【茨城大学】遠隔授業に関する学生アンケートを実施 対面中心の昨年度と比較
理解度・満足度の平均値、予習・復習の時間が向上も 多くの学生が「大学へ行きたい」
茨城大学では、新型コロナウイルス感染症対策として、4月30日より前学期を開始し、8月12日の前学期終了までは原則としてすべての授業をオンラインの遠隔授業としています。
このたび、6月19日に第1クォーターの授業が終了したことに伴い、授業の受講者を対象とする定例の授業アンケートを実施しました。今回は理解度や満足度といった通常の項目に加えて、遠隔授業についての自由記述も求めました。調査からは、対面授業が中心だった昨年度と比べて、理解度や満足度が向上しており、予習・復習の平均時間も1.2倍増加していることがわかりました。一方で「早く大学へ行きたい」という学生の切実な思いもうかがえました。
このたび、6月19日に第1クォーターの授業が終了したことに伴い、授業の受講者を対象とする定例の授業アンケートを実施しました。今回は理解度や満足度といった通常の項目に加えて、遠隔授業についての自由記述も求めました。調査からは、対面授業が中心だった昨年度と比べて、理解度や満足度が向上しており、予習・復習の平均時間も1.2倍増加していることがわかりました。一方で「早く大学へ行きたい」という学生の切実な思いもうかがえました。
茨城大学では、新型コロナウイルス感染症対策として、4月30日より前学期を開始し、8月12日の前学期終了までは原則としてすべての授業をオンラインの遠隔授業としています。
このたび、6月19日に第1クォーターの授業が終了したことに伴い、授業の受講者を対象とする定例の授業アンケートを実施しました。今回は理解度や満足度といった通常の項目に加えて、遠隔授業についての自由記述も求めました。昨年度の同調査の結果との比較及び自由記述からは、以下のようなことがわかりました。
●調査概要
【2020年度第1クォーター授業アンケート】
■回答者:茨城大学の2020年度第1クォーターの授業を受講した全学部の学生
■本報告における調査対象科目数:164科目 (回答数6301)
■調査実施期間:2020年6月4日~6月26日
※2019年度との比較については、2019年度第1クォーターに実施した授業アンケートの結果(対象科目数:183科目(回答数6113))を比較対象としています。
●遠隔授業において十分な学修ができたか
茨城大学では教育の質保証の仕組みづくりに積極的に取り組んでいます。対面授業によって達成していた学修成果を、オンラインの遠隔授業でも果たせるよう、継続的にFD(教員の専門的能力開発のための研修)を実施するなど、教員の授業実施におけるサポートを全学レベル、学部レベル両面から行ってきました。
そこで、今回の遠隔授業について、学生たちが十分な学修ができたと感じているかどうかを聞きました(図1)。
(図1)あなたは遠隔授業において十分な学修ができましたか(学部別)
●授業の理解度・満足度は
続いて授業の理解度・満足度の平均値を、対面授業で実施した昨年度の第1クォーターの結果と比較してみました(図2)(図3)。
(図2)
(図3)
なお、学部別の分析結果でよると、教育学部については、理解度・満足度ともに昨年度の調査より平均値が下がっていました。多くの学生が小中学校等の教員を目指している教育学部では、対面授業へのニーズが高いのかも知れません。
●1回の授業における予習・復習の時間
次に1回の授業における予習・復習の時間(授業以外の学修)の時間を比較しました(図4)。
(図4)
これはまず、遠隔授業の実施にあたり、インターネットへの負荷軽減なども考慮して、授業資料の事前のアップロードをを教員に呼びかけていたことから、学生たちもそれらをダウンロードして予習・復習に活用しやすかったということが考えられます。また、自由記述からは、授業の録画動画も後日アップロードしてもらえれば、生配信時に回線が途切れたときなども見直すことができる、という意見もありました。
日本の大学においては、学生の授業外学修の時間の短さが問題にされがちですが、今回の調査からは、授業に係るコンテンツや資料を適切に提供することによって、予習・復習の時間が伸び得るという期待感が示されました。こうしたメリットは今後の授業運営においても活かしたいです。
●自由記述から見えてきたこと
最後に、学生たちには今回の遠隔授業についての感想などを自由に記述してもらいました。
その結果、冒頭で紹介したように遠隔授業に肯定的な意見(質問しやすかった、教員を近く感じた、集中できてよかった)が多かった一方で、それらの意見と対をなす「質問しにくくなった」「教員を遠く感じた」「だらけてしまう」という意見も一定数あり、遠隔授業に向いている学生と向かない学生に分かれていることが見てとれました。
さらに、評価が高かった授業の特徴として、授業資料がよくまとまっている、学生の参加度が高い、授業内のオンラインアンケート機能の活用、アクティブ・ラーニングなどが挙げられました。一方で、100分間(※第1クォーターは授業日程確保のため講義時間を90分から100分に拡大)、スライド等の内容を教員が読み続けるような授業は評価が低くなり、10~15分ごとに理解度の確認や質問の時間を設けることが、学生の満足度につながることが示唆されました。
