AMOEBA ENERGY株式会社、量子ではなく生物に学んだアーキテクチャで組合せ最適化問題を高速に解く「アメーバコンピュータ」を株式会社ベクトロジーのFPGAコンピューティング技術を採用し開発

物流や通信などの社会システムで最適な資源分配パターンを高速に導出

アメーバ型組合せ最適化アルゴリズムを提供するAmoeba Energy株式会社(本社:神奈川県藤沢市/代表取締役:青野真士、以下「AMOEBA ENERGY」)とFPGAコンピューティングのエキスパートである株式会社ベクトロジー(本社:神奈川県横浜市/代表取締役:篠田義一、以下「ベクトロジー」)は、AMOEBA ENERGYのアメーバ型組合せ最適化アルゴリズムとベクトロジーのFPGAコンピューティングのノウハウを使用して組合せ最適化問題を高速に解く「アメーバコンピュータ」の共同開発に成功したことを発表いたします。

物流や通信などの社会システムで最適な資源分配パターンを導く「組合せ最適化問題」は、システムサイズが大きくなると「組合せ爆発」を起こし、世界最速スパコンでも解けないほどに複雑化します。AMOEBA ENERGYは、アメーバ生物が効率的に最適パターンに変形する振舞いを数学的にモデル化し、代表的な組合せ最適化問題である「充足可能性問題」を従来型コンピュータより高速に解ける、ハードウェア型「アメーバコンピュータ」を開発しました。

■ 最適化ソリューションの課題

近年「量子コンピュータ」やそれに着想を得た「アニーリング方式」による最適化ソリューションの提案が相次ぎ注目を浴びています。しかし、実社会のアプリケーションを同方式のハードウェアで扱える「イジングモデル」に落とし込んで定式化するには、高度な専門知識の提供や技術的制約の解決が必要となります。このため、これらの最適化ソリューションの参入ハードルや導入コストを下げることは、それ自体が一つの事業目的となるほどに高度な課題となっており、最初の提案から約10年が経過した現在も、実用化し大きな利益を生み出すためには、乗り越えねばならない壁が依然として残っています。

■ アメーバコンピュータの特長
アメーバコンピュータ」は、論理的制約条件の集合として様々なアプリケーションを表現する定式化が既になされている「充足可能性問題(Boolean Satisfiability Problem; SAT)」を、AMOEBA ENERGY代表・青野が独自にモデル化したアルゴリズム「AmoebaSAT」により解く方式です[文献1,2]。このモデルは、多数の素子の並行的状態更新と確率的動作を再現できるアーキテクチャを前提に設計されており、その実装を可能にする様々なハードウェアの可能性が模索されています。このたびAMOEBA ENERGYは、従来の半導体技術で構築されるFPGA(Field Programmable Gate Array)をハードウェアとして用いながら、AmoebaSATの並行的・確率的プロセスを実装することに成功しました。これらの特長をもつアメーバコンピュータは、参入ハードルや導入コストおよび消費電力を低く抑えることができ、クラウドサービスのみならずエッジコンピューティング 、IoT、組込みシステム等における幅広いアプリケーションに展開することが可能になります。このたび開発されたアメーバコンピュータは、ベクトロジーの「FPGAコンピューティング」技術を適用し、株式会社PALTEK製FPGA基板「M-KUBOS」上で実装されています。技術的詳細は、10月中旬以降に公表する予定です

  • [文献1] アメーバ計算にかんするレビュー論文(英語)M. Aono, “Amoeba-inspired combinatorial optimization machines,” Jpn. J. Appl. Phys. 59, 060502 (2020). https://iopscience.iop.org/article/10.35848/1347-4065/ab8e05
  • [文献2] アメーバ計算にかんする研究紹介論文(日本語)青野真士, 大古田香織, "アメーバ型組合せ最適化マシン," 応用物理学会機関誌『応用物理』, 2020年10月号. https://www.jsap.or.jp/ap/


■ アメーバコンピュータの用途
組合せ最適化問題として定式化される様々なアプリケーション
スマート工場における自動搬送車による搬送計画
スマート病院における病室利用スケジューリング
無線通信ネットワークにおけるリアルタイムルーティング
自動運転車による配送計画
ロボットアーム等による物体移動プランニング
P2Pによるモノ・サービス・エネルギーの取引き
など

 

■ Amoeba Energy株式会社について
AMOEBA ENERGYは、次世代を担うコンピューティング技術のヒントは自然界を生き抜く生物の情報処理原理から得られると信じています。慶應義塾大学の研究者でもある代表・青野は、単細胞アメーバ・粘菌が環境に適応し最適パターンに変形する振舞いに学び、「巡回セールスマン問題」や「充足可能性問題」等の複雑な組合せ最適化問題を電子回路を用いて高速に解く生物型コンピュータの研究開発を続けてきました。 「アメーバコンピュータ」は、回路を流れる電流ダイナミクスの並行性や、デバイスの揺らぎからもたらされる確率的動作を活用し、適切なパターンを従来型コンピュータより素早く確実に得る手段を提供します。それは、多様な制約をもつニーズ、変わり続けるリクエスト、増大していくシステムサイズに対応できる「ヤワラカさ」を体現できます。
AMOEBA ENERGYに関する詳細は、https://amoebaenergy.com/ をご覧下さい。
 

■ 株式会社ベクトロジーについて
ベクトロジーは主にFPGAコンピューティングに基づくGPUを凌駕する専用演算器の開発、FPGAによる数値演算専シミュレーションの高速化、超微小信号アナログ/高周波アナログ、ASIC向けFPGAプロトタイピング、筐体設計・基板設計・製造・量産対応の5つの分野に特化してサービスをご提供しています。車載、医療、仮想現実、音声/画像認識、ディープラーニング等、ベクトロジーはFPGAをベースに最新のIoT事業へ貢献しています。リアルタイムで制限の多い環境下での演算処理が必要なこれらの分野にこそ、ベクトロジーのFPGAコンピューティング技術は最適と言えます。製品開発の複雑化、先進化に伴い、求められる演算処理能力のハードルはますます高くなるでしょう。ベクトロジーのFPGAコンピューティング技術が最適であることは、これまでの採用実績によって裏付けられています。
ベクトロジーに関する詳細は、https://vectology.jp/ をご覧下さい。

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