養蚕技術を活用して得られたカイコ冬虫夏草から、認知機能を改善する新規物質「ナトリード」を発見
株式会社バイオコクーン研究所と岩手大学、他との共同研究による成果
第一工業製薬(本社:京都市南区、会長兼社長:坂本隆司)の連結子会社である株式会社バイオコクーン研究所(本社:盛岡市、社長:首藤拓也、フェロー:鈴木幸一)は、国際学術誌「PLOS ONE」に、以下の内容を論文掲載しました。
養蚕技術を活用して得られたカイコ冬虫夏草から発見された新規物質「ナトリード(環状ペプチドの一種)」が、神経細胞の成長促進作用、グリア細胞であるアストロサイトの増殖作用、更に、同ミクログリアの抗炎症作用を持つことを明らかにしました。これは、培養細胞を用いた研究によるもので、従来の脳の血流改善や、抗酸化作用の酸化ストレス軽減による認知機能の改善とは全く異なるアプローチです。
また、老化促進モデルマウス(SAMP8)を用いた研究では、7週間のナトリードの経口投与により、低い濃度(2.5μg/kg/日、25μg/kg/日)で、認知機能の一つである空間記憶の回復効果が認められました。これは、発見したナトリードが、経口摂取により脳機能を改善する可能性を示しており、グリア細胞-神経細胞の相互作用を調節し、アルツハイマー病を代表とする認知症に対する新しい機能改善物質の候補であることを示唆しています。
冬虫夏草にはさまざまな研究が発表されていますが、認知機能に関して、新規物質ナトリードでの成果発表は初めてとなります。
本研究は、バイオコクーン研究所と、大阪市立大学(品田哲郎教授ら)、九州大学(武洲准教授ら)、岩手大学(内舘道正准教授ら)、岩手医科大学(原田英光教授ら)との共同研究の成果です。
現在当社グループでは、ナトリードを含有するカイコ冬虫夏草を用いたMCI(軽度認知障害)対象ヒト介入試験を実施しています。また、認知症患者を対象とする臨床研究も進めています。
当社は、ライフサイエンス事業を通じ、少子・高齢化社会における社会課題の解決を目指してまいります。
【ナトリードとその作用メカニズム(推定)】
アルツハイマー病を代表とする認知症について世界中で研究開発されている治療薬候補物質は、2019年時点で132です。しかし、決定的な治療薬は未だ開発されていません。
脳は、中枢神経を束ね、認知・記憶の機能をつかさどります。脳内には神経細胞と共に、その約10倍存在すると言われるグリア細胞(アストロサイト、ミクログリア等)があります。グリア細胞の役割は、神経細胞の保護作用や抗炎症作用、栄養因子の供給機能があげられます。
【掲載誌】国際学術誌「PLOS ONE(神経科学)」
【掲載日時】2021年1月27日(水)午後2時(米国ET)
2021年1月28日(木)午前4時(日本時間)
【掲載先URL】 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0245235
【論文タイトル】
A novel cyclic peptide (Naturido) modulates glia–neuron interactions in vitro and reverses ageing-related deficits in senescence-accelerated mice
(新規の環状ペプチドであるナトリードは、生体外でグリア細胞と神経細胞の相互作用を調節し、老化促進マウスでの老化抑制作用を示す)
【発表者】
バイオコクーン研究所
鈴木 幸一(責任著者、代表取締役フェロー、岩手大学名誉教授)
石黒 慎一(同等著者、研究部長)
苅間澤 真弓(主任研究員)
江幡 真規子(主任研究員)
シラパコング・ピヤマース(主任研究員)
石黒 裕美(主任研究員)
江幡 順良(研究専門部長)
大阪市立大学大学院理学研究科
品田 哲郎(同等著者、教授)
西村 栄治(研究員)(現株式会社三洋化学研究所)
保野 陽子(助教)(現九州大学)
九州大学大学院歯学研究科
武 洲(同等著者、准教授)
倪 軍軍(元助教)
姜 慕舟(博士課程4年生)
岩手大学
内舘 道正(理工学部 准教授)
御領 政信(名誉教授)
岩手医科大学大学院歯学研究科
原田 英光(教授)
大津 圭史(准教授)
以 上
【用語説明】
ナトリード(Naturido):
Naturidoは、エスペラント語で“Naturo”は自然、“id”は子供・子孫を意味する接尾辞の合成語として佐藤竜一(作家、宮沢賢治研究家)が提案した言葉。
㈱バイオコクーン研究所 鈴木フェローが、当該環状化合物の持つ可能性に相応しいとして、化合物名称に命名した。
カイコ冬虫夏草:
カイコの幼虫やサナギを培地として、野外から採取した冬虫夏草菌(ハナサナギタケ)を育てて収載したもので、英語ではplant wormという。
グリア細胞:
神経細胞の約10倍存在し、21世紀になって神経細胞の保護や抗炎症作用、栄養因子の供給などの機能が明らかになり、「第2の脳」とも呼ばれている。
アストロサイト:
グリア細胞の一種で、その中でも最も数の多い細胞(約60%)である。日本語では星状膠細胞ともいわれる。その役割は多様で神経細胞の保護、神経伝達物質の取り込み、シナプスのサポートなどがある。
ミクログリア:
グリア細胞の一種で、約10%存在している。脳内の免疫細胞といわれ、アミロイドβを貪食する機能を持つ。
老化促進モデルマウス:
