『いせさきメイセン ―メイセンは二度死ぬ―』「併用絣」の奇跡の復活と銘仙コレクションの数々、2月26日(水)より松屋銀座7階デザインギャラリー1953にて開催

日本デザインコミッティーでは、第764回デザインギャラリー1953企画展として、『いせさきメイセン ―メイセンは二度死ぬ―』を開催します。銘仙は、明治から昭和初期にかけて女性を華やかに彩った絹織物の日常着。その代表的な産地である群馬県伊勢崎市で生産された「併用絣(へいようがすり)」は経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の双方に絣糸(かすりいと)を用いて複雑な図柄を織り上げる世界でも類をみない技術です。本展では一度は廃れたこの「併用絣」が、関係者の熱意によって2016年に奇跡的に復元されるまでの経緯を、新旧の豊富な銘仙コレクションとともにご紹介します。
近年、銘仙は著名なファッションデザイナーに影響を与えるなど海外での評価が高まっており、このたび復元された「いせさきメイセン」もイギリスのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)への収蔵が決まっています。今、世界が注目する伊勢崎銘仙の驚くべき技術と斬新なデザインの世界をこの機会にぜひお楽しみください。

 

21 世紀銘仙プロジェクトで復元された「併⽤絣」。上より後藤⼤樹⽒による「時計塔」、NUNO の須藤玲⼦⽒による「⾚レンガ」、NUNOの堤有希⽒によるツツジ。いずれも伊勢崎にちなんだモチーフが表現された。 Photo Masayuki Hayashi21 世紀銘仙プロジェクトで復元された「併⽤絣」。上より後藤⼤樹⽒による「時計塔」、NUNO の須藤玲⼦⽒による「⾚レンガ」、NUNOの堤有希⽒によるツツジ。いずれも伊勢崎にちなんだモチーフが表現された。 Photo Masayuki Hayashi



世界に類をみない伊勢崎銘仙の「併用絣」

左より21 世紀銘仙プロジェクトで中⼼的役割を果た した⾦井珠代⽒、杉原みち⼦⽒、テキスタイルデザイ ナーの須藤玲⼦⽒。伊勢崎銘仙の貴重なコレクション を前に。Photo Kosuke Tamura左より21 世紀銘仙プロジェクトで中⼼的役割を果た した⾦井珠代⽒、杉原みち⼦⽒、テキスタイルデザイ ナーの須藤玲⼦⽒。伊勢崎銘仙の貴重なコレクション を前に。Photo Kosuke Tamura

江戸時代にそのルーツを持つ銘仙は、明治から第二次世界大戦前にかけて、主に北関東で盛んに生産され、全国に供給されていました。当時の女性の日常着としてその実用性とファッション性、また安価であることから一世を風靡した銘仙は、竹久夢二や伊東深水などが描く当時の女性の装いにも度々登場します。その中心的産地であった伊勢崎は「括り絣(くくりがすり)」「板締め絣(いたじめがすり)など多用な技法を採用して表現の幅を広げていましたが、なかでも粗く仮織をした経糸に型紙を用いて図柄を染める「解し絣(ほぐしがすり)が発展し、同時に緯糸にも絣を施す「併用絣」は伊勢崎銘仙独自の技術で、その色使いと斬新なデザインから当時大変な人気を博しました。しかしながら日本女性の衣服の洋装化に伴い銘仙自体が市場から姿を消すなか、この「併用絣」の技術も80年代初頭には姿を消してしまいます。

復元プロジェクトのデザインは須藤玲子氏が提供

そんな伊勢崎銘仙の復元の話が持ち上がるのは2013年のことです。あるときその圧倒的な美しさと独自性を再発見した伊勢崎市在住の杉原みち子さん、金井珠代さんが「併用絣」の復元を思い立ち「21世紀銘仙プロジェクト」を旗揚げします。当初、周囲から復元はもはや不可能だと言われていましたが、世界的に活躍するテキスタイルデザイナー須藤玲子氏がNUNOのメンバーなど有志のデザイナーと共に復元用のデザインを提供したことをはじめ、材料や機械の調達、活動資金のための個人からの寄付など、数々の協力者との幸運な出会いによってプロジェクトは実現性を増していきます。そして最後ついには困難を極めた制作を担う職人の確保にも成功し、2016年に21世紀の「いせさきメイセン」が完成します。型紙彫りや捺染(なっせん)などそれぞれ高い技術が求められる14工程すべての職人仕事の襷(たすき)がつながったことは奇跡的でした。

本展ではこうして復元された現代の「いせさきメイセン」をデザイン画や型紙などの各種資料、その技法のルーツを伝える過去の銘仙コレクションの数々とあわせて展示をします。

左は捺染職⼈の⽯井広実⽒。捺染台に張られた経⽷にこれ から型を⽤いて図柄を染めていく。Photo Kosuke Tamura左は捺染職⼈の⽯井広実⽒。捺染台に張られた経⽷にこれ から型を⽤いて図柄を染めていく。Photo Kosuke Tamura

