、大勢のファンが集まったことに驚き、「この人たちは行かなくてもいい原画展に行って、来なくてもいいアニメイトに来て、大変なことだ」とコメント。
「すみませんねぇ……」と頭をかく藤田先生。愛のこもった“いじり”に、ファンたちは歓声で応えていた。

最序盤からエンジンを吹かす巨匠たち。それにつられて、会場のボルテージが上がっていく。
語られた『仮面ライダーゴースト』&『爆上戦隊ブンブンジャー』秘話
当日は話題が何も決まっていない、“仲良くフリートーク”と本イベントの詳細を説明する石田氏。すると、島本先生が担当した『仮面ライダーゴースト』の怪人デザインの話に。
結構頑張ってたよね、と島本先生の仕事ぶりを藤田先生が称賛する。それに対し、「滞りなく終わったけど、やりきれなかったところもあった」「イラストが立体になったときの想像ができていなかった」と島本先生が当時の様子を明かした。

そんな経験も糧に取り組んだ『爆上戦隊ブンブンジャー』の怪人デザインについて「成功した」と語った島本先生。しかし、本作第一号怪人「ウエディングドレスグルマー」については、「“ウエディングドレスの車怪人”ってなに!?」と思いながらデザインをしていたと言う。島本先生に頼めば、我々の見たことないものが生まれるのではないかと期待してるんだよ、と島本先生のオリジナリティを分析する藤田先生だった。

そしてテンション高く喋り続ける島本先生を横目に「今日の入り時間は昼の3時だったんだけど、ずっとこのテンションなんだよ」と呆れと感心が入り混じった表情を浮かべる藤田先生。「そうしたら、本番前に『疲れた』とか言って(笑)」と笑顔で不満をもらした。
会場限定! 限界ギリギリのサプライズトークが展開!
島本先生×藤田先生による熱いトークに盛り上がる会場だったが、突如として発せられた藤田先生の発言によって、客席は騒然となった。
──週刊連載しないの?
現在「ゲッサン」にて連載されている『アオイホノオ』。熱い血潮を感じる「自伝的漫画家漫画」に対して、「(漫画家を描く漫画を)下に見ているわけではないけど、自分の身の回りのことを面白く描いているだけ」「楽すんなよ」と藤田先生が思いの丈をポロリ。

それに対し島本先生は、「(藤田先生は)もしかして新連載の準備をしていたり?」と尋ねる。藤田先生は「言っていい?」と確認を取ってから“してる”と一言。瞬間、会場が揺れる。明かされた衝撃の発表について、藤田先生は、ここにいる人たちと秘密の共有ができたらと思って、とにこやかに笑った。
島本先生も、「(藤田先生と)一緒に連載したい」と胸の内を明かす。長年漫画界の最前線を走り続ける巨匠2人による同時連載開始。実現すれば、両先生のファンはもちろん、漫画ファンの間にも衝撃が走るだろう。
その夢を現実のものとするために、なんと島本先生は最近、「週刊少年サンデー」に持ち込みをしたとのこと。自ら編集部に電話をかけ、「藤田和日郎漫画のロジック」をもとに会心の原稿を準備したという島本先生。しかし、完成した持ち込み原稿を先んじて読んだ石田氏の反応は芳しくなかったようで……。
石田氏は、島本和彦の新作漫画が読みたかったのに、藤田和日郎を意識した漫画が出てきた、と当時を振り返る。それに対し、「少年サンデーには『島本和彦』はいらないんだよ!」「少年サンデーに(漫画家・島本和彦が)入っていくためには、藤田和日郎のフリをしないといけないの! トロイの木馬だよ!」と弁明する。さらにその漫画が振るわなかったことに対し、ショックを受けたと語る島本先生だった。

島本先生を知り尽くす藤田先生は、一連の話を受けて「島本先生は褒めて伸ばされるタイプ」と語る。島本先生も、調子に乗らせれば良いものを描く、と同意。炎の漫画家の意外な素顔が垣間見えた瞬間だった。
石田氏に酷評された原稿を、そのまま持ち込むわけにはいかない。そう感じた島本先生。驚くべきことに、持ち込み当日の朝、原稿をすべて描き直したという。
朝4時から、約束の14時までのタイムアタック。定規の代用品をコンビニで調達するなど、画材も現地で揃えながらの作業だった。
紆余曲折の末、ようやく原稿を小学館に持ち込んだ島本先生。持ち込みの際に記入を求められる「自己紹介カード」には、氏名や住所、職業記入欄のほか、「入賞したら賞金アリ」という旨の文言が書いてあったという。
あくまでも連載を目指して持ち込みをした島本先生だったが、ここで瞬時に“もしかして、この持ち込みは連載にはつながらないものなのでは?”と悟ったようだ。そして持ち込みを進言した石田氏に向け、イベントの場を使って「嘘ついたな!」と鋭く言い放つ。これに対し石田氏は「『島本和彦』が持ち込みって、おもしろくない?」と、飄々と受け答えし、藤田先生と会場の笑いを誘った。

あわよくば、藤田和日郎作品といっしょに連載したい、と持ち込みの目的を再度叫ぶ島本先生に、「さっきから聞いてると『あわよくば』とか……全部小手先」「こういうところに許せなさが漂う」と島本先生を鋭く突き刺していく。
藤田先生は続けて、「周りから『ライバルと言っても仲良いんじゃないの?』『なぁなぁなんじゃないの?』と言われることもあるが、許せないところはある」「漫画家は、自分の作品に必死にならなければいけないのに、この人は『自分がどう思われるか』に必死になっている」「ちゃんとしろよ!」と、ライバルに刺激的な激励を送った。

そんなお二人の新作漫画がどうなるのか。「島本和彦」と「藤田和日郎」の名前が週刊連載という闘いのリングに並ぶことになるのか。会場限定で公開された衝撃的な特報に関しては、近く発せられるであろう正式発表を待ってほしい。
島本先生の「俺たちを応援してくれ!」という言葉に、会場からは大きな拍手と「頑張れ!」の声が響き渡った。
「楽しみにしておいてくれ!」
その後もお二人のトークは白熱。勢いはとどまることを知らない。本トークショーは当初、1時間で行われる予定だったが、30分の延長が決まった。しかしそんな延長時間も、お二人の軽妙かつ重厚なトークのもとでは意味をなさない。気づけば、あっという間にタイムリミットが訪れる。
藤田先生は今日のイベントも振り返りつつ、「『アオイホノオ』は島本和彦の自伝的漫画だが、あの作品はアンハッピーエンドで終わる」「なぜならジュビロが勝つから」と闘志を燃やす。

それに対し島本先生はご自身のこれからの活動について、「藤田作品に自身の作品が対抗できることをわかってもらえると思う。自分の漫画から繰り出されるパンチが藤田作品に当たって、藤田先生がふらふらになっている様子が見えている」と対抗する。こちらも内に秘める想いは熱い。
「結構勇気がいる話をしたよ」と今日を振り返る島本先生。そして今日一番の大きな声で、「やることはやる!」「楽しみにしておいてくれ!」と叫んだ。

最後にフォトセッションが行われ、本イベントは終了。島本先生と藤田先生がお互いにクロスカウンターをキメるポーズを披露した。その姿は、長年しのぎを削り続ける巨匠たちの日常そのもののように感じる。
笑いアリ、衝撃アリ、感動アリ、サプライズアリ、何でもアリな「島本和彦 炎の原画展 Ver.3 トキワ荘編 開催記念 島本和彦×藤田和日郎 炎のトークショー」。特別な関係で結ばれる2人の今後に、ますます目が離せない。

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