印刷のかすかな軌跡を、日々の風景に。株式会社高山活版社、新ブランド「imprint(インプリント)」を始動。
初回コラボレーターにグラフィックデザイナー・小林一毅。ベルリン・東京・大阪・福岡でポップアップを順次開催。
株式会社高山活版社 新ブランド「imprint」リリースのお知らせ
株式会社高山活版社(所在地:大分県大分市)は、クリエイターとの協働による新たなプロダクトブランド「imprint(インプリント)」を立ち上げました。

本ブランドは、クリエイターとともに「印刷」という営みを見つめ直し、その中にある“伝える”という本質に改めて向き合います。
手ざわりや質感といった感覚的な体験を大切にしながら、五感に残るプロダクトとして使い手に届けることを目指しています。
これまで印刷のみを担ってきた高山活版社が、クリエイターや販売店と協働しながら、印刷の文化を次のかたちへと紡いでいく試みです。
ブランドのリリースにあわせて、ドイツ・ベルリンを皮切りに、東京・大阪・福岡の4都市でPOPUPを順次開催予定です。
「imprint」に込めた想い(ステートメント)
創業から1世紀以上もの間、
私たちはさまざまな印刷物の製造に携わってきました。
ただ時代と生活様式が変わるにつれ
印刷が必要とされる場面も減りつつあります。
私たちは印刷という文化の火を灯し続けてゆくために、
いったい何ができるのかを、日々考えています。
答えはまだ見つかっていません。
ただ感じているのは、今やあらゆる媒体や手法があるなかで
印刷ゆえの朽ちることのない魅力は「五感を通じて残る」こと。
新ブランド「imprint」を立ち上げました。
これまで私たちが辿ってきたや足跡をたよりに、
若い仲間たちを迎え入れ、彼らの思いを汲み取りながら、
ともに作り、ともに信じられるものを印していく。
次の時代に向けて、痕跡を残し続けていくことを願って。
ブランド体制
ロゴデザイン:長尾美術 長尾周平
ステートメント:BOOKLUCK 山村光春
ブランドコンセプト:mazeru 井上龍貴
ブランドオーナー:株式会社高山活版社
初回コラボレーター:グラフィックデザイナー 小林一毅
「imprint」では、回ごとに異なるクリエイターを迎え、それぞれの視点から印刷の可能性を探るコレクションを展開していきます。
第一回目のプロダクトは、高山活版社と親交の深いグラフィックデザイナー 小林一毅氏を迎え、一からプロダクトの制作に取り掛かりました。
小林一毅