反物の幅に巻き取られた緯⽷は端に牡丹刷⽑で印をつける。 後の織りの⼯程での⽬印となる。Photo Kosuke Tamura反物の幅に巻き取られた緯⽷は端に牡丹刷⽑で印をつける。 後の織りの⼯程での⽬印となる。Photo Kosuke Tamura

使⽤する⾊の数だけ版を重ねていく。併⽤絣では経⽷だけ でなく緯⽷にも同様の作業を⾏う。Photo Kosuke Tamura使⽤する⾊の数だけ版を重ねていく。併⽤絣では経⽷だけ でなく緯⽷にも同様の作業を⾏う。Photo Kosuke Tamura

捺染された経⽷は次の織りの⼯程に向けて丁寧に巻き取ら れる。Photo Kosuke Tamura捺染された経⽷は次の織りの⼯程に向けて丁寧に巻き取ら れる。Photo Kosuke Tamura


V&Aへの収蔵と二度目の死
復元プロジェクトのさなかの2015年、英国のV&Aの学芸員アナ・ジャクソン(Anna Jackson)氏が「併用絣」の調査のために伊勢崎を訪問します。その制作過程を見学し高度な技術と創造性を目の当たりにしたジャクソン氏は、当時の技術を完全に復現した「併用絣」をV&Aの収蔵品とすることを決定し、2月29日よりV&Aで開催される展覧会Kimono: Kyoto to Catwalkで初めて公開されます。一方でV&Aへの収蔵が決定したその矢先、伊勢崎では「併用絣」の制作に欠かせない数々の道具を雲散するという事態に見舞われ、「併用絣」はその二度目の死を迎えます。復活が未来に委ねられた今、本展を通じてこの「いせさきメイセン」を生んだ技術と情熱の存在を多くの人に知ってもらうことに大きな意義があると考えています。展示とあわせて開催するデザインサロントーク、ポッドキャストでの関係者インタビューの配信など、関連コンテンツとともに「いせさきメイセン」の世界をご堪能ください。

●展覧会概略
  1. タイトル:第764回デザインギャラリー1953企画展「いせさきメイセン ―メイセンは二度死ぬ―」
  2. 会期:2020年2月26日(水)〜3月23日(月)最終日午後5時閉場・入場無料
  3. 開催時間:松屋銀座の営業時間に準じる http://www.matsuya.com/m_ginza/info/open.html
  4. 会場:松屋銀座7階デザインギャラリー1953 〒104-8130東京都中央区銀座3-6-1
  5. 電話:03-3567-1211 (大代表)
  6. 主催:日本デザインコミッティー http://designcommittee.jp
  7. 共催:「いせさき銘仙の日」記念イベント実行委員会
  8. 協力:21世紀銘仙プロジェクト(杉原みち子  金井珠代) 上毛新聞社 伊勢崎市図書館 いせさき明治館
  9. 展覧会担当:須藤玲子
○デザインサロントーク中止のお知らせ
新型コロナウイルス感染症の拡大を避けるため、関連イベントの「デザインサロントーク」の開催は中止させていただきます。ご迷惑をおかけいたしますことをお詫び申し上げます。


●ポッドキャスト
須藤玲子はじめ、展覧会関係者のインタビューをポッドキャストにて配信します。
詳しくはwebへhttp://designcommittee.jp

●問合せ先(デザインギャラリー1953展示について)
日本デザインコミッティー事務局
〒104-8130東京都中央区銀座3-6-1松屋北館4F
TEL.03-3561-2572 FAX.03-3561-6038 メール:jdcommit@yb3.so-net.ne.jp
URL: http://designcommittee.jp
担当:土田真理子、平坂志寿子

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*伊勢崎銘仙の関連企画が以下のとおり開催されます。
○関連企画1
タイトル:これからメイセン ―銘仙の源泉と変遷―
会期: 2020年3月24日(火)〜4月5日(日)*終了日を当初告知の4月2日より延長しました。  
開場時間: 11:00 – 20:00
会場:スパイラルガーデン(スパイラル1F)
   住所:〒107-0062 東京都港区南青山5-6-23
入場無料
問合せ先:東京造形大学 企画・広報課 TEL:042-637-8755 メール:kikaku@zokei.ac.jp
主催:東京造形大学
詳しくはwebへhttps://www.zokei.ac.jp/(3月上旬情報掲載予定)

○関連企画2
タイトル:Kimono: Kyoto to Catwalk
会期:2020年2月29日(土)〜6月21日(日)
会場:ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)
詳しくはwebへhttps://www.vam.ac.uk

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会社概要

URL
-
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
群馬県伊勢崎市今泉町2丁目410 伊勢崎市役所北館3階文化観光課内
電話番号
-
代表者名
杉原 みち子
上場
未上場
資本金
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設立
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