布施明の日本武道館公演、7/27(日)のWOWOW独占放送・配信に先駆けて当日の模様をお伝えするコンサートレポートをオフィシャル公開!
https://www.wowow.co.jp/music/fuse/

時代を超えて輝き続ける稀代のエンターテイナー・布施明がキャリア初の日本武道館公演で魅せた全身全霊のパフォーマンス、至極の歌声。長い旅路の途上で圧巻のステージを披露し、次の一歩へ。

1965年に歌手デビューした布施明。圧倒的な歌唱力にのせて数多くの名曲を発表してきた彼は、洋楽のスタンダード・ナンバーに日本語の歌詞をのせてポップスを歌い広め続けてきたことでも知られている。5月7日水曜、デビュー60周年を記念した全国ツアー「AKIRA FUSE 60th ANNIVERSARY LIVE TOUR 2024-2025 Voyage<旅路>」のファイナルとして、彼にとってキャリア初となる日本武道館公演が開催された。詰めかけた来場者は8000人。大観衆が放つ熱気が開演前から場内にあふれていた。
定刻を迎えると、厳かな鐘の音に続いて力強い太鼓の轟きが空気を揺らす。ステージ後方からゆっくりと布施が登場し、スポットライトが照らす舞台の中央に立つ。黒いジャケットの下は黒いベスト、白のシャツに青のネクタイとチーフというフォーマルな装いだ。一瞬の静寂。誰もが固唾を飲んで見守る中、ノーマイクで歌われたのは「MY WAY」の一節。息遣いまで伝わる見事なア・カペラを客席に贈る。一転して、ホーンセクションと紅いメタライズテープの華やかな彩りで始まった「君は薔薇より美しい」では、グルーヴィーな演奏に合わせ軽快にステップを踏む。真骨頂のロングトーンが放たれると、オーディエンスも一気にヒートアップしていく。

「追憶」を熱唱した後、彼は唱歌「故郷(ふるさと)」のフレーズにハーモニカで息吹を宿す。続いては新曲2曲。「旅のいのり」では、“歌うことの意味”を高らかに謳う。バッハの「G線上のアリア」が間奏で流れると、布施は天を仰ぎ両手を広げる。生まれ故郷への追懐を歌った「武蔵野 On My Mind」では、アコースティックギター伴奏にのせて郷愁を噛みしめる。その歌声は聴衆を望郷へと誘(いざな)っていく。
「ようこそお越し下さいまして、ありがとうございます」頭を下げて感謝の意を示す布施に、満場の拍手が注がれる。語り掛ける言葉でストーリーが展開する「愛情物語を観ましたか」では、バイオリンの音色が胸を濡らす。間奏ではショパンの「ノクターン 第2番 変ホ長調」の旋律がピアノで奏でられ、懐旧の念が心肝を浸していく。一人芝居から連ねられたのは「ジャズとゴロアーズ」。恒例のスタンダード・ライブ“SOMETHING JAZZY”でもお馴染みのこの曲では、人生の機微を織り交ぜたかのようなコーラスの重なりも印象的だった。
60周年ツアーのタイトルにもなった「Voyage<旅路>」は、スケールの大きなバラード。彼の活動の軌跡と聴き手が過ごして来た日々とのシンクロニシティが、感慨をより深めていく。ずっと背中を追ってきたという敬愛する二人のシンガーのカヴァーも素晴らしかった。トニー・ベネットの「Because of You」、そして、シャルル・アズナブールの布施の歌詞による「帰り来ぬ青春」。ジャズの要素をふんだんに取り入れたアンサンブルと歌声が織り成すハーモニーに酔いしれた。

