国内推定1兆円超のダークパターン被害撲滅に向けた 一般社団法人ダークパターン対策協会の設立と新たな制度の発表
Webの同意を考えようプロジェクト(主幹:株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ))は、発展的解消をし、「非ダ―クパターンWebサイト」を認定する新制度を運用する中立な第三者組織として、一般社団法人ダークパターン対策協会を発足する運びとなりました。
この一般社団法人は、Web同意の透明性向上やユーザー保護を目的として活動を展開します。ユーザーから同意を得る際などに、十分な情報と選択機会が提供されること、また“ダークパターン”による消費者の金銭的被害や精神的苦痛を減らし、信用できる誠実なWebサイトを消費者が簡単に判断できる目安を提供するための対策を推進します。
協会概要
●法人名:一般社団法人ダークパターン対策協会
●設立: 2024年9月27日
●住所:東京都千代田区神田須田町1丁目7番8号
●理事
・代表理事 小川 晋平(株式会社インターネットイニシアティブ ビジネスリスクコンサルティング本部長、日本DPO協会理事 )*1
・岡田 淳(森・濱田松本法律事務所パートナー 弁護士)
・カライスコス アントニオス(龍谷大学法学部教授)*1
・長谷川 敦士(株式会社コンセント 代表取締役 武蔵野美術大学教授)*1
・増田 悦子(公益社団法人全国消費生活相談員協会 理事長)
●顧問:赤石 浩一(東京海上ホールディングス顧問 元デジタル庁デジタル審議官)
●協力:消費者庁、総務省、個人情報保護委員会、経済産業省
●認定制度名:非ダークパターン認定(Non-Deceptive Design Accreditation:通称NDD認定) 現在検討中
*1:消費者庁「デジタル時代におけるより良い消費生活を支える信頼の構築に係る官民共創ラウンドテーブル」委員
実施背景
〜「Webの同意を考えようプロジェクト」から「ダークパターン対策協会の設立」まで〜
―「誠実な企業がバカを見るようなことがあってはいけない。―「Webの同意を考えようプロジェクト」はこの思いを強く持つ有志で構成されました。クッキーバナーや規約など、消費者が内容を読まずに安易に同意ボタンをクリックする「形骸化した同意」の問題や、ブラウザの設定によってクッキーが24時間などで削除されるために昨日同意したのに今日もまたクッキーバナーが出てきてうんざりする「同意疲れ」の問題(合わせて「同意問題」)が発生しています。一方、必要な同意の取得もあり、誠実に対応をしている企業が消費者から正しく評価されていないのではないか?という懸念が生じています。株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)は2019年よりプライバシー保護を重視する企業のマナーとしてクッキーバナーを導入しましょうと宣伝していました。結果として世界で最も厳しいEUの個人情報保護法であるGDPRに準拠した形でのクッキーバナーの導入支援を日本で最も行ってきています。しかし、一消費者として振り返った時に、家族の誰も読んでいないクッキーバナーを出してEUと同じオプトイン同意(本人による明示的な同意)をとることが本当に正しい実装なのだろうか?という疑問を感じており、何が良い実装なのか継続して考えていました。そこで、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)の呼びかけで「同意問題」に関心を持つ有志で立ち上げたのが、「Webの同意を考えようプロジェクト」です。同意は「クッキーバナー」だけでなく、「個人情報の取扱いについて」や「規約(定型約款)」など多様な場面で取られています。この「同意問題」を掘り下げていったところ、読まない人が圧倒的に多い規約を逆手にとって消費者を欺くダークパターンが横行している事などさらに深い問題があることに気づきました。結果として、消費者が金銭的な被害を受けたり嫌な思いをしたりする社会問題が起きています。この二つの問題を解消するために本プロジェクトでは、具体策として信用できる誠実なWebサイトを消費者が簡単に判断できる目安を提供するための「誠実なWebサイトを認定する制度」作りに着手しました。そして、同制度の骨格にさらに消費者、企業、有識者、政府の意見をくみ取って誠実なWebサイトを認定する制度を完成させ、実際に運用していく中立的な実行体が必要だとの考えにいたり、政府関係者、有識者の先生方、企業有志の皆様のご賛同・ご協力を得て、一般社団法人ダークパターン対策協会を設立するに至りました。
