佐賀県嬉野の伝統工芸『肥前吉田焼』、次の100年(創業500年目)に向けてのプロジェクトスタートのお知らせ
有田、波佐見の大産地を陰で支えつつ、400年の伝統を持つ、知る人ぞ知る磁器産地である嬉野市『吉田地区』。ここで、若いクリエーター/職人を中心とし、長期を見据えた、新しいプロジェクトをスタートしました。
佐賀県嬉野市の吉田エリアの伝統工芸、肥前吉田焼の次の100年に向かっての新しいチャレンジをスタート致しましたので、ご案内いたします。
これまでも、2日間で3000人が来場するまでに育ち、昨年「ふるさとイベント大賞」もいただきました「ひかりぼし」https://www.instagram.com/hikaribosi 、規格外品を逆手に取って、オンリーワンのサステナブル商品として打ち出した「えくぼとほくろ」 https://yoshidayaki.jp/ekubo-to-hokuro/ など、この産地を活性化する様々な新しい試みにチャレンジしてきました。
今回は、より緊喫で最大のテーマである「若手の育成/増加」に取り組むものとなります。
肥前吉田焼は、約400年の歴史を持つ地域ですが、他の伝統工芸の産地同様、高齢化が進み、技の伝承や分業体制を保つのがこのままでは難しくなることが目に見えています。着手が10年、いや、5年遅れると手遅れになる。それくらいの危機に面していると考え、2023年度、吉田焼の窯元を中心に、佐賀県、また県外のまた多ジャンルの方々の協力の元、産地の存続を懸けて始めました。
様々な施策をこれから打っていくこととなりますが、今日はその中から3つ、お知らせいたします。
①若手クリエイターとの同時多発的コラボレーションスタート
肥前吉田焼の産地の特徴として1つ挙げられるのは「自由」です。少量多品種の製造に長年応えてきた、ニーズに柔軟に応えられるという自由さ。そして、伝統的な技術を持ちながらも、3Dモデリングや切削などの最新技術も組み合わせられる自由さ。そのベースがあるため、様々なメーカーとのコラボレーションが多い産地です。また、自由は、若い人たちが常に求めているものでもあります。若いクリエイターの自由な発想を受け留め、受け入れ、形にできる産地であることを示し、関係クリエイター人口を増やすために、同時多発的コラボレーションをスタートしました。
まず第一弾として、協力いただいたのは、このお三方です。そしてこんな、未だかつてなかった新しい発想の作品が、早速生まれ始めています。
・肥前吉田焼コラボレーター 1人目:高橋鴻介
発明家/プロダクトデザイナー
1993年、東京生まれ、オランダ在住。慶應義塾大学にてプロダクトデザインを学ぶ。卒業後は電通に勤務し、2022年に発明家として独立。『接点の発明』をテーマに、人と人の間につながりを生み出したり、コミュニケーションを活性化するためのプロダクトをデザインしている。主な発明品に、点字と文字が一体になった書体『Braille Neue』、触覚ゲーム『LINKAGE』など。wired AUDI INNOVATION AWARD 2019にて、日本のイノベーター20人に選出される。
作品タイトル「Co-rcelain」
吉田焼の、先端技術を活用した超精密な加工精度にインスピレーションを受けて、ネジ穴のついた器『Co-rcelain』を開発中。3Dプリンターなどで追加パーツを出力し、組み合わせることで、器を自分好みにハックすることができます。パーツの組み合わせによって、カップになったり、植木鉢になったり、おもちゃになったり…。使い手の想像力次第で表情が変化し、無限に用途が広がっていくコラボレーティブな器です。
(技術協力:Triple Bottom Line)
・肥前吉田焼コラボレーター 2人目:鈴木舞
Artistic Director / IKI Project Director / Artist
1998年生まれ。”粋”をさまざまな切り口で採集し探求するとともに、”粋”の宿る伝統工藝「組子」の可能性を探るクリエイター。完全球体組子を開発した組子職人のもとで技術を学びながら、部品を3Dモデル化。自身も2人目の完全球体の組人になる。「未知を組む組子」というテーマで、従来の平面的な組子の枠を越えた、陰影までデザインする半球体組子や組子のドレスなど、伝統工藝とテクノロジーの両側面から、未知なる可能性をデザインする。2022年から東京都のプロジェクト「江戸東京きらり」の事業者の最年少パートナーとして選定。
