本日決定! 2025年本屋大賞、阿部暁子『カフネ』が受賞!

本年度、本屋大賞受賞作。心を救う「食」と「愛」の物語。

株式会社講談社

発売以来、大絶賛&大注目を集め続けた阿部暁子著『カフネ』が、このたび「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本 2025年本屋大賞」第1位に選ばれました! 昨年12月から売れ行きが爆発的に増加し、現在までの半年足らずで8刷と異例の大重版。多くの書店員から応援を受け、阿部さんは今回が本屋大賞初ノミネートにして初受賞となりました。

本日14時より、明治記念館にて「全国の書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2025年本屋大賞」発表会が開催され、阿部暁子さんの最新作『カフネ』が、本年度の本屋大賞を受賞したことが発表されました。

本作はこれまでにも「第8回未来屋小説大賞」や「第1回あの本、読みました?大賞」を受賞しており、現在11刷32万部を突破しています。

著者の阿部さんは今回が本屋大賞初ノミネート。昨年春の発売当初から全国の書店員さんの熱い応援コメントや感想が寄せられ、特に昨年末から8度の重版がかかるという圧倒的な売れ行きも記録しています。ノミネート期間には大重版にもかかわらず供給が追い付かずに売り切れ店が続出。多くの書店員や読者に愛されていることの証左となっています。

〈漫画家・志真てら子さんによる『カフネ』あらすじ漫画〉

〈タイトルにもある「カフネ」とは?〉

ポルトガル語で「愛しい人の髪を撫でる仕草。頭を撫でて眠りにつかせる穏やかな動作」のこと。一言で日本語に訳すのが難しいこの単語を、言葉にならない関係性を描いた本作のタイトルに選びました。

〈担当編集者が語る『カフネ』の注目ポイント!〉

①「初」ノミネートにして「初」受賞!

阿部さんは今回が本屋大賞初ノミネート。また、地元・岩手出身の作家が本屋大賞を受賞するのもこれが初めてです。ノミネート発表直後から地元の書店やメディアでも大きく取り上げられました。

②改稿は20回以上! 「6年越し」の執筆

2018年5月の原稿依頼から2024年5月の刊行まで、合計6年。主役の女性2人の関係を最後に何と定義すべきか、コロナ禍を経た気づきなど、何度も悩みながら20回以上の改稿を繰り返して完成しました。

③「自分らしく生きる」ことから「誰かのために生きること」への回帰

昨今、「自分らしく生きる」ことが重要視されています。それは世の中を騒がす悲しいニュースや、世界の政治情勢を見ていても、「自分のことを第一に考え」ねばならないほど「生きづらい」のかもしれません。もちろん小説の中にも、「生きづらさ」を描いたたくさんの傑作小説があります。それらは言い換えると「For me=私のため」の物語といえます。

一見『カフネ』もその物語の一つだと読めるかもしれません。ですが、この物語は「For you=誰かのために生きる」ことを描いた物語です。綺麗ごとかもしれない。だけどそういう物語が今、必要なのではないでしょうか。

誰かと食べるご飯は美味しいし、誰かのために作るご飯も美味しい。自分のための物語は重要だけど、大切な誰かに届けたい本もきっと嬉しい。「書店員がいちばん売りたい本=本屋大賞」もきっと「For you」の気持ちを大切にしている賞です。

④ライトな食の物語だけではない、骨太の社会派小説

『カフネ』は魅力的な食事シーンに溢れた料理小説であると同時に、現代を生きる人々の苦しみや辛さと、そこから救われる希望を描いた社会派小説でもあります。

作中には、離婚、自殺、不妊治療、ネグレクト、介護、貧困、毒親問題、男女格差、家族関係……数限りない現代社会が抱える問題が出てきます。これらを解決することは簡単ではありませんし、同時に、我々は簡単に「助けて」と言えない時代を生きています。しかし、辛いときは誰かに頼ってもいい、そして食べることによりほんの少し元気が生まれ、闘う気力が湧く、そんなメッセージに溢れています。

