持続可能な農業”放牧“から学ぶ~ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト WEBセミナー実施レポート公開~

2021年2月22日 ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、ファームエイジ株式会社が主体となるニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトにて、放牧酪農に関するWEBセミナー「放牧酪農WEBセミナー Vol.01」を開催致しました。当日は酪農家、関係団体など、北海道のみならず全国で60名程度の方にご参加いただきました。
トピックは、ニュージーランド(以下NZ)で普及している一回搾乳、季節分娩、環境対策をメインに、NZコンサルタントからのアドバイスを実施し、それらを交えてディスカッションを行いました。
参加者からは、多くの質問が寄せられ、終了予定時刻をオーバーするなど、活気にあふれた90分になりました。
■(はじめに)一回搾乳と環境対策から見た日本とNZの酪農 ファームエイジ株式会社 小谷栄二


まず、大前提として、日本の酪農において、年間を通して子牛を産ませて乳を搾り、搾乳は朝と夕方二回行う「二回搾乳」が常識です。おそらく、日本の酪農家で「一回搾乳」に取り組んでいる方は、未だ存在しません。半分くらい取り入れているところがパネラーの吉川さん含め、数名といったところでしょう。今からおよそ20年以上前、NZでも、当時は二回搾乳が主流でした。しかしながら、牛を搾乳施設まで移動させる手間がかかり、脚の事故が起こるリスクが増えます。さらに、頭数が多い場合、一日のうちの大部分を搾乳に割くことになります。そのことに、NZの酪農家たちは気づいたのです。一回搾乳に切り替えた当初は、一時的に乳量は下がりましたが、事故の回避や、従業員のライフスタイルにも余裕が生まれ、3年もすると経営的にはプラスになりました。こうした技術は世界的にも注目され、フランスなどでも週末だけは一回搾乳にして余暇を過ごせるようにするなど、世界各地で取り入れられています。
さらに、もう一つの話題である「環境対策」も世界的にみても非常に進んでいるのがNZ酪農です。今回のディスカッションを通じて、日本の酪農にもこのような考え方や認知、放牧というライフスタイルの選択肢が拡大してくれることを願っています。

■(トピック1)日本では考えられない?一回搾乳で、ウシも人も幸せになる
 アンドリュー・ハーディーさん


私は、15年前からどのようにして持続可能な酪農経営ができるかを考えていました。その時の選択肢の一つが一回搾乳でした。私の牧場では、土地の起伏が多く、搾乳施設からの距離もあったことが理由でした。自分自身が持続可能な農場かを測る指標として、経費、動物の健康状態、従業員の環境を設けました。
一回搾乳においてポイントは、1haあたりの頭数、草の生産量、これらを最大限にすることで、生産性を高めることができ、同時に穀物飼料のコストも減らすことができます。NZでも従業員の確保が難しくなってきており、改善手段として1週間の労働時間をどれだけ削減できるかという点においても一回搾乳を取り入れたことで、結果的に従業員に余裕が生まれました。

・ディスカッション(質疑応答)
Q1:一回搾乳を行っている時間は?
A1:一般的には朝5時に始まって、9時、10時には終わります。理由はウシを暑い時間に歩かせないため、午後の時間を有効に使うためです。草地管理など別の仕事をしています。従業員のことも考え、週末は搾乳が終わればプライベートを過ごすこともできます。

Q2:NZの酪農家のうち一回搾乳をしているのは何%?
A2:通年で行っているのは、全体の5~8%といわれています。搾乳の半分の期間ぐらいになると地域によっては30%ぐらいと思われます。泌乳のピーク時は搾乳を行い、乾乳に近づいてくるとウシのストレス軽減も含めて一回搾乳に切り替えるためです。


■(トピック2)木を植えるNZ酪農家 持続可能な未来のために今取り組むべきこと


今回は河川に関する取り組みを中心にお話しします。
今、写真をお見せします。排水のように見えている箇所は、地域の人たちと植林を行っている場所です。NZでは、法律で河川や水場の周りにフェンスを張ってウシが入らないようにしなければならないことになっています。なぜかというと、河川に汚染物質が入り込めば海に流れ、環境汚染になってしまうからです。植樹はその一環です。植樹に関しては政府からの補助もあり、私は50%の補助も受けていました。ただし、私たち酪農家は経済的にも成り立つ必要があります。政府やフォンテラなど企業、農家の団体とも何度も協議を重ね、全員が実現可能な目標を作ることが重要です。このような全者一致がなければ、酪農家が去ってしまうこともあるでしょう。
持続可能な目標を達成していくことができると、環境にとっても産業にとってもWin-Winになります。それは、地域に持続可能な産業ができあがる、商品に環境や動物に配慮しているということ価値が付与できる、そのようなものを求めている消費者に有効にアピールできるなどのメリットがあります。さらに、地域の方と一緒にやることで、農業者が地域の中に存在しているということをきちんと証明してくれます。農業者というのは、基本的に地域から許可を得て経営をしているはずですから、地域の人たちに対し、こんな人が農業をやっている、こんな人が作っている生産物なのだという認識を作っていくための活動でもあるので、非常に重要な取り組みと言えます。

・ディスカッション(質疑応答)
Q1:草の品質、生産量を高めるためのポイントは?
A1:まず、自分の草地にあった頭数を設定するということです。私の場合は1haあたり2.8頭に設定しています。伸びすぎてしまったら刈る、サイレージを作るなどの管理を行い、常にウシに与えるときに、草の品質を最高レベルにするという意識が必要になります。

Q2:環境を守るための面積当たりの飼養頭数の基準はありますか?
A2:窒素がどれだけその土地から流れているかを測定するシステムがあるので、そこを基準にしています。

■まとめ キース・ベタリッジ(NZコンサルタント)
「持続可能なスタイルかどうか」は放牧をしている方もそうでない方も、すべての農業者に共通してくる課題です。但し、放牧を行っている方にとってはより環境に対する意識や、生産物の付加価値を上げるなど、Win-Winの効果が出てくるのではないかと思います。日本でも同様にこのような話はいずれ出てくるのではないかと思います。これらを実現するためには、今回のようなディスカッショングループのように、農業者だけでなく関係企業や政府などが、一度に新しい情報の共有を行う機会が重要になってくると思います。

■次回の予定
2021年4月開催予定です。日程が確定次第、HP、SNS上などでご案内差し上げます。
また、記事についてご不明点などございましたら、以下の問合せ先までご連絡ください。
連絡先:ファームエイジ株式会社 担当:高田(タカダ)
    TEL:0133-22-3060 FAX:0133-22-3013
    HP:https://farmage.co.jp/
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