また、テキストによるチャットシステムを利用することにより、授業中に質問や意見を伝えやすくなったという意見も多くありました。ただし、チャットが苦手という記述も一定数見られ、また「質問はしやすいが、相談はしづらい」という意見も一定数見られました。
総じて遠隔授業そのものに対する評価は低くないものの、多くの学生が、本来であれば大学へ行って授業を受けたい、友人に会いたいという切実な思いを吐露しています。
●茨城大学 久留主 泰朗 理事(総括理事・教育統括)のコメント
新型コロナウイルス感染症の拡大により、茨城大学としては初めて全体で遠隔授業を導入し、手探り状態で進めてきましたが、今回の授業アンケートからは、それぞれの学生がきちんと遠隔授業に対応し、十分な学修成果を得られたと回答していることに安心しました。これは学生のみなさんと教職員の努力の賜物といえるでしょう。
加えて、原則対面で実施した昨年度の授業アンケートの調査に比べ、全面遠隔授業の今年の調査では、理解度、満足度が多少なりとも向上しているという点は、興味深いところです。自由記述も踏まえると、チャットシステムやアンケートシステムなどを効果的に使って、学生の参加機会を多く創出している授業は評価が高いことも見て取れます。教員もオンラインのさまざまなツールの存在を認識し、それらを積極的に活用して新しい授業スタイルを探究・実践していて、それが学生たちの理解度・満足度に着実につながったのだと思います。
また、予習・復習の時間が伸びていることも注目に値します。学生の授業外学修の時間をどう増やすか、というのは日本の大学教育の課題といえますが、適切な教材の提供や、オンラインでの実施による移動(通学)時間の削減なども、今後学生の授業時間の増加に寄与するかもしれません。
ただし、多くの学生たちから、キャンパスへ行きたい、友人に会いたいという切実な思いが示されており、現在実施している新入生向けの生活実態調査でも、友人に会えないことの悩みが明らかに大きいことが見えています。大学の教育は授業だけで完結するわけではなく、キャンパスでの生活も教育の欠かせない要素です。今後、学修効果や学生生活の充実の面から最良の方策を検討し、特に新入生のみなさんに向けては級友や教員のコミュニケーションの場の提供などを提案していきたいと考えています。後学期以降の対応について、くわしくは授業開始の9月29日までに十分な余裕をもってお知らせする予定です。
このたび、6月19日に第1クォーターの授業が終了したことに伴い、授業の受講者を対象とする定例の授業アンケートを実施しました。今回は理解度や満足度といった通常の項目に加えて、遠隔授業についての自由記述も求めました。昨年度の同調査の結果との比較及び自由記述からは、以下のようなことがわかりました。
- 遠隔授業において十分な学修ができたかについては、76.1%の学生が肯定的回答
- 授業の理解度、満足度の平均値はいずれも昨年度より向上した。
- 1回の授業についての予習・復習の平均時間は、昨年度より1.2倍増加した。
- 自由記述からは、「質問しやすくなった/しにくくなった」、「教員を近く感じた/遠く感じた」、「集中できてよかった/だらけてしまう」が両方の意見が見られ、遠隔授業に向いている学生と向かない学生に分かれている傾向が見て取れた。
- 遠隔授業には懸命に対応してきたが、自由記述からは「早く大学へ行きたい」という学生の切実な思いがうかがえた。
●調査概要
【2020年度第1クォーター授業アンケート】
■回答者:茨城大学の2020年度第1クォーターの授業を受講した全学部の学生
■本報告における調査対象科目数:164科目 (回答数6301)
■調査実施期間:2020年6月4日~6月26日
※2019年度との比較については、2019年度第1クォーターに実施した授業アンケートの結果(対象科目数:183科目(回答数6113))を比較対象としています。
●遠隔授業において十分な学修ができたか
茨城大学では教育の質保証の仕組みづくりに積極的に取り組んでいます。対面授業によって達成していた学修成果を、オンラインの遠隔授業でも果たせるよう、継続的にFD(教員の専門的能力開発のための研修)を実施するなど、教員の授業実施におけるサポートを全学レベル、学部レベル両面から行ってきました。
そこで、今回の遠隔授業について、学生たちが十分な学修ができたと感じているかどうかを聞きました(図1)。
(図1)あなたは遠隔授業において十分な学修ができましたか(学部別)
学生たちには、理解、質問や相談のしやすさ、授業への参加、自主学修、対面授業との比較といった観点を例示し、今年度の授業の受け止めを調査したところ、十分な学修ができたかについて「そう思う」「概ねそう思う」という肯定的な回答は、全体で76.1%にのぼりました。「どちらともいえない」も含めると、9割をこえます。ほとんどの学生が、遠隔授業において十分な学修ができたと受け止めていることがわかります。
●授業の理解度・満足度は
