創業百年を迎え技術の継承と伝統を未来につなぐ唐破風式台建立。
伝統的な建築技術を現代に活かし、次世代への架け橋を築く取り組みを紹介します。 唐破風式台の設立により、地域文化の継承と発展を図る使命を再確認いたします。
白山市鶴来地区に古くから根付く宮大工の技を発信しようと、
創業100年を迎えた株式会社 済田工務店(本社:石川県白山市明島町春89番地 代表取締役:済田 稚博)は、本社入口に丸い曲線屋根が特徴の「唐破風」の屋根を配した式台を建築した。
白山比咩神社や金剣宮など地区を代表する社寺建築に見られる技法で、四代目を目指して修行中の
済田泰杜(23)がほぼ一人で手掛けた。
唐破風は社寺建築特有の形式とされ、中央部は弓形になり、左右両端が反りかえった曲線状になっている。済田工務店は1924(大正13)年、旧鶴来で宮大工だった済田安治(故人)が創業した。
神社仏閣のほか、数寄屋建築や住宅、店舗、公共工事などさまざまな建築に携わっている。
泰杜(23)は金沢市内の専門学校を卒業後、2年前から「となみ野建築」(砺波市)で働く。
現在は、いずれ済田工務店に入るまでの「修行期間中」で、宮大工の技術習得に励んでいる。
唐破風式台の制作には、今年2025年1月から取り掛かった。曲線を描くように檜を切ったり、釘を
使わず組み上げたりする作業を進めた。天井には格子状に木を組む建築様式「格天井」を採用した。
3代目の父稚博社長(48)は「自分は7年修行したが、技術的にはもう抜かれた。唐破風を造れれば何でもできる」と目を細める。2代目の祖父英治会長(74)も「すごいもんや」と孫の頑張りをたたえる。唐破風式台は高さ約4メートル、幅約5メートル、高さ3メートルで、屋根には職人がふいた銅板が光り輝く。泰杜は「建築を依頼された時は、失敗しないか不安だったが、満足のいくものを造ることができてほっとしている」と語った。今後の事業拡大と地域貢献を目的として様々なプロジェクトを考案している。

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