京都大学で確立された実験用マウスで、実験で使用したSAMP8系統は学習・記憶の障害、免疫機能不全の特徴を示すことから、アルツハイマー病型認知症の研究でも世界中で使用されている。
なお、本研究では比較のために正常な老化コントロールとして、SAMR1系統マウスを使用した。
また、老化促進モデルマウス(SAMP8)を用いた研究では、7週間のナトリードの経口投与により、低い濃度(2.5μg/kg/日、25μg/kg/日)で、認知機能の一つである空間記憶の回復効果が認められました。これは、発見したナトリードが、経口摂取により脳機能を改善する可能性を示しており、グリア細胞-神経細胞の相互作用を調節し、アルツハイマー病を代表とする認知症に対する新しい機能改善物質の候補であることを示唆しています。
冬虫夏草にはさまざまな研究が発表されていますが、認知機能に関して、新規物質ナトリードでの成果発表は初めてとなります。
本研究は、バイオコクーン研究所と、大阪市立大学(品田哲郎教授ら)、九州大学(武洲准教授ら)、岩手大学(内舘道正准教授ら)、岩手医科大学(原田英光教授ら)との共同研究の成果です。
現在当社グループでは、ナトリードを含有するカイコ冬虫夏草を用いたMCI(軽度認知障害)対象ヒト介入試験を実施しています。また、認知症患者を対象とする臨床研究も進めています。
当社は、ライフサイエンス事業を通じ、少子・高齢化社会における社会課題の解決を目指してまいります。
【ナトリードとその作用メカニズム(推定)】
【世界の研究状況】
アルツハイマー病を代表とする認知症について世界中で研究開発されている治療薬候補物質は、2019年時点で132です。しかし、決定的な治療薬は未だ開発されていません。
脳は、中枢神経を束ね、認知・記憶の機能をつかさどります。脳内には神経細胞と共に、その約10倍存在すると言われるグリア細胞(アストロサイト、ミクログリア等)があります。グリア細胞の役割は、神経細胞の保護作用や抗炎症作用、栄養因子の供給機能があげられます。
【掲載誌】国際学術誌「PLOS ONE(神経科学)」
【掲載日時】2021年1月27日(水)午後2時(米国ET)
2021年1月28日(木)午前4時(日本時間)
【掲載先URL】 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0245235
【論文タイトル】
A novel cyclic peptide (Naturido) modulates glia–neuron interactions in vitro and reverses ageing-related deficits in senescence-accelerated mice
(新規の環状ペプチドであるナトリードは、生体外でグリア細胞と神経細胞の相互作用を調節し、老化促進マウスでの老化抑制作用を示す)
【発表者】
バイオコクーン研究所
鈴木 幸一(責任著者、代表取締役フェロー、岩手大学名誉教授)
石黒 慎一(同等著者、研究部長)
苅間澤 真弓(主任研究員)
江幡 真規子(主任研究員)
シラパコング・ピヤマース(主任研究員)
石黒 裕美(主任研究員)
江幡 順良(研究専門部長)
大阪市立大学大学院理学研究科
品田 哲郎(同等著者、教授)
西村 栄治(研究員)(現株式会社三洋化学研究所)
保野 陽子(助教)(現九州大学)
九州大学大学院歯学研究科
武 洲(同等著者、准教授)
倪 軍軍(元助教)
姜 慕舟(博士課程4年生)
岩手大学
内舘 道正(理工学部 准教授)
御領 政信(名誉教授)
岩手医科大学大学院歯学研究科
原田 英光(教授)
大津 圭史(准教授)
以 上
【用語説明】
ナトリード(Naturido):
Naturidoは、エスペラント語で“Naturo”は自然、“id”は子供・子孫を意味する接尾辞の合成語として佐藤竜一(作家、宮沢賢治研究家)が提案した言葉。
㈱バイオコクーン研究所 鈴木フェローが、当該環状化合物の持つ可能性に相応しいとして、化合物名称に命名した。
- *ナトリードは㈱バイオコクーン研究所の登録商標です(登録番号5706136)。
カイコ冬虫夏草:
カイコの幼虫やサナギを培地として、野外から採取した冬虫夏草菌(ハナサナギタケ)を育てて収載したもので、英語ではplant wormという。
グリア細胞:
神経細胞の約10倍存在し、21世紀になって神経細胞の保護や抗炎症作用、栄養因子の供給などの機能が明らかになり、「第2の脳」とも呼ばれている。
アストロサイト:
グリア細胞の一種で、その中でも最も数の多い細胞(約60%)である。日本語では星状膠細胞ともいわれる。その役割は多様で神経細胞の保護、神経伝達物質の取り込み、シナプスのサポートなどがある。
ミクログリア:
グリア細胞の一種で、約10%存在している。脳内の免疫細胞といわれ、アミロイドβを貪食する機能を持つ。
老化促進モデルマウス:
京都大学で確立された実験用マウスで、実験で使用したSAMP8系統は学習・記憶の障害、免疫機能不全の特徴を示すことから、アルツハイマー病型認知症の研究でも世界中で使用されている。
なお、本研究では比較のために正常な老化コントロールとして、SAMR1系統マウスを使用した。
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