自分の仕事をリモートワークで続けながら、田舎で農業のお手伝いにも挑戦!秋田で取り組む“半農半X(はんのうはんエックス)”
農ある暮らしに関心をもつ都会の若者が、世界自然遺産の麓の町で複業生活。2年間で12名の参加者が半農半Xを体験しています。
特定非営利活動法人八峰町観光協会(秋田県山本郡八峰町峰浜沼田字ホンコ谷地57-2、会長:太田治彦)は、秋田県農林水産部農山村振興課より「あきた田園ライフ調査事業」を受託し、半農半X体験を実施しています。農林漁業の労働力不足を克服する一手として、都市部で在宅勤務する方や田舎暮らし志向の方を対象に八峰町で半農半Xを体験してもらい、両立可能な働き方や所得確保の仕組みについて調査します。実施期間は令和4年12月3日まで。
【半農半Xとは】
半農半Xとは、田舎に滞在しながら自分の仕事(本業)をリモートワークで継続しつつ、農林漁業など(副業・複業)でも収入を得る働き方のこと。1990年代に塩見直紀氏が提唱したライフスタイルです。
半農半Xは令和2年3月に閣議決定された農林水産省「食料・農業・農村基本計画」に盛り込まれており、農村を支える新たな活力の創出、多様な農への関わりが期待されます。秋田県では自分の仕事と農林漁業を組み合わせた新しい兼業スタイル「あきた型半農半X」モデルの構築を目指し、令和3年度から調査事業を進めています。
【参加者情報】
八峰町観光協会はこれまで8組10名を受け入れ、今後さらに2名を迎える予定。東京都、神奈川県、愛知県、大阪府のほか秋田県内から応募があり、ITエンジニアやカメラマン、モデル、セノグラファー、ギタリストなど多岐に渡る職業の参加者が半農半Xを体験します。参加者には5万円上限に交通費を助成し、リモートワーク拠点となる宿を提供します。農林漁業のアルバイト代は受入先から支給されます。参加者には約3週間の滞在期間中、自分の仕事と農林漁業アルバイトをこなしながら、取り組みの様子を情報発信してもらいます。
【取り組みによる効果】
八峰町半農半Xの体験参加者のなかには、単に働き手としてのみならず、自らのスキルや経験をもって地域に貢献したいという想いのある人がいます。椎茸農家でお手伝いした参加者は、パック詰めされた椎茸のパッケージデザインを提案されました。冬にやってきた参加者は、田植えを手伝いたい理由から半年後に再訪されました。体験終了後も参加者と農家がSNSで繋がり続ける様子もうかがえます。半農半Xを切り口に、付加価値創造のイノベーションや関係人口の創出が期待できます。
【今後の展望】
新型コロナウイルス感染症の影響により、フルリモートで勤務するスタイルが急加速。都市に暮らす人にとって居住地と働く場所が同じである必要がなくなった今、地方に拠り所を求める「移業」の流れが現実になりつつあります。世界自然遺産白神山地の麓に位置する秋田県八峰町には、美しい田園風景や懐かしい漁村の景色が残されており、半農半X的ライフスタイルを体験するのに十分な環境があるといえます。これから先、都市のニーズと地方の課題を丁寧にマッチングさせることで、まちの景観維持と心豊かな暮らしづくりに寄与したいと考えています。
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