細菌毒素”エンドトキシン”モニターを世界で初めて開発し、実証試験を開始
野村マイクロ・サイエンス株式会社(本社:神奈川県厚木市、代表取締役社長執行役員:内田 誠、以下「当社」)は、成長する注射用水製造システム市場での拡販を目指して細菌毒素である「エンドトキシン」を迅速、かつ連続的に検出することが可能なエンドトキシンモニターを世界で初めて開発し、実証試験を開始しました。
エンドトキシンとは大腸菌を含むグラム陰性菌由来の毒素で、微量でも人体の血液中に混入すると発熱などをもたらす主な発熱性物質です。このため非経口で人体に直接投与される注射剤や点滴剤、透析治療ではエンドトキシンの混入防止が必須となります。また、当社の主力商品の一つである注射剤や点滴剤の製造に必要な水を製造する注射用水製造システムでは、各国の薬局方によりエンドトキシンの厳密な管理基準が設定されております。
従来のエンドトキシン管理方法では、カブトガニの血液由来の試薬を利用した方法(LAL試験)によるバッチ分析が実施されています。この管理方法では測定サンプルの採取やサンプル分析を手動で行うことが多く、非常に多くの手間や時間が必要となります。また分析の測定時間も1時間程度と長いことから、連続的に製造を行う注射用水の品質に異常が発生した場合でもタイムリーな検知が難しいという課題がありました。
そこで当社は上智大学との共同研究により、エンドトキシンと迅速に反応して光を発する非生物由来の蛍光剤の開発に成功しました(図1)。この蛍光剤と蛍光剤が発する光を検出する流れ分析装置を組み合わせることで、1時間に36サンプルの自動高速測定が可能なエンドトキシン分析方法を開発いたしました(図2)。本研究成果はアメリカ化学会のAnalytical Chemistry誌に2023年7月31日付でオンライン上に公開され、Supplementary Coverに選出されました(図3)。本内容は2023年8月3日付で上智大学からもプレスリリースされております(https://www.sophia.ac.jp/jpn/article/news/release/20230803/)。この研究成果を基にエンドトキシンモニターの試験機(図4)を製作し、注射用水をサンプルとした実証試験を開始しました。本エンドトキシンモニターのターゲット価格は3,000万円(税抜き)を予定しておりますが、今後の仕様変更に伴い予告なく変動する場合があります。このエンドトキシンモニターを注射用水製造システムに導入することにより、迅速な異常検知が可能になると共にエンドトキシン分析に伴う人手やコストの大幅な削減が期待されます。
全世界での注射用水製造システムの販売台数は、年々増加しております(図5)。新規の注射用水製造システムだけでなく既存システムにも当社が開発したエンドトキシンモニターの導入を進めることで、エンドトキシン管理の強化に貢献できるように製品開発を進めております。
【本件に対するお問合せ】
営業本部(国内担当) 箔本 恵一
電話番号 046-228-3946
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