広島県安芸高田市の農家が取り組むフェアトレードJ-クレジット「Fair-Farm Credit」がJ-クレジット制度に登録!

「地域から日本の食の未来に還元するJ-クレジット」の販売予約をスタート!

株式会社Rev0

 株式会社Rev0(ヨミ:レボ、本社:広島県安芸高田市、代表取締役社長:本多正樹、以下「当社」)が2023年より取り組むJ-クレジット創出プロジェクトが、2024年8月22日(木)に開催された第61回J-クレジット制度認証委員会において正式に登録されましたことをお知らせいたします。

 当該プロジェクトは、広島県の中山間地域である安芸高田市において、農業経営体の稼ぐ力を高め、地域から日本の食の未来を守ることを目的に農家が主体となって実施しております。

 本取り組みは水稲栽培のプロセスである中干しを一定期間延長することでメタンガスの排出を抑制し、その抑制量をJ-クレジットとして販売するものであり、水稲栽培における中干し延長を通じたJ-クレジットの承認・登録は、広島県内では初の事例となります。

 今後は2025年1月頃にJ-クレジット制度認証委員会でのモニタリング認証を経て、Jクレジットの販売を開始する予定となります。販売のご予約を承っておりますので、J-クレジット購入に関心のある企業の皆様はお問い合わせいただきますようお願いします。

中干し延長を通じたJ-クレジットについて

 J-クレジット制度は、日本政府が運営する温室効果ガス排出削減量をクレジット化する制度です。クレジットは、森林の適切な管理や、 省エネルギー設備の導入などによって実現されたCO2の削減量を認証するもので、企業や個人が購入することで、自らの排出量をオフセット(相殺)することができます。

 中干しは水稲栽培におけるプロセスの一つであり、稲作の生育期間中に出穂前に一度水田の水を抜いて田面を乾かすことで過剰な分げつを防止し、成長を制御する作業を示します。この作業を7日間延長することにより、水と有機物を活動条件とするメタン生成菌の活動を抑え、二酸化炭素の28倍もの温室効果をもたらすメタンガスの発生を減少させることができます。その削減分がJ-クレジットとして認証、販売されています。

当社の解決したい課題・目指すゴール

 当社代表は広島県安芸高田市で、約50haの水稲栽培を中心とした農業法人を経営しております。農林水産省の発表によると、2020年時点で全国の農家数は約175万戸に減少しており、これは20年前と比較すると約56%の減少となります。特に中山間地域を多く抱える広島県においては、この問題は深刻な課題となっています。

 この減少は、新規就農者の数を上回る高齢農家の引退によるものであり、その根底には、農産物の価格や収益の不安定さ、すなわち経済的な不安定さによる後継者不足が関係していると私は考えています。

 加えて、自然環境の変化に伴う作物への影響も、無視できない課題となっています。事実として、近年の地球温暖化の影響により、全国的に稲の収穫量の減少が見られ、品質に影響を及ぼす白未熟粒の発生や米粒が白く濁るなどの高温障害も各地で報告されています。

 このような課題に対応するためには、地域における新規就農者の増加を促進し、農業の環境的価値を高めることが重要と考えています。そしてこの度、環境価値の創出を通じて農家の稼ぐ力を高め、地域から日本の食の未来を守るという信念のもと、株式会社Rev0、そして全国の意欲ある農家で創る脱炭素協議会であるNet-Zero Farmers(ヨミ:ネットゼロファーマーズ)を設立いたしました。

当社の強み・他社との違い

 2023年3月に中干し延長を通じたJ-クレジットの方法論が確立されて以来、複数の企業様がこの手法によるJ-クレジットの創出に取り組まれています。

 当社では、以下の2点を重視し、取り組みに参加する農業経営体、およびJ-クレジットの購入を検討される企業様が安心してクレジットを創出・購入できる仕組みを構築しております。

中干し延長による収量低下リスクを低減する「水稲生産者FIRST」の視点での取り組み

 当社の強みは、「水稲生産者FIRST」の視点で支援を行い、多くの農業経営体の収益力向上に貢献できる仕組みにあります。

 中干し延長によるJ-クレジット創出は多くの農家にとって魅力的ですが、土壌の水分不足に伴う稲の生育不良や収量低下のリスクを孕みます。具体的には、中干し延長による反収低下額は平均3.4万円/haとなり、中干し延長のクレジット収益を受け取ったとしても、水稲生産者は平均して約2.2万円/ha損する可能性があります(当社試算)。このことから、農家の新たな収入源として中干し延長を実施するには、収益メリットの出る圃場の目利きや中干し期間における技術的支援など、適切な対応が肝要といえます。

 当社では、豊富な経験を持つスタッフを中心に、広島県西部農業技術指導所様やJA全農ひろしま様、JAひろしま様など、水稲栽培に関する専門機関と連携し、試験圃場でのテストを通じて中干し延長を行う各圃場の特性に応じた指導方法の研究を進めております。

 例えば、JA全農ひろしま様やJAひろしま様、広島県西部農業技術指導所様との研究では「適切な中干し開始タイミングの見極め調査」を実施しております。この調査では、早晩性の異なる品種を使用し、通常の中干し期間を基準として前後7日間および後14日間の延長を行い、品種の早晩性や中干し期間の違いが稲に与える影響を調査しています。

JA全農ひろしま様等による、試験圃場での調査風景。写真は中干し延長前に水田から発生するメタンガスを採取・観測している様子。

 また、広島県西部農業技術指導所様との研究では「土壌の質の見極め調査」を実施しております。これは、同じ期間中干し延長を行った際、排水性の良し悪しや土壌の分類、さらに品種等の条件の違いが稲の生育にどのような影響を与えるかを調査するものです。