グラフィックデザイナー。1992年滋賀県彦根市生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業後、資生堂を経て独立。女子美術大学、多摩美術大学非常勤講師。
プロダクトの紹介
プロダクト名:蒐集箱
収納で困っている。家でやる工作やお絵描き、幼稚園でも自由工作をしては持って帰ってくる。石も拾うし、落ち葉も拾う。名前の知らない木の実も拾ってくる。干からびたミミズを拾ってくるときもあった。さすがにミミズは収納できないが、それ以外のものは仮にそれがゴミと紙一重のものであっても妻が結構律儀に保管している。妻はママ友にそのことを関心されていた。このままだと作ったものや拾ったもので家が埋め尽くされてしまうかもしれない。いったい、どうすればいいのだろう!
美しい収納はもう諦めた。そこそこまとまっているように見えたら良しとしよう。その代わり自分のものを減らしてと…そうやって騙し騙しやり過ごしているうちに、だんだんと実家感が出てきた。
おしゃれかどうかはさておき、なにか良い収納はないだろうかとネットサーフィンをしてみたり、お店をまわったりしてみる。そこで欲しいと思えるものは大概使い勝手の悪そうな箱たちだった。そもそも箱として売られていないものもあるけど、中が空洞であればなにかは入るだろうと解釈して買ってしまう。薄すぎて入れるものがほとんどなさそうな箱も買ったし、球体の壺もその小さな穴の中に何か入るかもしれないと思って買ったけど結局何も入れていない、というか入らない。いわゆる収納力のある便利な箱よりも、入れるものを選ぶような自分勝手でワガママな箱というのに惹かれるらしい。箱に合わせて何を入れるか考えなくてはいけない。ご機嫌を伺うような感じがあるなあ。でも入れるのは僕だから、僕と箱の立場はフェアな感じがする。入るかな、入らないか…こうしたら入る?みたいな箱とのやりとりが好きなのかな。箱を人のように見立てて対話をしながら中に入れるものを決めるその過程に、それが例えものだったとしても一緒に暮らしているという実感があるということだろう。
僕が買うものは大概収納させてくれないから、一向に課題が解決しない。だったら自分で作れば良いのではないかと考えて、箱を作ることにした。でも出来上がったものを見てみると、独特な寸法の、勝手を言ってきそうな箱だ。そんな一言多そうな面持ちだから箱を覆うグラフィックも可愛いとも格好良いとも言い表せないようなものを選んだ。
どんぐりや落ち葉は入る。枝は小さなもの以外入らないな。工作もお絵描きもはいらないだろう。でも“たからもの”は入るかもしれない。
小学生だった頃、女の子の家で箱に入った“たからもの”を見せてもらった。その箱の中に入っているものは、だいたい「なんだこれ」と思うようなものだったのを憶えている。それくらいの年代の子どもは箱になんて有無をいわせずねじ込むのだろうが、この箱はそんな“たからものをいれる箱”に近いような気が、作ったあとにしてきた。随分と都合の良い解釈をしている気もするが、「なんだこれ」と思うようなものはきっと入るし、何を入れるか相談することを楽しいことと思って取り扱ってもらえたら、同じ屋根の下で暮らす同居人としてうまくやっていけると思います。
本プロダクトは、全10種のデザインがあり、小林氏がふとした日常の景色や、つい見過ごしてしまう一瞬をすくい取り、描き続けてきた図案をもとにして制作しました。
蓋と身それぞれに異なる色の「NT ラシャ」を使用し、紙が持つあたたかな風合いをそのまま生かしています。
蓋に施した印刷は、紙の色をより忠実に表現するために特色インクを用い、全10種それぞれの紙色に合わせて丁寧に調整しています。紙そのものの個性を大切にしながら、印刷と色が自然に溶け合うような仕上がりを目指しました。
制作協力には、長崎県波佐見町で長年紙器づくりを行う株式会社 岩㟢紙器を迎え、確かな技術と繊細な造形によって、図案の魅力をそのまま手のひらの中に留めるような仕上がりを実現しています。




仕様
かぶせ式:外寸232×162×H80mm程度(蓋H73mm)
※蓋身V溝加工
蓋身生地:チップボール#26
蓋・身内側合紙有り:NTラシャ
蓋身貼紙:NTラシャ
制作協力:株式会社 岩㟢紙器



岩㟢紙器は、長崎県の自然豊かな町にあるパッケージの総合メーカーです。昭和35年の創業以来、貼箱の製造を中心とし、地元の発展と共に歩んできました。
パッケージは一番外側の中身。このことをずっと考え続けてきました。
中身を守る外側も商品の大切な一部部分、そして一番最初に目にするものです。中身に合わせた外側のデザインにこだわる。
「確かな技術力」「新しい企画力」「柔軟な提案力」それぞれバランスよく発揮しながら、これからもお客様のご期待と信頼にこたえられるよう真摯にものづくりに取り組んでまいります。
プロジェクトメンバーからのコメント
BOOKLUCK 山村光春(ステートメント担当)

1970年生まれ。東京と福岡を拠点に活動する編集者。雑誌「オリーブ」のライターを経て、広告や書籍、各メディアなどの編集と執筆を手がけるBOOKLUCKを立ち上げる。編著書は「MAKING TRUCK 家具をつくる、店をつくる。そんな毎日」「眺めのいいカフェ」(アスペクト)、「MY STANDARD 大人の自分定番」(主婦と生活社)、「おうちで作れる カフェのお菓子」(世界文化社)など多数。また編集とライティングのオンライン講座「やさしい編集室」を運営、京都芸術大学の講師を務める。またリフレクソロジーのユニット「FOOTLIGHT&GO.」としても活動中。
印刷物が好きだから、なくなって欲しくない。
僕もそう切に願うひとりですが、応援の仕方はそれぞれあっていいと思います。いっしょに何かものづくりをするもよし、できあがった印刷物を買うもよし。僕のように「書くこと」を通して呼びかけるもよし。ともあれ何より必要なのは、ちゃんと表明し、行動に移すこと。好きだった飲食店がなくなってから後悔するより、通い続けることが大事なように。そのわかりやすく行動に移しやすい応援の道筋をつけてくれるのがimprintなんだろうなと、僕は理解しています。
長尾美術 長尾周平(ロゴデザイン担当)

