制度創設から25年目 確定拠出年金(DC) 3万6000人調査 を発表

運用は好調との回答が多いが、老後財源としての存在感はNISA等に劣後

DC広研

一般社団法人確定拠出年金・調査広報研究所(本社:東京都中央区、代表理事:瀧川茂一、以下「DC広研」)と浦田経営金融ラボ合同会社(本社:東京都千代田区、代表:浦田春河、以下「浦田経営金融ラボ」)は、本日、確定拠出年金(以下「DC」)3万6000人調査¹の結果を発表しました。

調査結果のポイント

DC広研 代表理事 瀧川茂一のコメント

DCは10月1日に25年目を迎え、来年以降も制度の拡充が予定されています。確定拠出年金法は、DCを『公的年金の補完制度』と位置付けていますが、果たして現状はその趣旨に沿っているのでしょうか。本調査は、その現在地を確認することを目的に実施しました。DCの課題を明らかにするとともに、解決のためにどのような方策があり得るのかを、業界全体で議論していくことが重要だと考えます。そのためには客観的なデータが不可欠であり、本調査がその議論の一助となることを願っています。

浦田経営金融ラボ 代表  浦田春河のコメント

調査では、約3割の人がDCの運用について『うまくいっている』と回答しました。ここ数年は相場の変動が激しい時期もありましたが、長期的な視点で運用を心がけることで成果を得ている人が多いといえます。一方で、老後資金の財源としてDCを頼りにしていない人が多いという、残念な実態も明らかになりました。限度額が小さいうえにルールが複雑であることが、その要因と考えられます。DCは税優遇がある以上、公平性が求められ、限度額を大きくできないというジレンマに陥っています。他方で、税優遇がインセンティブとして本当に有効なのかを問うデータも見られました。制度のさらなる普及には、特定の領域を聖域化することなく、活発な議論をしていくことが必要ではないでしょうか。

確定拠出年金(DC) 3万6000人調査 オンライン報告会のご案内

本調査につきまして、浦田春河より調査内容、着目点等について解説させていただきます。

日時:10月15日(水) 12時30分~13時30分


【調査結果抜粋】

あふれる「知らない」「わからない」の声

•「拠出限度額を知らない」53%、「事業主掛金の額を知らない」45%、「運用商品の変更方法がわからない」33%、「勤務先の運営管理機関の名前がわからない」36%

•「消えた私的年金」問題の拡大リスク: 転職後に企業型DCの資産移換をしなかった人は2割、そのうち「やり方がわからなかった」人は3割強。

•DC未加入者が理由としてあげるのは、まずは「お金の余裕がない」であるが、経済的な支障がない人の大半は「制度が複雑でわからない」。

自分の拠出限度額を知っていますか?

職場での金融経済教育は、「知らない」「わからない」の減少に貢献

•職場で金融経済教育を受けた経験がある人は49%。企業規模に比例して増える一方、業種による格差が存在。

•受講者と非受講者では制度理解度や金融リテラシーなどすべての項目において大きな違いが認められた。

教育受講者と未受講者の「わからない」の比較

老後資金の財源として、DCは退職一時金、NISA、預貯金などに劣後

•DC加入者で、DCを老後資金の財源に考えていない人は企業型で44%、iDeCo30%。

•DCが「公的年金の補完」の役割を果たすためには、制度の簡素化と周知、規模の拡大が必要。

老後資金の財源として考えているものを5つまで選んでください

国民に響かぬ税優遇

•DCの税優遇を実感している人は25%と低位。

•実感していない理由は「税の仕組み/税額が不明」、あるいは「実感できない理由もわからない」。

•税優遇拡充では行動変容が起こらない可能性が高く、政府マッチングや税優遇を超える拠出の解禁など議論の余地あり。

DCの税メリットを実感していない理由(複数回答可)

3割の人が運用はうまくいっていると回答

•不調と答える人は1割未満。好調の理由として多いのは「長期運用の実践」。

•投信は国内株式・海外株式のパッシブ運用、ついでアクティブ運用が人気。米国で加入者の6割が利用するターゲット・デート・ファンドは極めて少ない。

•運用代行を利用したいというニーズが20代で53%。理由も「自信不足」より「時間節約」。


本調査のフルレポートは、以下関連サイトからもダウンロード可能です。

 浦田経営金融ラボサイトからダウンロード / DC広研サイトからダウンロード

確定拠出年金(DC)3万6000人調査とは

本調査は2025年6月16日~18日にインターネットを通じて全国の20代から60代の36,496人を対象に実施しました。このうち、DC加入者は民間企業の従業員、公務員、自営業者、専業主婦(夫)など5,163人でした。なお、DCの加入者ではない31,333人に対しても、老後資金の財源やリタイア予定年齢、DCに加入しない理由などを聞いており、日本人の老後準備をめぐる包括的なデータを収集しています。

本レポートに関するお問い合わせ

浦田経営金融ラボ合同会社

TEL: 03-6807-5338   E-mail: contact@urata-lab.com

浦田経営金融ラボ合同会社について

日米の確定拠出年金に関する調査・研究、制度導入やモニタリング支援などコンサルティングを提供しています。2024年12月設立。詳細はこちら

一般社団法人確定拠出年金・調査広報研究所について

運営管理機関満足度調査を20年以上にわたって実施する、元企業担当者OBをメンバーする一般社団法人です。多くの確定拠出年金企業や主要な運営管理機関との取引実績があり、運営管理機関満足度調査以外にも調査・イベント・担当者向け勉強会を提供しています。詳細はこちら

【注意】

本資料は、確定拠出年金の加入者および非加入者の双方を対象に実施したアンケート結果を集計・分析したものであり、情報提供のみを目的としています。記載された内容は、統計的処理を経た回答全体の傾向を示すものであり、特定の個人や特定の集団の意見・行動を保証するものではありません。

本資料に記載された内容は、投資勧誘や金融商品の販売・推奨を意図するものではなく、また将来の市場動向や投資成果を保証するものでもありません。

本資料の作成にあたっては、信頼できると判断したデータや情報を用いていますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。本資料に基づいて生じたいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いません。

また、本資料には将来の見通しに関する記述が含まれる場合がありますが、これらは作成時点の仮定や判断に基づくものであり、将来の結果を確約するものではありません。今後の環境変化等により、内容は予告なく変更される可能性があります。

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会社概要

URL
https://www.dcrpi.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都中央区新川1-17-22 松井ビル2階
電話番号
03-6262-8186
代表者名
瀧川茂一
上場
未上場
資本金
-
設立
2020年03月