事業戦略と人事の整合を測る指標「OPRI 事業戦略・人事 連動スコア」、東証 プライム・スタンダード・グロース市場3,684社の中央値は100点満点で24.5点―有価証券報告書を人事17領域で全数採点
第2弾では範囲を東証3市場に広げ、人事の仕組みを17の領域に分けてそれぞれが自社の事業戦略から導かれていると読めるかを判定した。
組織人事総合研究所株式会社(OPRI、本社: 大阪府大阪市、代表取締役: 中北順也 https://opri.co.jp/)は、事業戦略と人事の仕組みが有価証券報告書のなかで記述として結ばれている度合いを測る指標「事業戦略・人事 連動スコア(略:戦略・人事連動スコア)」を初めて公表します。→ https://opri.co.jp/report
東京証券取引所プライム・スタンダード・グロース市場に上場する国内企業3,684社(各社の直近の有価証券報告書・2026年7月時点)を人事の仕組み17領域・5段階で採点した結果、100点満点で中央値は24.5点、最も高い会社でも63.7点でした。上場企業の57%(3,684社中2,087社)は、人事の取り組みを書いてはいてもそれがどの事業戦略のためなのかを説明できていません。
本レポートは「事業戦略と人事の整合性調査2026」の第2弾です
背景
人的資本の開示は2023年3月期に義務化され、2026年3月期からは経営戦略等と関連付けた人材戦略の開示が求められています。開示のルールは「人について書くこと」から「戦略とつなげて書くこと」を求める段階に入りました。
2026年9月には、その次の段階を示す資料が公開されました。経済産業省 経済産業政策局 産業人材課の委託調査報告書(受託: みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)です。同報告書は、人的資本の開示について「①経営戦略や成長投資と人的投資との関係性」「②成長投資としての人的投資の内容」「③人的投資の効果や成果をどのように捉え、検証しているのか」の三つを挙げ、これらを「一定のストーリーとして説明すること」を求めています。つまり、戦略から人への投資、その成果までが一続きの説明になっているかが問われている、ということです。
戦略・人事連動スコアが測るのは、このうち①の関係性です。弊社が発刊したレポート第1弾(2026年8月)では、東証2市場(スタンダード・グロース市場)において事業戦略とつながった人事を記述で示せた会社を型に分けました。第2弾では、範囲を東証プライム市場を加えた3市場に広げ、その結び付きの度合いを人事の仕組み17領域について判定し、100点満点で表しました。
本調査が有価証券報告書だけを読むのは、3,684社を同じ土俵で比べるためです。有価証券報告書に書かれていないことは、その会社の事業戦略と人事が噛み合っていないことを意味しません。それでも、すべての上場企業に法定で課され同じ様式で書かれる文書は有価証券報告書だけであり、3,684社を横断して同じ物差しを当てられるのも有価証券報告書だけです。
出典: 経済産業省 経済産業政策局 産業人材課(委託先: みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)「令和7年度産業経済研究委託事業(国際的な人的資本情報開示の動向に関する調査)調査報告書」2025年12月(2026年9月10日公開)。引用はp.3・p.89・p.91

主な発見(3点)
1. 中央値24.5点、最も高い会社でも63.7点。17領域すべてで最上段に達した会社はない
東証3市場3,684社の戦略・人事連動スコアは、100点満点で平均25.3点・中央値24.5点・最も高い会社で63.7点でした。分布の中心は15〜30点にあり、57.3%(2,112社)がここに入ります。40点以上は6.4%(236社)、50点以上は0.68%(25社)です。上位10%に入る目安は37.3点、上位1%は48.0点。
採点は「書いてあるか」ではなく「その会社に固有か」を見ており、最上段は戦略側の一文と人事側の一文を原文の引用で結べる場合にしか与えないため、意図して厳しい値になっています。

2. 3市場上場企業の57%は、人事の取り組みがどの事業戦略のためなのかを説明できていない
東証3市場上場企業の57%(3,684社中2,087社)は、人事の取り組みを書いてはいてもそれがどの事業戦略のためなのかを説明できていません。
説明できている取り組みは1社あたり平均0.7個です。1つでも説明できている企業は43%(1,597社)、その6割(977社)は1領域だけで、3領域以上で説明できている企業は6.7%(246社)、17領域すべてで段2以上に達した企業は16社(0.43%)でした。
17領域のうち最も書けているのは育成体系・プログラム、最も書けていないのは組織設計です(領域別の値は本文第4章)
3. 規模・業種・市場の違いを取り除くと、財務との関係はわずか。成長性とは無関係
