NANO MRNA × SBIグループが描く新しいヘルスケアの未来。金融と創薬が手を組み「コングロマリットモデル」始動
2025年10月8日午後、東京証券取引所内にある兜クラブ記者会見室にて、NANO MRNA株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・秋永士朗氏)は、株式会社SBI証券、SBI新生企業投資株式会社との提携を発表するための記者会見を開きました。
RNA創薬を軸に成長してきたバイオベンチャーが、金融事業へ本格参入。
これまでの製薬企業の記者発表とはひと味違う、産業横断型の大きな一歩に、会場の空気は期待感に包まれていました。

また、当日は以下の登壇者が一堂に会し、今回の提携の背景や今後の展望を語りました。
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SBI新生企業投資株式会社 代表取締役社長 植坂 謙治 氏
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株式会社SBI証券 シニアマネージングディレクター 石井 巨道 氏
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NANO MRNA株式会社 代表取締役社長 秋永 士朗
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同社 CIO(チーフインベストメントオフィサー)/Nano Bridge Investment社長予定 飯野 智
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同社 CGO(チーフグロースオフィサー) 富所 伸広
各登壇者は、それぞれの立場から新ビジネスモデルへの期待や今後の成長戦略を語り、会見は熱気を帯びたものとなりました。
秋永社長が語る「ヘルスケアのための金融」
会見の冒頭、秋永社長は次のように切り出しました。
「当社は創薬の技術力を強みに発展してきましたが、日本のバイオベンチャーが抱える課題は資金調達と成長の両立にあります。そこで金融機能を取り込み、ヘルスケア分野における“コングロマリット”モデルを構築します。これにより、革新的な技術を持つ企業を支援し、同時に株主価値の向上を実現していきます。」
NANO MRNAは新たに投資会社「Nano Bridge Investment」を設立し、SBI新生企業投資と共同でファンドを運営。株式を活用したM&Aとファンドによる資金供給を一体化し、バイオ・ヘルスケア分野の有望企業の成長を加速させる方針を示しました。

SBIグループが共感した課題意識
続いて登壇したSBI証券の石井巨道シニアマネージングディレクターは、日本のバイオ・ヘルスケア産業が抱える資金調達環境の課題を詳しく語りました。
「ここ数年、投資家のリスク許容度の低下により、バイオ企業は開発段階にかかわらず上場時の時価総額が100億円程度で頭打ちになる“バイオ100均問題”と呼ばれる現象が起きています。
その結果、十分な資金を確保できないまま早期ライセンスアウトや小粒上場を選ばざるを得ず、本来の成長力を発揮できない負の循環が続いているのです。」
石井氏はさらに、東証グロース市場の上場維持基準の見直しにより、企業にはより高い成長性やグローバル展開が求められるようになったものの、後期臨床試験や海外開発を支えるレイターステージでの資金調達は極めて難しいと指摘しました。
「こうした状況を打破するには、複数のスタートアップの合従連衡や戦略的M&Aを含め、資金調達能力を高める取り組みが不可欠です。NANO MRNAが打ち出した“金融機能と事業運営を一体化したコングロマリットモデル”は、まさにこうした課題の解決につながるもので、私たちが目指す方向性と一致しています。」

続いてマイクを握ったSBI新生企業投資の植坂謙治社長も、今回のファンドに対する強い期待を語りました。
「バイオベンチャーはパイプラインを持ちながらも、資金調達が進むと現株主では支えきれなくなるケースが多く、成長のボトルネックになっています。
私たちがNANO MRNAと共同で運用するファンドは、既存株主に流動性を提供しつつ、新たな投資家には適正なバリューで参入できる機会を生み出すものです。」
植坂氏は、この仕組みが単なるセカンダリー投資にとどまらず、日本のバイオヘルスケア分野に「地殻変動を起こすムーブメントになる。」と表現。
「このモデルは業界の資金循環の構造そのものを変える可能性があります。私たちにとってもGPとして貴重な機会であり、LP投資家の皆様のリターンを最大化できるよう全力を尽くします。」