続いて授業の理解度・満足度の平均値を、対面授業で実施した昨年度の第1クォーターの結果と比較してみました(図2)(図3)。
(図2)
(図3)
授業の内容の理解度・満足度ともに、昨年度の調査より平均値が上がっていることがわかります。
なお、学部別の分析結果でよると、教育学部については、理解度・満足度ともに昨年度の調査より平均値が下がっていました。多くの学生が小中学校等の教員を目指している教育学部では、対面授業へのニーズが高いのかも知れません。
●1回の授業における予習・復習の時間
次に1回の授業における予習・復習の時間(授業以外の学修)の時間を比較しました(図4)。
(図4)
各時間区分をもとに時間を仮定し、1回の授業あたりの予習・復習の平均時間を概算したところ、昨年度は58分だったのに対し、今年度の調査では1.2倍多い69分となっています。
これはまず、遠隔授業の実施にあたり、インターネットへの負荷軽減なども考慮して、授業資料の事前のアップロードをを教員に呼びかけていたことから、学生たちもそれらをダウンロードして予習・復習に活用しやすかったということが考えられます。また、自由記述からは、授業の録画動画も後日アップロードしてもらえれば、生配信時に回線が途切れたときなども見直すことができる、という意見もありました。
日本の大学においては、学生の授業外学修の時間の短さが問題にされがちですが、今回の調査からは、授業に係るコンテンツや資料を適切に提供することによって、予習・復習の時間が伸び得るという期待感が示されました。こうしたメリットは今後の授業運営においても活かしたいです。
●自由記述から見えてきたこと
最後に、学生たちには今回の遠隔授業についての感想などを自由に記述してもらいました。
その結果、冒頭で紹介したように遠隔授業に肯定的な意見(質問しやすかった、教員を近く感じた、集中できてよかった)が多かった一方で、それらの意見と対をなす「質問しにくくなった」「教員を遠く感じた」「だらけてしまう」という意見も一定数あり、遠隔授業に向いている学生と向かない学生に分かれていることが見てとれました。
さらに、評価が高かった授業の特徴として、授業資料がよくまとまっている、学生の参加度が高い、授業内のオンラインアンケート機能の活用、アクティブ・ラーニングなどが挙げられました。一方で、100分間(※第1クォーターは授業日程確保のため講義時間を90分から100分に拡大)、スライド等の内容を教員が読み続けるような授業は評価が低くなり、10~15分ごとに理解度の確認や質問の時間を設けることが、学生の満足度につながることが示唆されました。
また、テキストによるチャットシステムを利用することにより、授業中に質問や意見を伝えやすくなったという意見も多くありました。ただし、チャットが苦手という記述も一定数見られ、また「質問はしやすいが、相談はしづらい」という意見も一定数見られました。
総じて遠隔授業そのものに対する評価は低くないものの、多くの学生が、本来であれば大学へ行って授業を受けたい、友人に会いたいという切実な思いを吐露しています。
●茨城大学 久留主 泰朗 理事(総括理事・教育統括)のコメント
新型コロナウイルス感染症の拡大により、茨城大学としては初めて全体で遠隔授業を導入し、手探り状態で進めてきましたが、今回の授業アンケートからは、それぞれの学生がきちんと遠隔授業に対応し、十分な学修成果を得られたと回答していることに安心しました。これは学生のみなさんと教職員の努力の賜物といえるでしょう。
加えて、原則対面で実施した昨年度の授業アンケートの調査に比べ、全面遠隔授業の今年の調査では、理解度、満足度が多少なりとも向上しているという点は、興味深いところです。自由記述も踏まえると、チャットシステムやアンケートシステムなどを効果的に使って、学生の参加機会を多く創出している授業は評価が高いことも見て取れます。教員もオンラインのさまざまなツールの存在を認識し、それらを積極的に活用して新しい授業スタイルを探究・実践していて、それが学生たちの理解度・満足度に着実につながったのだと思います。
また、予習・復習の時間が伸びていることも注目に値します。学生の授業外学修の時間をどう増やすか、というのは日本の大学教育の課題といえますが、適切な教材の提供や、オンラインでの実施による移動(通学)時間の削減なども、今後学生の授業時間の増加に寄与するかもしれません。
ただし、多くの学生たちから、キャンパスへ行きたい、友人に会いたいという切実な思いが示されており、現在実施している新入生向けの生活実態調査でも、友人に会えないことの悩みが明らかに大きいことが見えています。大学の教育は授業だけで完結するわけではなく、キャンパスでの生活も教育の欠かせない要素です。今後、学修効果や学生生活の充実の面から最良の方策を検討し、特に新入生のみなさんに向けては級友や教員のコミュニケーションの場の提供などを提案していきたいと考えています。後学期以降の対応について、くわしくは授業開始の9月29日までに十分な余裕をもってお知らせする予定です。
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