世界のエネルギー問題を解決!? 持ち運び可能な“○○”とは?
黒い液体の正体は「余剰電力」でつくられる次世代エネルギー約8割が抱える電力不安と新技術の可能性
東京大学 先端科学技術研究センター 水素エネルギー分野 河野研究室(所在地:東京都目黒区、教授:河野 龍興)は、18歳以上の男女を対象に「日本人のエネルギーに対する認識」に関する調査を行いました。
昨今、長引く電気代の高騰や不安定な中東情勢の影響を受け、日本のエネルギー問題は暮らしに直結する課題として注目されています。
さらに、日本は地震や台風などの災害による、停電リスクも高く、エネルギー供給に対する不安は高まっています。
そのような状況で、次世代の再生可能エネルギーについての研究が日々行われていますが、生活者は日本のエネルギーの未来や課題について、どのように考えているのでしょうか。
「電気代」「災害」「輸入依存」…日本人が抱くエネルギー不安の理由とは?

「エネルギー問題と聞いて、最初に思い浮かべるキーワード」として、「石油」「原子力」「電気」といったエネルギーに加え、「ガソリン価格」「電気代」「地球温暖化」「中東情勢」などが挙げられました。
日々の生活だけでなく社会情勢や経済、環境、国際情勢など、多岐にわたるキーワードが挙げられており、エネルギー問題に対して、さまざまな関心や懸念が寄せられていることが分かります。
では、日本のエネルギー・電力の将来について、生活者はどのような意識を持っているのでしょうか。

「日本のエネルギー・電力の将来に不安を感じるか」を尋ねたところ、約8割の方が『非常に不安を感じる(30.6%)』または『やや不安を感じる(49.0%)』と回答しました。
さらに前問で、『非常に不安を感じる』『やや不安を感じる』と回答した方に、「不安を感じる理由」について尋ねたところ、『石油など化石燃料の輸入依存(66.7%)』と回答した方が最も多く、『電気代の高騰(62.5%)』『国際情勢(燃料価格や供給への影響)(54.1%)』と続きました。
『石油など化石燃料の輸入依存』や『国際情勢(燃料価格や供給への影響)』といったエネルギーの安定供給への懸念に加え、『電気代の高騰』など日常生活に直結する負担が多くの消費者の不安を掻き立てているようです。
「電力が不足している国」だと思っていた?約6割が知らない日本の電力事情と余剰電力の実態
ここからは、不安な理由の一つにも上がっていた「電気代」について、見ていきましょう。

「現在の電気代についてどのように感じるか」を尋ねたところ、約7割の方が『非常に高いと感じる(26.6%)』または『やや高いと感じる(48.6%)』と回答し、現在の電気代について高いと感じている方が多数を占める結果となりました。
このように、多くの消費者が電気代の高騰を感じる中、電気供給の実態についてはどの程度認知されているのでしょうか。
「日本の電力について、イメージに近いのはどちらか」を尋ねたところ、下記のような回答となりました。
『電力は不足している(46.2%)』
『電力は余っている(13.1%)』
『どちらとも言えない(40.7%)』
しかし実際には、電力が余ってしまう時間帯も存在しています。
特に太陽光による発電量が多い晴れの日には、発電した電力を使い切れずに、一部をやむを得ず抑制(出力制御)することもあります。
電気は発電した分をそのまま大量に長期間保存することが難しく、需要と供給のバランスを常に保つ必要があります。そのため、太陽光発電量が大きく増える晴れの日などには、電気が余ってしまい、一部の発電を止める「出力制御」が行われることがあります。
つまり、再生可能エネルギーの課題は「発電できないこと」ではなく、「発電した電気を貯めて、必要な場所で活用できないこと」にあるのです。
では、この事実について、どの程度の方が認知しているのでしょうか。

「『晴れて太陽光による発電量が多い日には、作った電力の一部が使われずに捨てられている』ことを知っていたか」と尋ねたところ、『知らなかった(62.5%)』と回答した方が『知っていた(37.5%)』を大きく上回る結果となりました。
天候によっては発電した電力を使い切れず出力を抑制していることはあまり知られておらず、再生可能エネルギーの課題は「発電できないこと」ではなく、「発電した電気を貯めて、必要な場所で活用できないこと」にあるという認知はまだまだ浸透していないようです。
このような、再生可能エネルギーについて、生活者はどのようなイメージを持っているのでしょうか。
「再生可能エネルギーについて、どのようなイメージがあるか」と尋ねたところ、『将来の日本に必要だと思う(52.2%)』と回答した方が最も多く、『天候に左右される(31.2%)』『技術がまだ発展途上だと思う(30.7%)』『発電量が安定しない(29.3%)』と続きました。
半数以上の方が再生可能エネルギーを将来必要だと考える一方で、「天候に左右される」「発電量が安定しない」といった課題も一定数認識されていることが分かりました。