両氏の発言からは、日本のバイオ業界が抱える構造的な課題を共有しつつ、今回の提携がその解決に向けた実践的な取り組みであることへの強い期待感が伝わりました。
新モデルが目指す未来
今回の取り組みでは、RNA創薬、再生医療、AI創薬、新規DDS技術、医療機器などの革新的パイプラインを持つ企業に重点投資。
12月11日に臨時株主総会を開き、2026年4月にはホールディングス体制への移行を予定しています。
初期ファンドは総額100億円規模、4年後には運用資産規模300億円、ポートフォリオ企業10社、時価総額500~1000億円を目指すなど、成長戦略を掲げています。
CIO・飯野とCGO・富所が描く戦略
新体制の柱となるのが、CIO(最高投資責任者)に就任した飯野智と、CGO(最高成長責任者)の富所伸広です。
飯野は25年にわたる国内外のベンチャー投資の実績を持ち、企業買収後の成長支援にも定評があります。今回の会見では、新会社「Nano Bridge Investment」のファンド戦略について次のように説明しました。
「私たちのモデルは、日本のバイオ・ヘルスケア業界では前例のないものです。対象企業のマジョリティを株式交付で取得しつつ、その成長資金をファンドから供給します。M&Aとレイトステージ投資を一体化することで、投資先をコントロールしながらレバレッジを効かせ、リスクを分散できます。」
さらに飯野は、バイオベンチャーが資金不足で価値を維持できずに低迷している現状を指摘。
「資金の枯渇により企業価値が急落してしまう例が少なくありません。しかし投資の基本は“安く買って、高く育てて、高く売る”ことです。私たちは安く入ることで含み益を確保しつつ、バリューアップに注力することで、より大きなリターンを目指します。」
こうした戦略により、単なる資金提供にとどまらず、投資先企業の再成長を実現することが可能になると強調しました。

一方、富所は日東電工で主力事業の大規模成長を牽引した経験を持ち、研究開発の成果が眠る企業の事業をカーブアウトし、ヘルスケア領域との融合で成長を加速する方針を語りました。
「実際に多くの経営者と話したところ、埋もれた技術を活かしてほしいという声は想像以上に多い。期待感の高さを肌で感じています。」

飯野のファンド戦略と富所の成長戦略が合流することで、ヘルスケア産業の革新を推進する強力な体制が整ったと言えます。
熱気あふれる質疑応答
質疑応答では、金融参入によるガバナンス体制や投資先の選定基準、今後のM&Aの方向性など、目標とする数値の確認など、多くの質問が寄せられました。
登壇者たちは一つひとつ丁寧に答え、ファンド運営への覚悟を示しました。
フォトセッションでは、笑顔の中に決意がにじみ出る、登壇者たちの姿が印象的でした。

「ヘルスケア×金融」で描く未来
NANO MRNAは、SBIグループとの連携を通じてヘルスケア産業の成長を支えつつ、株主価値の向上を目指します。
会見の最後に秋永社長はこう締めくくりました。
「ヘルスケア分野の革新を金融の力で加速させ、未来の医療を変えていきたい。」
今回の発表は、新しいヘルスケア・コングロマリットモデルの誕生を告げるもので、金融とヘルスケアを結ぶ新たな取り組みとしてメディアの注目を集めました。会見では多くの質問が寄せられ、関心の高さがうかがえました。
記者会見動画をYoutubeで公開しています。ぜひご覧ください。
【会社概要】
社名: NANO MRNA株式会社
代表: 代表取締役社長 秋永 士朗(あきなが しろう)
本社所在地:東京都港区愛宕2-5-1 愛宕グリーンヒルズMORIタワー26階
URL: https://www.nanomrna.co.jp
設立年:1996年6月
資本金:166百万円
従業員数:20名
事業内容:医薬品の研究開発および製造
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