自作曲だけで200曲、オリジナルとしては400曲以上を発表してきた中から特別にオリジナルシングル曲をフィーチャーした豪華なメドレーのコーナーが設けられた。『仮面ライダー響鬼』主題歌「少年よ」、1974年のレコード大賞で歌唱賞を受賞した「積木の部屋」、第21回紅白歌合戦でのパフォーマンスが伝説となった「愛は不死鳥」、ミリオンセラーを記録した「シクラメンのかほり」など今なお聴き継がれる10曲が歌い紡がれた。ヒット曲の数多さは勿論、そのレパートリーの幅広さ、楽曲ごとに異なる世界観を見事に歌い切る力量には感嘆するばかりだ。曲が変わるたびに、客席のあちこちで溜息が漏れていたことも印象的だった。時代に寄り添い時代を超える布施明の歌の真髄がそこにあった。
インストゥルメンタル演奏の「Black Orpheus Come to mind」を挟み、コメディアンに扮装して歌うコーナーへと続く。老いぼれたタップダンサーを歌った「Mr. Bojangles」、そしてパントマイムを駆使しピエロの悲哀を演じた「ピエロ」では、時折見せる表情ともあいまって人生のペーソスを繊細に演じ切っていく。人々の哀歓を照らし出すその歌と演戯から、彼の慈しむような眼差しが感じられて、ただただ感じ入った。
コンサートはいよいよ終盤へ。「道はまだまだ先に伸びております。ですから、この道をもう少し歩いていきたいと思っています」という力強い宣言。長い旅路の途上の日本武道館公演。この先に続く旅で出会うであろう新たな感動に思いを馳せた。ドラマティックなバラード「慟哭」、最愛の人への感謝を綴った「1万回のありがとう」、そして自身の生き様を標した「次の一歩へ」。思いの丈を歌に託した彼は深く頭を下げると、下手から舞台を下りて行った。

感嘆のどよめき、敬意と共感が入り混じった大きな拍手が交差する中、布施が深紅のジャケット姿でステージに戻って来る。そのこぼれんばかりの笑顔が確かな手応えを物語っていた。「MY WAY」をフルコーラス見事に歌い切った後は、「You Raise Me Up」へ。イントロでは、ピアニカとバイオリン、ギターがフレーズを奏でる中で遥か彼方を見上げながら両手を合わせ祈りを捧げる。そして繰り広げられた、熱唱を超えた見事なまでの絶唱。心の限り叫び尽くして真っ直ぐ頭上を指差すと、金銀の紙吹雪が舞い落ちてくる。再び太鼓の響きが轟く中、彼は舞台後方へと静かに去って行った。言葉は無かったが、その後ろ姿はとても雄弁だった。
観る者すべての魂を揺さぶった全身全霊をかけたパフォーマンス。ますます奥深さを増していく至極の歌声。圧巻のステージを見届けた観衆の歓びに満ちた様子から布施との目に見えない美しい絆が感じられて、積み重ねてきた“60年”という月日に思いを馳せた。「幸せを届けたい」と心底から願う布施にとって、歌うことは祈ることなのだろう。その純度の高さが聴く者の心に溶け込み、そっと癒していく。彼は決して立ち止まることなく、半歩でも一歩でも前へと進む。“それぞれの人生”を歌で祝福しながら、布施明の巡礼の旅は続いていくのか。
<バンドメンバー>
音楽監督&Pf.:井川雅幸
Gt.:小堀浩
Ba.:川嶋一久
Dr.:長谷部徹
Per.:服部恵
Key.:永田友紀
――――――
Vn.:篠崎正嗣
Tp.:奥村晶、二井田ひとみ
As.:竹野昌邦
Ts.:庵原良司
Tb.:半田信英
<セットリスト>
① MY WAY
② 君は薔薇より美しい
③ 追憶
④ 旅のいのり
⑤ 武蔵野 On My Mind
⑥ 愛情物語を観ましたか
⑦ ジャズとゴロアーズ
⑧ Voyage<旅路>
⑨ Because of You
⑩ 帰り来ぬ青春
⑪ メドレー
1:少年よ
2:積木の部屋
3:霧の摩周湖
4:愛は不死鳥
5:恋
6:そっとおやすみ
7:落葉が雪に
8:カルチェラタンの雪
9:愛の園
10:シクラメンのかほり
⑫ Mr. Bojangles
⑬ ピエロ
⑭ 慟哭
⑮ 1万回のありがとう
⑯ 次の一歩へ
⑰ MY WAY
⑱ You Raise Me Up
【番組情報】

