高機能抗菌めっき技術「KENIFINE™(ケニファイン)」のボウフラ抑制効果について
~蚊による感染症リスク低減に向けた抗菌プレートの新たな機能を確認~
株式会社高秋化学は、2002年に株式会社神戸製鋼所(以下、神戸製鋼)が開発した高機能抗菌めっき技術「KENIFINE™」(以下、ケニファイン)のライセンスを取得して以来、ケニファインの利用を広めています。今回、第三者試験機関である株式会社食環境衛生研究所において、マラリアやデング熱などの感染症を媒介する蚊の幼虫(ボウフラ)の繁殖に対するケニファインの抑制作用を検証し、蚊の発生を予防する効果があることを確認しました。近年、地球温暖化により蚊の生息域が急拡大しており、日本においてもデング熱を媒介するヒトスジシマカの生息域の北上が報告されています。ケニファインめっきした抗菌プレートをボウフラが繁殖するたまり水などに適用することで、蚊の発生の予防策としての活用が期待されますが、当社は、今後、さらに関係機関とも連携してデータ整備をすすめ、その有効性と使用条件を検証しながら、気候パンデミック対策としてのケニファインのより効果的な利用を進めていきたいと考えております。

■ケニファインによる蚊の各成長段階に関する抑制効果の確認実験の概要
・試験機関:株式会社 食環境衛生研究所(前橋市荒口町561-21)
・試験番号:247119N
・試験実施日:2024年8月9日~8月30日(21日間)
・試験資材:ケニファイン抗菌めっきプレート(ヌメリの断人)
・供試昆虫:ヒトスジシマカの卵200個
・試験設計:

・試験方法:
① 合繊性ケージ(30×30×30cm)とガラスビーカー(500mL)を各区1つ用意。
② 対照区のビーカーにイオン交換水400mL注入。
③ 試験区のビーカーに抗菌プレートを配置し、イオン交換水400mL注入。
④ 各区のビーカーに、エビオスとマウスの粉末飼料を1:1で混ぜた栄養素を0.05g投入。
⑤ 各区のビーカーに、ヒトスジシマカの卵を100個入れた。
⑥ 各区のビーカーをそれぞれ合繊性ケージに入れた。
⑦ 温度25℃、湿度75%の暗所に静置し、試験開始。
⑧ 試験開始後、5、7、10、12、14、17、19、21日目に成長状況を確認し、記録。
・試験結果:試験期間中に孵化したボウフラ累積数は、対照区で55匹、試験区で53匹であった。各区のボウフラ累積数を基準に求めたボウフラの生存率、ボウフラ死亡率、蚊の羽化率の経過結果を以下に示す。




以上のように、対照区(ケニファインなし)では、試験開始後10日目から蚊の羽化が始まり、21日目ではボウフラ累積数のおよそ20%が蚊の成虫となった。一方、試験区(ケニファインあり)では、試験開始後17日目にはボウフラ死亡率が100%となり(全数、蚊の成虫には至らず)、ケニファインは、蚊の発生を予防する効果があることが確認された。
■ケニファインについて
神戸製鋼が2001年に独自開発した高機能ニッケル系合金めっき技術で、従来の抗菌技術(抗菌塗装、抗菌ステンレスなど)の10倍以上の減菌スピードとその後の菌の繁殖を抑制する効果があります。かびを抑制する作用は、銀系抗菌剤の50倍以上です。抗ウイルス(新型コロナウイルス、SARS系コロナウイルス、A型インフルエンザ、ノロウイルスなど)や防藻、ヌメリ抑制、サケマス魚卵のミズカビ抑制などの効果も認められています。
食品・飲食産業や医療関係、家電・エアコン部品、漁業用金網などの産業分野や、台所用品、グルーミンググッズなどの一般消費財などの民生用途で採用されています。運搬船の船内の抗菌・抗ウイルス化技術などにも活用されています。
■当社のケニファインの取り組みと抗菌プレート製品について
当社は、2002年に神戸製鋼よりケニファイン技術をライセンス取得し、ケニファインによる抗菌めっき処理、抗菌粉末の製造、抗菌粉末を応用した印刷加工処理、それらの応用製品の販売を行っています。
抗菌プレートは、ケニファインめっきを施した応用製品の一つであり、主として、台所や浴室などの排水口のヌメリや黒カビの抑制に使用されます。100を超える一般家庭での実使用モニターテストで、9割の方々から、ヌメリ軽減の回答を得ています。水槽内の藻の抑制などにも有効です。
■マラリアとデング熱予防への期待
世界保健機関(WHO)によると、マラリアは世界で毎年2億人以上が感染し、約60万人が命を落としている深刻な公衆衛生課題です。その媒介であるハマダラカの繁殖を抑制することは、感染拡大を防ぐ鍵となります。一方、デング熱は、マラリアほど死亡率が高くないですが、デング熱の主な媒介蚊であるヒトスジシマカは、日本国内でも広く分布しており、特に温暖な気候の地域で活動が活発です。地球温暖化の影響で、今後さらに日本国内での感染リスクが高まる可能性が指摘されています。
いずれの場合も、蚊に刺されないことが重要です。よって、ケニファインを水たまりや溜め水など、蚊の繁殖地となりやすい水域へ効果的に設置することで、ボウフラの繁殖の抑制、ひいては蚊の発生を減らすことが出来れば、有効な予防策になると考えられます。
■今後の展望と当社の使命
当社では、気候パンデミック対策を推進する国内および国際機関やNGOなどの関係機関と連携・協力し、現地での実証試験を実施し、データ整備していきます。それらの結果を踏まえて、ケニファインをより効果的、広範囲に活用できる製品として改良し、市場展開を加速していきます。
当社は、持続可能な技術を活用し、地球規模の課題解決に挑戦しています。ケニファインの新たな可能性は、デング熱やマラリアなどの蚊媒介性疾患を予防し、健康で安心できる社会を実現する一助となるとみております。
以上の取り組みについて、共同研究や共同開発したい企業の皆様を募集しています。蚊の防止だけでなく、水回りのヌメリ防止などのコラボなども大歓迎です。ご連絡をお待ちしております。
【お問い合わせ先】
・株式会社高秋化学(本社:新潟県燕市小池3654番地、代表取締役:高橋靖之)
TEL: 0256-62-2623 E-mail: silver@takashu.co.jp URL: www.takashu.co.jp
【本リリースに関する注意事項】
本製品の利用に関する詳細な安全性情報や規制状況は、現地の法令や指針をご確認ください。
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