作品タイトル「Untitled(未定)」
おそらく世界初となる磁器で作られた伝統工藝「組子」の作品を製作中。佐賀の特許技術である多孔質セラミックスの技術を用いることで、精度が求められる「組子」の形状を実現。伝統的な木材の「組子」の手法を応用しながら、新たな磁器組子の製法とかたちを探求中。
肥前吉田焼コラボレーター 3人目:上田一輝
京都造形芸術大学プロダクトデザイン学科卒業後、コントラクト家具メーカーにて造作家 具の設計に携わる。2020年に個人でデザインのお仕事を始め、2023年から「YACHT」と して活動を開始。東京都在住。
作品名「NAINAI」
「ナイナイ-内内」とは、表に立たせず「密かに内側に留めておく」という意味を持つ言葉です。また、小さな子どもにお片付けを促す時には「おもちゃナイナイして」と 言う事もあるように、モノをあるべき場所に帰すと言う意味も含まれています。 NAINAIは、アクセサリーや家の鍵など、サッと持ち出したいモノは上のトレーに、小銭 やライター、パロサントのストックなどの、目立つ場所に置いておきたくない小物は下段 のボウルに潜めておく事ができる、見せたいモノと「ナイナイ」したいモノを分けておく 事ができる器です。
現在はさらに、4人目として、オランダの若手クリエイターMily Bogaartsが吉田に滞在し、新たなコラボ作品を生み出しています。
今後も、随時、興味ある若い方に滞在してもらっては、新たなコラボ作品を発表する流れを続けていきます。
②若い人向けの、肥前吉田焼への入り口となる、サイトローンチ
クリエイターを始めとした若い方々が、肥前吉田エリアへの興味を持ってもらう、訪問するための入り口となることに特化したサイトをローンチしました。
タイトルは、「よしださんち。」。
伝統工芸の産地が、可能ならば若手職人になってくれる人を募集する、となると、風景や作品、工房の写真から入るのが普通。つまり、肩に力が入りがちですが、そうではなく、気軽にアクセスしてもらえるようなサイトになっています。
内容は、
・前出の若手クリエイターコラボの進捗
・吉田地区で働く若い人たちへのインタビュー
・特色のある窯元の(ゆるい)紹介
・興味持った人の、このエリアに関わってもらい方のガイド
など。
特に注目して欲しいのは、吉田地区の若手へのインタビューです。
例えば、空き家バンクで、畑と小さな山がついている300坪の敷地と古民家を買ってリノベーションし、犬と猫と鶏とヤギを飼い、自分で野菜や卵を収穫して料理し、自分で作った器に盛って食べる、という生活をしている若手。
また、肥前吉田焼では副業がOKのため、窯元での勤務での制作に加え、金継ぎや彫金、お寺の屏風絵を制作するなど、マルチクリエイターとして活躍する人もいます。
つまり、都会の人たちが羨む生き方、働き方がここにあります。そのQOL(クオリティーオブライフ)の高さや自由さに、とある中央のメディアも注目し始めてくれています。
コンテンツは随時アップしていきますので、たまにご覧になって、シェアなどしていただけたら幸いです。
③若手クリエイターが滞在するための環境整備
様々なコラボレーションを推進するためにも、また、興味を持ってくれた若い方に長期滞在していただくためにも、その環境を整備し始めています。
・滞在していただく場所はまず、和多屋別荘の社員寮の2室を、滞在のために確保。
・吉田に、様々なものを作るための、工房も整備。
・そして、空き家を改装して、ギャラリーにも着手していきます。
以上今回3つご紹介いたしました。
我々の夢は、この吉田エリアを、窯業を中心として、様々なジャンルのクリエイターが集まるクリエイター村にすることです。50年後、100年後、肥前吉田焼の継承はもちろんのこと、新たなモノづくりの創造・発信拠点となるように、今から着手していきます。
よろしければ、我々のチャレンジに何かしら、ご協力、ご一緒していただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
肥前吉田焼産地再生チャレンジ推進協議会 窯元代表 辻諭
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