広島県西部農業技術指導所様による、試験圃場での調査風景。写真は中干延長試験後に稲の生育状況を確認している様子。

 これらの調査結果をもとに、中干し延長に低リスクで取り組める条件を定式化することで、農業経営者が安心して事業に取り組める環境の整備を進めております。これにより、多くの農業経営体の持続可能性に貢献するJ-クレジット制度の実現を目指しています。

スタッフと農家の密な連携を通じた「生産者の顔が見える」安心なクレジット

 本取り組みでは、当社スタッフと事業に参加する農家の日々の現場でのコミュニケーションを通じて、クレジット承認に必要となる各種情報の収集やトラブル対応を行っています。

当社スタッフによる圃場見回りの様子。作物障害のリスクを回避しながら中干し延長を実施するためにも、農家との密なコミュニケーションは欠かせない。

加えて、各圃場には遠方の水田の水位をアプリで一括確認できる水位計を計50台導入しております(farmo社製)。これにより、中干し延長期間中の不正な給水を防止するだけでなく、アプリの異常検知機能を活用することで、迅速なトラブル対応が可能となります。

水位計の設置風景。アプリでは水位変化をリアルタイムに確認することができるため、中干し延長が不正なく、適切に実施されていることを担保できる。

 これらの取り組みは通常のクレジット創出に比べて手間がかかりますが、その分、作物障害や不正のリスクを低減し、安心して購入いただけるクレジットを提供することができます。

R6年度参加の農業経営体

 本年度は、広島県内の8つの農業経営体と共に中干し延長事業を推進し、計1,382万円(307ha分)のJ-クレジット創出を見込んでおります。 ※以下R6年度参加の農業経営体一覧(順不同)

株式会社ハラダファーム本多

安芸高田市

株式会社恵

世羅町

株式会社雄飛会

安芸高田市

株式会社今桐ファーム

安芸高田市

株式会社ヒロマサ

安芸高田市

出張農園

安芸高田市

山本農園

安芸高田市

小早川農園

安芸高田市

農事組合法人殿垣内

庄原市

今後の展望

 直近では、本年度の実績を通じて、広島県内のその他農業経営体の皆様に事業趣旨とその効果をご理解いただき、中干し延長事業のさらなる拡大を図り、県内農業経営体の収益向上に貢献することを目指しております。

 将来的には、この事業を通じて実証・構築された仕組みをモデルケースとし、広島県近隣エリアへの事業展開を進めることで、日本各地で食の未来に貢献する農業経営体を創出することを、一つの目標としています。

 さらに、中干し延長事業にとどまらず、有機栽培やバイオ炭の導入など、温室効果ガスの削減に資する栽培方法の採用を通じて、新たなJ-クレジットの創出に挑戦し、事業の幅を広げてまいります。

 冒頭でも触れました通り、全国的に農業従事者の減少が続いております。私をはじめ当社のスタッフと地域が一丸となり、人々の生活に欠かせない「食」を支える農業を次世代へと継承していくため、これからも誠心誠意取り組んでまいります。

メンバープロフィール

本多 正樹(ほんだ まさき)

株式会社Rev0 代表取締役社長/株式会社ハラダファーム本多 代表取締役

広島県安芸高田市で約50haの水稲栽培を中心に農業法人を経営しています。

安芸高田市高宮町酒米部会役員、安芸高田市農業法人協議会の会長、JA広島北部ひろほく農考会の会長等を歴任し、地域の農業者の稼ぐ力の向上に尽力してきました。

昨年度からは広島県seed box DX実証農場として協力する等、これまでの農業の枠に囚われない新しい事業モデルの創出に携わっています。

そんな中、農業経営体として主体的に新たな価値の創出事業を興すべく、2023年4月に株式会社Rev0というスタートアップを創業しました。

田島 あゆみ(たしま あゆみ)

株式会社rev0 マネージャー/田島牧場 牧場長

広島県安芸高田市で乳用牛40頭ほどを飼育している酪農家です。

前職は農林水産省の畜産担当職員として、飼料、牛乳乳製品、肉の消費拡大、食育などを担当しました。

年々関心が高まっている環境問題ですが、農業分野での取り組みはまだまだ多くありません。

環境負荷低減に取り組む農業者仲間の力になれればと思い、株式会社Rev0でお仕事をさせていただくこととなりました。

当社では、J-クレジットの登録から販売に係る機関との調整や各種事務作業を担当いたします。

出張 一樹(ではり かずき)

株式会社rev0 フィールドアドバイザー/出張農園 代表

広島県安芸高田市で水稲10haを耕作している農家です。

前職では、(現)JAひろしまの職員の課長職として水稲の営農指導を担当しておりました。

同じ農業者として農家の収入増につながりつつ、地球環境の保全活動につながればと思い、株式会社Rev0に参画しました。

当社ではフィールドアドバイザーとして、中干し延長の見回りや技術サポートを担当いたします。

会社概要(本プログラム事務局)

社名 : 株式会社Rev0

住所 : 〒739-1805 広島県安芸高田市高宮町原田1679 

設立 : 2023年3月

代表 : 本多 正樹

URL : https://net-zero-farmers.com/

事業内容 : 農業による温室効果ガスの削減を通じたJ-クレジットの創出・販売

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ビジネスカテゴリ
環境・エコ・リサイクル
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会社概要

株式会社Rev0

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業種
情報通信
本社所在地
広島県安芸高田市高宮町原田1679
電話番号
090-4805-2053
代表者名
本多正樹
上場
未上場
資本金
50万円
設立
2023年04月