再生可能エネルギーに対する期待と課題の両方が見られた中で、「あなたが最も魅力的だと思うエネルギー技術はどれか」と尋ねたところ、『発電した電力を無駄なく活用する技術(28.0%)』と回答した方が最も多く、『電気代を安定させる技術(26.1%)』『海外エネルギーへの依存を減らす技術(16.7%)』と続きました。
「発電した電力を無駄なく活用する技術」が最も多く選ばれたことから、生活者は発電したエネルギーを有効活用する技術にも高い関心を寄せていることが分かります。
また、「電気代を安定させる技術」が続き、家計に直接関わる部分への関心の高さがうかがえます。さらに、「海外エネルギーへの依存を減らす技術」など、エネルギーの安定供給や自給率向上につながる技術への関心も高いようです。
さらに、「廃棄電力の再利用技術が実用化されたら、どのような効果を期待するか」と尋ねたところ、『電気代の負担軽減(50.3%)』と回答した方が最も多く、『エネルギーの安定供給(43.8%)』『日本のエネルギー自給率向上(34.6%)』と続きました。
電気代の負担軽減や安定したエネルギーの安定供給、さらには日本のエネルギー自給率向上など、日々の暮らしや将来のエネルギー問題の解決を求める声が多くあがりました。
その中身、水素です。知られていない“運べるエネルギー”の可能性
そこで、そのような期待に応える技術の一つとして、今回紹介したいのが東京大学 河野研究室の研究です。

※容器の写真

「写真に写っている容器の中には何が入っていると思うか」と尋ねたところ、『燃料(32.4%)』と回答した方が最も多く、『ガソリン(25.3%)』『化学薬品(11.0%)』と続きました。
黒い液体が入った容器という見た目から、多くの方が「燃料」や「ガソリン」「化学薬品」といった、一般的ではない液体をイメージしたようです。
この容器の中身は、「持ち運べる水素」です。
この水素は従来のような高圧ガスではなく、常温・常圧で安全に持ち運べる液体として開発されたものです。さらに、この水素は、使われずにいた電力を活用して製造できることも特徴で、これまで十分に活用されてこなかった余剰電力を活用してつくることができます。
この研究の何がすごいの?
今回の研究では、水素を「常温・常圧で運べる液体」に変え、つくる・ためる・運ぶ・使う
までを世界で初めて一貫して実証しました。
従来の水素は、
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高い圧力で圧縮する
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-253℃まで冷やして液化する
といった特別な設備が必要で、コストや安全面が課題でした。
しかし今回開発された液体は…
① 常温・常圧で運べる
特別な高圧タンクや超低温設備が不要となり、より手軽で安全に保管・輸送できる可能性があります。さらに、水系で不燃性であり、高圧ガスや危険物にも該当しないため、取り扱いやすさも大きな特徴です。
② エネルギーを無駄にしにくい
一般的な水素運搬方法では、水素を別の物質へ変換したり戻したりする過程で多くのエネルギーが失われます。
今回の技術では、水素を液体へ直接蓄え、その液体から直接発電できるため、エネルギーをより効率よく利用できます。
③ 再生可能エネルギーをもっと活用できる
太陽光や風力は、発電しても使い切れない電気が発生することがあります。
その余った電気を水素として長期間保存し、必要な場所・必要なタイミングで電気として使えるため、再生可能エネルギーを無駄なく活用できるようになります。
④ 将来の社会への期待
この技術が実用化されれば、
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再生可能エネルギーの普及促進
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災害時の非常用電源
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電気の長距離輸送
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カーボンニュートラルの実現
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水素社会の実現
などにつながることが期待されています。
【まとめ】身近な不安の先に見えた、日本のエネルギー課題と新たな可能性
今回の調査では、約8割の方が日本のエネルギー・電力の将来に不安を感じており、その理由として「化石燃料の輸入依存」「電気代の高騰」「国際情勢の影響」などが挙げられました。エネルギーに関する課題は、多くの生活者にとって身近な関心事となっていることがうかがえます。
また、再生可能エネルギーについては「将来の日本に必要」というイメージを持つ方が多い一方で、「天候に左右される」「発電量が安定しない」といったイメージも持たれていました。さらに、太陽光発電量が多い日には、使い切れなかった電力の一部が出力制御によって活用されずにいることについては、約6割の方が「知らなかった」と回答しており、日本の電力事情に関する認知との間に違いが見られる結果となりました。
一方で、「発電した電力を無駄なく活用する技術」に最も魅力を感じる方が多く、廃棄電力の再利用技術についても、「電気代の負担軽減」「エネルギーの安定供給」「日本のエネルギー自給率の向上」といった効果への期待が寄せられました。
本調査は、東京大学 先端科学技術研究センター 水素エネルギー分野 河野研究室が実施したものであり、調査結果からは、生活者が発電した電力を有効活用する技術に関心を持ち、その技術に対して電気代の負担軽減やエネルギーの安定供給などを期待していることがうかがえました。
余剰電力を新たな価値へと変えられる水素をはじめとする次世代エネルギー技術は、こうした期待に応える可能性を持つ技術の一つです。今後、発電したエネルギーをより効率的に活用する技術の発展が、持続可能で安心できるエネルギー社会の実現につながることが期待されます。
調査概要:「日本人のエネルギーに対する認識」に関する調査
【調査期間】2026年6月26日(金)~2026年6月28日(日)
【調査方法】PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
【調査人数】1,075人
【調査対象】調査回答時に18歳以上の男女と回答したモニター
【調査元】東京大学 先端科学技術研究センター 水素エネルギー分野 河野研究室(https://www.h2.rcast.u-tokyo.ac.jp/)
【モニター提供元】サクリサ
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