砂中子の課題解決を期待できる、複層砂中子の新工法の開発に成功
・複層砂中子の新工法開発の背景
中空形状を有する鋳物を製造するために使用される砂中子には、次のような課題がありました。
・崩壊性が悪く、砂出し工程に時間と労力を要する
・ガス欠陥の要因となる
・1層構造では高額な材料(骨材・樹脂)の使用量が多くなる
これらの課題を解決する2層式シェル中子が開発され量産されてきましたが、従来の工法では製造上の課題も複数存在し、市場ニーズに応えることが出来ておらず普及の障壁となっていました。
・複層砂中子の新工法の特徴
今回開発に成功した新工法では、従来工法の課題を以下の通り解決することができました。
・品質が不安定な反転排砂が不要なので、中子の品質を向上させることが出来る
・反転排砂が不要であり、中子形状に制約を受けず任意の形状に製造できる
・一般的な中子製造装置で製造できる
従来工法と新工法には下の図のような違いがあります。
【図1.従来工法】
【従来工法の課題】
・未硬化砂の排砂時に、均一な排砂が出来ない→季節や環境による品質のバラつきがある
・曲がりくねった形状では、未硬化砂の排砂が困難→形状に制約がある
・シェルに限定される
・ブローヘッドを2台有する特殊な構造のシェルマシンが必要→追加の設備投資が必要
【図2.新工法】
【新工法の特徴】
・内層も外層も自由な形状にできる
・強度や崩壊性といった要求品質に応じた設計ができる
・一般に使用されている既存の中子造型機で製造できる
・シェルに限定されない
・複層砂中子の効果が期待される分野
複層砂中子は以下の分野に効果を期待できます。
・アルミなどの溶湯温度が低い鋳物
溶湯温度が低い鋳物の場合には、樹脂の強度劣化が起きにくいために、崩壊性が悪く砂出し工程に課題があります。
→今回開発した新工法の複層砂中子を採用すると、崩壊性と強度の両立が出来るだけでなく、ガス欠陥の対策も達成可能です。
【表1.骨材の目の粗さと樹脂量がRCSの特性に与える影響(想定)】
【骨材】天然珪砂 新砂100%
【樹脂】汎用タイプ
※樹脂の添加量が多いほど強度は出るが、ガスの発生量も多くなる
※骨材の粒度が細目の方が高強度になる
・ガス欠陥が懸念される鋳物
ガス欠陥は鋳物不良の代表的なものです。
中子を起因とするガス欠陥は多くの場合、樹脂の熱反応により発生したガスが溶湯中に巻き込まれることで発生します。
→複層砂中子を採用すると、中子からのガスの発生を抑えつつ通気性の確保ができます。
【表2.骨材の番手による通気度の比較】
・特別な鋳肌が求められる鋳物
高品質な鋳肌を達成するためには高品質な骨材と樹脂でRCSを製造するのが一般的ですが、材料コストが高額になるという課題があります。
→複層砂中子を採用すると、材料コストの面で原価低減を達成できます。
【図3.骨材価格の比較例】
※RCS価格をそれぞれ新砂@200/kg、再生砂@40/kgとする
※外層と内層の使用比率を2:8とする
・アルミダイカスト
アルミダイカストでは、シリンダーを用いる引抜中子を使用することが一般的です。
ウィンズテック(株)では、これまでも中空水路を有するダイカスト製品の量産に2層式シェル中子を提供してきましたが、従来工法には製造上の課題があり、市場のニーズに応えられないことが殆どでした。
→新工法の採用により、これまで製造は不可能と考えられていた、複雑な中空形状を有するダイカスト製品も製造可能となり、アルミダイカスト製品の用途の幅が広がります。
今回開発した複層砂中子の新工法を用いることで、鋳物の品質と生産性の向上だけでなく、
幅広い市場のニーズに応えられるようになります。
【ウィンズテック株式会社】
【技術紹介ページ】
https://www.wins-t.com/%E8%A4%87%E8%A3%BD-%E6%96%B0%E6%8A%80%E8%A1%93
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像