がんになった自分を想像して「かけられたい言葉」で空白のフキダシを埋めるがん教育用教材『未完成マンガ』をワールドキャンサーデー2/4(火)に公開
中学校で必修化している「がん教育」に、教えやすく学びやすい新教材を提供します 〜 愛知県内の中学校で2年生を対象に『未完成マンガ』のモデル授業も実施 〜
一般社団法人 日本がん・生殖医療学会(神奈川県横浜市、理事長:髙井 泰)は、(株)三菱UFJフィナンシャル・グループの支援のもと、2月4日(火)のワールドキャンサーデーより、中学生向けのがん教育用教材『未完成マンガ』を本プロジェクトの公式サイトにて公開いたしました。教育関係者はもちろん、どなたでもダウンロードいただけます。また、愛知県内の中学校で実施したモデル授業の様子を通じて、本教材の魅力をお伝えするWEBムービーも公開いたします。
令和3年度から必修化している中学校でのがん教育ですが、授業を担当する教育現場の方々へのヒアリングを通じ、「がんに対して専門性を持っていない教諭が授業を担当することへの不安」や「限られた授業時間内で生徒たちへ何をどのように伝えるべきかという迷い」が見えてきました。そこで、日本がん・生殖医療学会は、医療的見地に基づきながら「知識の習得だけに留まらず、生徒たちががんに対する心構えを持つ」ことまでを目的としたオリジナルのがん教育教材を、1コマ分の授業パッケージとして企画・提供。分かりやすく要点を絞ったインプットワーク(知識学習)を前段とし、『未完成マンガ』というアウトプットワーク(体験学習)をメインに据えた教材を用意しました。
【コンテンツDLはこちらから】
日本がん・生殖医療学会×三菱UFJフィナンシャル・グループHP https://j-sfp-mufg.org/activity/
【WEBムービー】
URL:https://youtu.be/izjKhRmk7s8
自分ががんになったとき「かけられたい言葉」をセリフ化する『未完成マンガ』
日本人の2人に1人、つまり誰もががんになりうる時代だからこそ、がんになることを自分事(自分の日常に起こりうること)として捉えてもらえるよう、中学生にとって極めて身近な「マンガ」をベースにした『未完成マンガ』を開発しました。「がんに罹患している登場人物=自分」という仮定のもと、がんになった人物になりきって自分の心の中を想像し、相手に「かけられたい言葉」を考え、セリフとして言語化してもらうワークです。
『未完成マンガ』は、シチュエーション・ストーリー・テイストの異なる4種類のシートを用意しており、生徒が想像しやすいもの、考えやすいものを選べる形になっています。これらの設定については、「厚労省が指針で検診を勧める5つのがん」×「中学生にとって身近で関わりのある人物の罹患」の組合せから定め、「がんの罹患を知るシーン/がんの治療を見守るシーン」の2方向で作成しています。
■罹患者になりきるロールプレイング学習について■
がん患者さんと接するたびに、人によって内心に抱えている思いが違うことに気づきます。がんのことを気にかけてほしい方もいれば、それまでと同じように普通に接して欲しいという方もいらっしゃいます。こういった患者さん一人ひとりの気持ちの違いを知り、それぞれの心の内を想像することが、医療従事者だけでなく、患者さんを取り巻くすべての人にとって重要であり、そこに本教材の意義があると考えます。がん等の診療に携わる全ての医師・歯科医師、また、これらの医師・歯科医師と協働し、緩和ケアに従事するその他の医療従事者が必須受講しなければならない厚生労働省管轄の研修会においても、患者さんになりきるロールプレイング演習が必須となっており、全研修5時間半のうち、1時間半以上はロールプレイング演習に割くほど、相当に重要視されております。本教材は、そのロールプレイングをマンガ上の「セリフ」を介して行うことで、子どもたちが短い授業時間の中でも取り組みやすく、効果的に思考できる形式になっていると思います。
梶山広明教授(MD,PhD) 日本がん・生殖医療学会 MUFG委員会長 名古屋大学産婦人科
日本産科婦人科学会 (代議員)、日本癌治療学会 (代議員)、日本婦人科腫瘍学会 (理事)、日本東洋医学会 (代議員)、日本がん・生殖医療学会 (理事)、日本病態プロテアーゼ学会 (理事)、日本IVF学会 (理事)、婦人科腫瘍の緩和医療を考える会 (理事)、日本婦人科悪性腫瘍研究機構 (理事)、日本臨床腫瘍研究グループ (婦人科部門、施設代表)
愛知県内の中学校で2年生を対象に『未完成マンガ』のモデル授業を実施
2025年1月下旬に医療法人葵鐘会の協力のもと、愛知県愛西市の立田中学校にてモデル授業を行いました。
がんの基本的な知識を学んだのち、『未完成マンガ』のワークに入った生徒たちの表情は真剣そのもので、がんになった登場人物になりきって「かけられたい言葉」をそれぞれが熟考。個人で書き込んだセリフは、役になりきって実際にセリフとして読んでもらうことでクラスメイトとも共有してもらいました。
授業を受けた生徒たちからは「がんになった人に、どんな風に声をかければいいかを考えることができました。」「人それぞれ伝えてもらいたいことは違うんだなぁと思いながら聞いていました。」といった感想や気づきの声が上がりました。そして、生徒が自分でセリフを書き込んだマンガを家に持ち帰り、保護者にも内容共有してもらうホームワークを通して、保護者からも「がんにかかる人は色んな人がいるということを分かりやすく説明している。」「未完成にすることで考えさせることができる。マンガだから入りやすい。」「がんになった相手だけではなく、相手の気持ちを考えた声かけが大事ということを学べて良かった。」などのご意見をいただきました。
日本全国の「がん教育」の授業で活用してもらえる教材を目指します。
がんの知識だけでなく、がんへの心構えも培うために。誰もがかかりうるがんを自分事として考える教材、また、誰もがかかりうるからこそ、がんの罹患者にも一人ひとりの個性や考え方があるという当たり前を感じ取ってもらえる教材として、『未完成マンガ』を日本全国の教育現場にてご活用いただければと思います。今後は、生徒たちが書き込んだマンガ作品をWEBサイト上で公開するなど、本教材を最大限活用して広げていく形も想定しています。
■ワールドキャンサーデーとは
「ワールドキャンサーデー」は、2000年の「対がん同盟結成を呼びかけるパリ憲章」に基づいて、国際対がん連合(UICC)が2002年に制定した記念日で、世界中の一人ひとりが、がんに関する意識を高め、知識を増やし、がんに対して行動を起こすことを目的としています。世界が一体となって各地でさまざまな催しを行う日です。
■日本がん・生殖医療学会の啓発活動について
三菱UFJフィナンシャル・グループからの支援を受け、「がん教育推進のための取り組み」「女性特有のがん予防に対する取り組み」を行っています。小中学生をはじめ、若いうちからのヘルスリテラシーの向上を目指し、AYA世代で罹患の多い子宮頸がん・乳がんの予防、早期発見、妊孕性温存療法を含むがん・生殖医療について、多くの方々に理解を深めていただけるよう、様々な媒体を通じたプロジェクトを進めています。
【三菱UFJフィナンシャル・グループから日本がん・生殖医療学会への支援について】
https://www.mufg.jp/profile/brand/message0304/index.html
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