大きい会社・有価証券報告書を厚く書く会社ほどスコアは高い傾向がありますが、スコアは規模と記述量だけでは決まりません。企業規模・業種・市場の違いを統計的に取り除いても、戦略・人事連動スコアはROE・ROA・平均年間給与とわずかに正の関係を持ちますが、売上高の成長率などの成長性とは関係が見られませんでした。
これは相関であり因果ではなく、かつ単年の断面です。数値と限界は本文第5章に示しています。
経営への含意
人的資本の開示は義務化され、いまや全社が有価証券報告書のなかで自社の人材について語っています。差がつくのは、書いているかどうかではなく、書かれた内容が自社の戦略と結ばれているかどうかです。
戦略・人事連動スコアの中央値24.5点は、その結び付きが有価証券報告書から読み取れる会社が、まだ少数にとどまることを示しています。結び付きが読み取れないことは、採用市場・資本市場への説明力の問題として経営に返ってきます。
本調査の限界
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本調査が読んでいるのは開示であり、実態そのものではありません。記述がないことは、取り組みがないことを意味しません。
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有価証券報告書に画像として貼られた組織図や戦略マップは文字に起こして読んでいますが、図表だけで示された内容を文章と同じ精度で測ることはできません。
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同一の有価証券報告書を同じ方式で再採点した場合に変動が生じ得ることは実測で確認済みで、変動幅は問い合わせに応じて開示します。私たちはこの幅を、判定回数の引き上げと基準の明文化によって年次版ごとに抑えていきます。
代表コメント(代表取締役 中北順也)
「経済産業省の委託調査報告書は、経営戦略と人的投資の関係性を『一定のストーリーとして説明すること』を求めています。私たちはそれが有価証券報告書のうえで実際に示せているかを、東証3市場3,684社について測りました。中央値24.5点、最も高い会社でも63.7点。この数字は企業の実態の低さではなく、有価証券報告書という文書のなかで結び付きが示されている度合いです。財務の指標とはわずかな関係が見られましたが、相関であり因果を言えるものではありません。」
レポートの入手方法
本編PDFは下記より無料でご覧いただけます。事前の登録は不要です。
引用条件・会社概要
本リリースおよびレポートの図表・数値は、出典として「組織人事総合研究所(OPRI)『事業戦略と人事の整合性調査2026 第2弾』」と明記(Webの場合は https://opri.co.jp/ へのリンク付き)いただければ、転載自由です。事前の許諾は不要です。個社の点数は公表していません。
組織人事総合研究所株式会社(OPRI、本社: 大阪府大阪市、代表取締役: 中北順也)は、「事業戦略×人事」—事業戦略と人事の接続—を専門とする調査・コンサルティング会社です。スタンダード・グロース上場企業約2,000社の有価証券報告書を全数で読む年次調査と、事業戦略と人事の整合性診断・検証・設計を提供しています。 https://opri.co.jp/
調査概要
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調査名=事業戦略と人事の整合性調査2026 第2弾(組織人事総合研究所(OPRI)調べ)
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対象=東京証券取引所プライム・スタンダード・グロース市場に上場する国内企業3,684社
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資料=各社の直近の有価証券報告書(2026年7月時点・EDINET)/財務データ=J-Quants(株式会社JPX総研)
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方法=人事の仕組み17領域それぞれについて、その領域の記述が自社の事業戦略から導かれていると読めるかを段0〜4の5段階で判定し、100点満点に換算。判定はAIによる読み取りと文書化した基準で行い、人が精読した正解データで検証
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発行=2026年9月
本リリースに関するお問い合わせ
報道関係者の方: 組織人事総合研究所株式会社 広報担当 メール: info@opri.co.jp
取材、コメント、図表・データ提供のご依頼に対応します。
一般のお問い合わせ: お問い合わせページ( https://opri.co.jp/contact )より
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