長尾美術代表。福岡県出身。
2011年、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。タイポグラフィを学ぶためヨーロッパを訪問後、フリーランスとして活動を開始。
2015年、東京から福岡へと活動拠点を移転。クリエイティブディレクションまで活動の幅を広げ、ロゴタイプ、パッケージ、ウェブサイトなどのデザインや、絵画、写真などのアートワークまで一貫して手掛ける。
“imprint”という言葉には、ラテン語の“imprimere”(im=中に/premere=押し込む)から派生した「刻印」「痕跡」といった意味があるそうです。
しかし印刷物が姿を消しつつある今の時代にこの言葉を読むと、“i am print”という彼らの切実な意思表示や自己主張のようにも感じ、そうした解釈からimprintのロゴタイプを設計しました。
これから色々な作り手たちが、印刷物の素晴らしさを存分に感じられる個性豊かなものたちを生み出していくのを願っています。
mazeru 井上龍貴(ブランドコンセプト担当)

大分県生まれ。まちづくり・クリエイティブコンサル企業でのプロデュース業務を経て、2022年大分市にてクリエイティブスペース「mazeru」をオープン。
ブランド構築、コンセプト策定、イベントや企画のプロデュース、クリエイターとの協働など、ジャンルを横断した活動を展開。
人やアイデアが交わる瞬間に興味があり、企画・編集・場づくり・PRなどをしている。
「imprint」のブランド名やコンセプトをつくる過程で、何度も迷い、立ち止まりました。
印刷の未来を語ろうとすると、答えのない問いに向き合うことばかりで、自分たちの足元を確かめ直す時間でもありました。
それでも書き進める中で、ふと戻ってくるのは“やっぱり印刷が好きだ”という実感でした。
紙の手触りやインクの匂い、工場の音や人の声、五感に残るものの力をまだ信じられる。
その感情が、このブランドの芯になっていきました。
完璧な答えはまだないけれど、この道でいいと静かに思えました。
そんな小さな手応えを頼りに、「imprint」が誰かの記憶に痕跡を刻んでいくことを願っています。
株式会社高山活版社

高山活版社は115年ものあいだ、印刷という営みと正面から向き合ってきました。
時代が移り変わるなかで「なぜ印刷を続けるのか」という問いは、今も私たちの中心にあります。
その迷いも期待も、五感に残るものへの確かな実感も抱えながら、新ブランド「imprint」は生まれました。
作ったのは箱ですが、その背景には、印刷という文化の火を灯し続けたいという強い思いがあります。
手に取ってくださる方の日常に、ほんのかすかな痕跡でも刻むことができたなら、これほど嬉しいことはありません。
POPUP情報
・Studio NIKIBI(ドイツベルリン)【2025.11.28-30】
・THINK OF THINGS(東京都渋谷区千駄ヶ谷)【2026.01.15.−02.03】
・graf studio(大阪府大阪市北区中之島)【2026.02.10-23】
・B・B・B POTTERS(福岡県福岡市中央区薬院)【2026.2.13-15、21.22】
※詳細情報は順次HP・SNSで発信していきます。
会社概要
会社名:株式会社高山活版社
所在地:〒870-0943 大分県大分市片島尻込301-1
代表者:代表取締役社長 高山英一郎
事業内容:オフセット印刷/オンデマンド印刷/活版印刷/展示室運営
ブランドに関するお問い合わせ先
株式会社高山活版社 担当 : 高山(たかやま) keiri@printcom.co.jp
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