布施明 デビュー60周年記念コンサート at 日本武道館
7月27日(日)午後2:00~
WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
※放送・配信終了後~1カ月間アーカイブ配信あり
布施明のデビュー60周年を記念した全国ツアーの中から、キャリア初となる日本武道館公演の模様を独占放送・配信する。実力派シンガーが魅せる極上のステージに注目!
デビュー60周年を迎えた布施明が、2025年5月に日本武道館で開催する記念コンサートの模様をお送りする。
日本レコード大賞に輝いた「シクラメンのかほり」をはじめ、自ら作詞・作曲した「落葉が雪に」など数多くのヒット曲を持つ歌手としての実績はもちろん、俳優としてテレビ、映画、ミュージカル等多くの作品に出演。そのマルチな才能を発揮し続けている布施明。そんな彼が最も光り輝く場所、それが“ステージ”だ。パワフルかつ伸びのある圧倒的な歌唱力、演技などで裏打ちされた抜群の表現力は、日本を代表するエンターテイナーである彼の実力を遺憾なく知らしめてくれる。毎年開催する自身のコンサートが2024年10月からスタートし、11カ所を巡ってきたデビュー60周年記念の全国ツアーを経て、満を持して臨むのが、この日本武道館公演。自身初となる“単独武道館”、その大舞台で60年にわたるキャリアの集大成を存分に披露してくれるであろう。
収録日:2025年5月7日
収録場所:東京 日本武道館

布施明 デビュー60周年記念インタビュー特別番組
8月29日(金)午後7:00~
WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
※放送・配信終了後~1カ月間アーカイブ配信あり
布施明のデビュー60周年を記念したWOWOWオリジナル特別番組。これまでの歩み、未来への展望、初の武道館公演の想いなどを語る貴重な本人インタビューで構成。
WOWOWが4カ月連続でお送りする“布施明デビュー60周年記念特集”。その第2弾は、布施明へのインタビューを中心に構成されるオリジナル・プログラム。
歌に演技にさまざまな感動を届けてくれる彼だが、プロフェッショナルであるがゆえ、その舞台裏まで明らかにする機会は多くない。そんな中、今回は60周年という大きな区切りの年でもあることから、これまでの足跡にフォーカスした貴重なインタビューが実現した。デビューから第一線を走り続けてきた彼ならではの振り返りや、その先に見える未来の展望、そしてキャリア初となった日本武道館公演への想いなどを、ウィットとユーモアに満ちた語り口で綴っていく、永久保存版ともいえるスペシャル企画だ。
年々深みを増すパフォーマンスと、今もなお挑戦し続ける布施明。その“神髄”を映し出すWOWOWオリジナル特番にご期待を!

布施明 デビュー50周年記念コンサート ~次の一歩~
9月放送・配信予定
※放送・配信終了後~1カ月間アーカイブ配信あり
「シクラメンのかほり」などファンのみならず、多くの人々を魅了する楽曲を送り出してきた布施明。2015年に行なわれた東京国際フォーラムでの50周年記念コンサート。
楽曲:シクラメンのかほり、君は薔薇より美しい、霧の摩周湖、君に涙とほほえみを、これが青春だ、恋、愛は不死鳥、積木の部屋、カルチェラタンの雪、少年よ、夢でもいいから、MY WAY ほか
収録日:2015年5月9日
収録場所:東京 東京国際フォーラム ホールA

布施明 55th ANNIVERSARY LIVE TOUR~陽はまた君を照らすよ~ FINAL SPECIAL!!
10月放送・配信予定
※放送・配信終了後~1カ月間アーカイブ配信あり
日本を代表するシンガー布施明。彼のデビュー55周年を記念した全国ツアーの中から、東京国際フォーラム公演の模様をWOWOWで放送・配信する。
楽曲:君は薔薇より美しい(2021 JAZZ Ver)、Besame Mucho、シクラメンのかほり、カルチェラタンの雪、Mr. Bojangles、追憶、愛情物語を観ましたか、オーボエ奏者の特別な一日、落葉が雪に、霧の摩周湖、愛は不死鳥、今夜は気取って、恋、いてもたっても居られなくなるよ、Stardust、恋のバカンス、ノスタルヒアス、愛は限りなく -DIO COME TI AMO-、1万回のありがとう、A Starry Night、MY WAY、Tristesse(別れの曲)、君は薔薇より美しい
収録:2021年6月6日
収録場所:東京 東京国際フォーラム ホールA
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