こども性暴力防止法 施行まで1年こども家庭庁が、認定・法定事業者マーク「こまもろう」を発表

「こどもをまもる」マークをゲッツ!!2児の父・ダンディ坂野さんが登壇

　こども家庭庁は、「こども性暴力防止法」の施行をちょうど1年後に控えた2025年12月25日（木）、『こども性暴力防止法 認定事業者マーク発表会』を開催しました。本イベントでは、事業者マーク「こまもろう」の発表に加え、制度概要の説明やゲストによるトークセッションを実施しました。ゲストとして2児の父であるお笑い芸人・ダンディ坂野さんが『こまもろう1日アンバサダー』として登壇し、家庭でのこどもとの向き合い方や、安全を守るための普段の工夫を語りました。

　「こども性暴力防止法（正式名称：学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律）」は、学校や保育所、学習塾等の習い事など、こどもに対して教育・保育等を提供する事業での性暴力を防止するための制度で、2026年12月25日に施行を予定しています。

■法施行まで1年、「こまもろう」マークを発表

　発表会冒頭では、こども家庭庁・渡辺長官が登壇し、法律に基づき、こどもを性暴力から守るための取組を適切に行う事業者が表示できる「こまもろう」マークを発表しました。本マークは、学習塾やスポーツクラブなど、認定を受けて取組を行う事業者用のマーク「認定事業者マーク」と、学校や認可保育所など、取組が義務となっている事業者用のマーク「法定事業者マーク」の２種類があります。事業者は、施設や広告などに本マークを表示することで、性暴力防止に取り組む事業者であると、こどもや保護者等に知らせることができます。

　「こまもろう」という名称には、「こどもを守ろう」という呼びかけの意味を込めています。モチーフは、大きな目でこどもを見守る「フクロウ」です。こどもをしっかり“見て守る”黒い大きな瞳とこどもを守るために張り巡らせた“アンテナ”を思わせる少し尖った頭の形が特徴で、デザインは、暖かいオレンジを基調に、背景に青とピンクを用いることで、こどもにも親しみやすく、さまざまな場所で見つけやすいデザインにしました。

　渡辺長官は「こどもを性暴力から守るためには、国や行政、教育や保育の現場はもちろんですが、そこでの取組だけでなく、こどもと接する全ての方の理解と協力が必要です。『こまもろう』マークが、こどもを性暴力から守る社会を実現するための一つのシンボルであると同時に、『こまもろう』という言葉がこどもを性暴力から守る全ての取組の合言葉になっていってほしいと思います。このマークを通じて、こどもたちや保護者、教育・保育などの現場で働く皆様一人一人がこどもの安心を考え、こどもを性暴力から守るために行動する社会を作っていきたいと思います。ぜひみなさまのご協力をお願いいたします」と呼びかけました。

■「こまもろう1日アンバサダー」として2児の父・ダンディ坂野さんが登壇

　その後、お笑い芸人で2児の父でもあるダンディ坂野さんを「こまもろう1日アンバサダー」として迎え、こども性暴力防止法施行準備検討会の構成員である弁護士・上谷さくらさん、公益社団法人全国私立保育連盟 常務理事・丸山純さんとご登壇いただきトークセッションを実施しました。

　トークセッション冒頭では、弁護士の上谷さんが、性暴力被害の相談を日常的に受けている立場から、「教育・保育現場で表に出てくる被害は氷山の一角にすぎず、どこにでも起こり得るからこそ、制度としての対策が必要です」と指摘しました。

　お笑い芸人で2児の父でもある ダンディ坂野さんは、「高校生の娘と小学生の息子がいますので、性被害は決して他人事ではないと感じています」と語り、家庭での意識について言及。「日頃から家族でしっかりコミュニケーションを取り、何かあったらすぐ話してほしいと伝えています」と、親としての姿勢を明かしました。

　また、公益社団法人全国私立保育連盟常務理事の丸山さんは、こども性暴力防止法に基づくガイドラインについて、「こどもに対して、やっていいことと気をつけなければいけない対応が明確化されたのは、とても良かった。今回のガイドラインは、現場を縛るものではなく、むしろ、こどもはもちろん保育者も守るためのものだと受け止めています。」と評価しました。

　「こどもの変化にどう気づくか」というテーマでは、ダンディ坂野さんが家庭での具体的な取り組みを紹介。「塾から帰ってきたあとも、なるべく家族そろって食事をするようにしています。ゲームを一緒にするなど、日常の中で息抜きしながら話せる時間を大切にしています」と語りました。

　さらに、ダンディ坂野さんは、この日発表された事業者マーク「こまもろう」について、「可愛らしくて目に留まりやすいマークなので、こどもにも大人にも伝わりやすいと思います。塾や習い事を選ぶときに、このマークがあれば、親としても安心感が増しますし、人にも紹介しやすいですね」と評価しました。

　最後に丸山さんは、「（キーワードの）『みんなでまもろう』は、保育者等の現場で働く人だけではなく、行政などこどもに関わる全ての人で守っていこうというメッセージです。今後も研修や体制整備を重ねながら、より良い制度として育てていきたい」と述べました。

上谷さんも、「こどもは無条件に守られるべき存在です。この制度が定着し、適切に運用されることで、こどもたちが安心して成長できる環境につながることを願っています」と語りました。

　トークセッションの締めくくりとして、ダンディ坂野さんは「こどもをまもるマークをゲッツ!!」とユーモアを交えてコメントし、会場は温かい雰囲気に包まれました。

【登壇者プロフィール】

ダンディ坂野

1967年生まれ。石川県出身。1996年にダンディ坂野としての活動を開始。

2003年、「ゲッツ!!」のフレーズで大ブレーク。

テレビ出演以外にも、営業やCM出演、ドラマ出演など、多岐にわたり活躍している。

高校1年生の娘と小学6年生の2児の父でもあり、こどもとのエピソードが最近話題に。

上谷さくら

福岡県出身。青山学院大学法学部卒業後、毎日新聞社入社。

記者として甲府支局で事件、政治等の取材に携わった後、退社して司法試験に合格し、弁護士に。専門は、犯罪被害者に関する刑事事件・民事事件。特に、性被害、ＤＶ、ストーカー、交通死亡事故に関する事案が多い。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長、こども性暴力防止法施行準備検討会の構成員を務める。著書に「犯罪被害者代理人」（集英社新書）等

丸山純

1967年生まれ。1997年に第二勝田保育園に入職後、長年保育現場に携わり第二勝田保育園園長、勝田保育園園長を歴任。2026年より潮見保育園園長に就任予定。公益社団法人全国私立保育連盟常務理事として、全国の私立保育の質向上と制度整備に尽力。こども性暴力防止法施行準備検討会の構成員を務める。

■こども性暴力防止法について
2026年12月から始まる「こども性暴力防止法」は、学校や保育所、学習塾やスポーツクラブなど、こどもに対して教育・保育等を提供する場での性暴力を防止するための制度です。法律が施行されると、こうした施設・事業者には、従事者に対する性犯罪前科の有無の確認のほか、相談窓口の設置、性暴力やその疑いが生じた際の調査、被害児童の保護・支援、従事者への研修などのこどもへの性暴力を防ぐための取組が求められます。学校や認可保育所等の公的な施設は全ての施設が必ずこうした取組を行うこととなり、学習塾やスポーツクラブ等の民間事業者についても、国の定める基準を満たし、認定を受けることで同様の取組を実施することとなります。これらの施設・事業者は「こまもろう」マークを表示することができ、こどもを性暴力から守るための取組を適切に行う施設・事業者であると、こどもや保護者から一目でわかるようになります。