活動内容
この「誠実なWebサイトを認定する制度」について、政府関係者、有識者、既に誠実な企業として従前より取り組んでこられた企業有志の皆様より賛同を得ながら、本制度の運用を行ってまいります。一方、制度を構築・運用していくにあたっては持続的な組織体が必要なため、一般社団法人ダークパターン対策協会を設立することにしました。Webの同意を考えようプロジェクトはその活動を一般社団法人ダークパターン対策協会に引き継ぎ、発展的解消をする予定です。
組織体制図
ガイドラインのバージョンアップ、審査制度の運用、政府機関(主に消費者庁、総務省、個人情報保護委員会、経済産業省)との密な連携、認定ロゴのオンラインシステム運用、通報窓口の運用といった運用の受け皿として一般社団法人ダークパターン対策協会を活用していきます。
活動内容
活動内容①:ガイドラインの構築・バージョンアップ
消費者の方々に簡単にご理解頂けるガイドブックの作成と、企業側Web担当者向けのガイドラインの作成、加えて、非ダークパターン認定(NDD認定)制度の設計・構築を早々に実施したいと考えています。特に、NDD認定に関しては、クッキーバナーの「ダークパターンチェック」からはじめ、徐々に規約を含めた契約全体の「透明性」と実際説明通りの運用がなされているかを含めた確認、事業部門がダークパターンになっていないかを社内でチェックする機構を有するかの確認、企業文化としてダークパターンに対する社内での問題意識の醸成などに範囲を広げていきます。この過程で、非ダークパターン認定を受けるにあたって、必要な実装・運用要件を記載したガイドラインを構築します。本ガイドラインの作成・バージョンアップにあたっては、消費者庁、総務省、個人情報保護委員会、経済産業省にレビューいただき、政府の方針との連動を図っていきます。
活動内容②:制度の構築
非ダークパターン認定を受ける企業数は相応に多いと考えられることから、運用の受け皿となる組織単体で審査を行うのではなく、認定審査機関と審査員を制度化して拡張性を持たせつつも、本部組織でのダブルチェックを行うなどして審査に対する信頼性を確保します。
ガイドライン制度運用スケジュール
10月2日のメディア発表会以降、有識者、政府関係者と年末までにガイドラインver1.0と ロゴ、制度を構築予定です。それらを年明けに発表し、その後約半年の間に審査員教育・試験、認定審査機関を準備し、2025年7月から審査を開始する予定です。
「Webの同意を考えようプロジェクト」特設サイト
URL:https://www.non-deceptivedesign.jp
賛同社からのコメント(50音順)
株式会社コンセント
ダークパターンは単なるUIデザインの問題に留まらず、人間とテクノロジー、そしてビジネス倫理に関わる深刻な社会課題です。テクノロジーの進展に伴い、私たちが直面するこの問題はますます重要なものとなっています。この課題を解決するには、表面的な対応だけでは不十分です。事業の方針や組織的な体制そのものが問われているのです。私たちは、社会全体で人間中心のアプローチを強化し、業界全体が一丸となって、この深刻な課題に立ち向かわなければなりません。ダークパターン対策協会は、この課題に真正面から取り組むために設立されました。協会は、人間中心設計の理念を根底に据え、社会全体で人に優しい、倫理的なテクノロジーの普及を推進していきます。
株式会社コンセント 代表 人間中心設計推進機構 副理事長
武蔵野美術大学 造形構想学部 教授 長谷川 敦士
日本生命保険相互会社
この度の官民協働での消費者被害を減らすための制度構築に向けた取組について賛同いたします。弊社においても、オンラインでご契約の申込みをいただく等ダイレクトで 手続きをおこなう機会が増えてきている中、お客様に安心してWebサイトをご利用いただく ために、個人情報保護に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
日本生命保険相互会社 代表取締役副社長執行役員 朝日 智司
三井住友海上火災保険株式会社
官民協働でダークパターン被害を減らすための本件活動につき、賛同いたします。弊社も損害保険会社として、世の中に安心・安全をお届けするのがミッションですが、インターネットを通じた商取引は今やなくてはならない社会基盤であり、その安心・安全を 追求するこの度の取組みは極めて社会的意義が高いものと考えます。
三井住友海上火災保険株式会社 データマジメント部長 上村 征広
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