『カフネ』という言葉に象徴されるように、この小説は、この世界を生き抜くための「愛と慈しみ」を感じ、読み終えたあと、きっと明日の世界が少し良くなる物語です。

⑤ラベリングできない関係性

本書には、薫子とせつなという心に傷を抱えた二人の女性が登場します。二人の関係性は、人によっては「女性同士の恋愛」と読み取る人もいるでしょう。あるいは「新しい家族の形」を描いた物語、シスターフッドの物語、と読む人もいるかもしれません。ですが、本書では二人の関係性を明確に定義していません。

それは、二人の関係性は二人にしかわからず、誰しもが唯一無二の関係だからです。人と人とは分かり合えないし、分かり合えたと思ってもそれはいっときのものかもしれない。だけれど、誰かが誰かを大切に思うその気持ちは真実で、その気持ちや関係性にラベリングをすることはできません。これもまた日本語に翻訳できない『カフネ』という言葉に表れています。

⑥魅力的な料理たち

もちろん、料理のバックボーンに骨太な物語はありつつも、やはり魅力的な料理はこの小説を語るのに欠かせません。一部の料理をイラストともにご紹介します。

また、一部の料理のレシピは、公式HPでもご紹介されています。

⑦コロナ禍が作品にもたらした「変化」

企画が立ち上がった当初の構想は明るいロードムービー調のものでした。しかし本格的に執筆を進めていた頃に始まったのがコロナ禍。働き抑えや雇い止めなど、多くの人が生きていくことすらままならない状態に陥った様子を目の当たりにする中で感じた息苦しさや不安に向き合いながら、「食」を通して束の間でも元気が出る様子を描きたい、そんな思いから大幅なプロット修正が行われました。作中に登場する家事代行サービス会社の無償ボランティア活動「チケット」は、コロナ禍で閉鎖せざるを得なかった子ども食堂がお弁当の宅配を始めたニュースから着想を得ています。

『カフネ』は死んだ弟の「姉」と「元恋人」、一回り年の離れた二人の女性が「家事代行」を通して人々の心を救い、やがて互いにかけがえのない存在になっていく過程を描いた物語。家族でも友達でも恋人でもない二人の距離が生きること、食べることを通して縮まっていく様は、読み終わった後に大切な人を抱き締めたくなるような温もりに溢れています。美味しそうな「ごはん」と「愛」に溢れた一冊を、どうかお楽しみください。


〈書誌情報〉

阿部暁子『カフネ』

定価:1870円(税込)

発売日:2024年5月20日

ISBN978-4-06-535026-3


〈あらすじ〉

最愛の弟が急死した。29歳の誕生日を祝ったばかりだった。姉の野宮薫子は遺志に従い弟の元恋人・小野寺せつなと会うことになる。無愛想なせつなに憤る薫子だったが、疲労がたたりその場で倒れてしまう。

実は離婚をきっかけに荒んだ生活を送っていた薫子。せつなが振る舞ったのは、それまでの彼女の態度からは想像もしなかったような優しい手料理だった。久しぶりの温かな食事に身体がほぐれていく。そんな薫子にせつなは家事代行サービス「カフネ」の仕事を手伝わないかと提案する。

食べることは生きること。二人の「家事代行」が出会う人びとの暮らしを整え、そして心を救っていく。

〈著者情報〉

【阿部暁子(あべ・あきこ)】

岩手県花巻市出身、在住。2008年『屋上ボーイズ』(応募時タイトルは「いつまでも」)で第17回ロマン大賞を受賞しデビュー。著書に『どこよりも遠い場所にいる君へ』『また君と出会う未来のために』『パラ・スター〈Side 百花〉』『パラ・スター〈Side 宝良〉』『金環日蝕』『カラフル』などがある。本作『カフネ』で第8回未来屋小説大賞、第1回あの本、読みました?大賞、2025年本屋大賞を受賞。

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代表者名
野間省伸
上場
未上場
資本金
3億円
設立
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