飲み物で働き方改革紅茶が脳の血流を活発にして生産性を高める
~精神神経科医で産業医の古賀良彦先生 研究~
検証の結果から、四者の中で特に紅茶は脳の機能を活性化させ自律神経のバランスを整え、さらに不安や緊張をほぐし活力をもたらすことによって、仕事の生産性を高めることがわかりました。
今年の4月以降、企業の働き方改革が積極的に進む中、その実現に、オフィス飲料とくに紅茶が貢献することが示唆されました。
<方法>
計算課題および記憶課題の遂行時に、コーヒー、紅茶、エナジードリンク、水の4種類の飲料を飲用してもらい、その際の脳血液量の変化を測定比較しました。脳血液量の測定法としては、近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)を用いました。なお計算課題にはクレペリンテスト検査(変法)、記憶課題には2バックテストを用いました。
紅茶がもっとも前頭葉の血液量を増加させる
計算課題(クレペリンテスト(変法))遂行中の脳血液量変化
暖色系の色が濃いほど、脳血液量が多いことを示します。計算課題、すなわち注意を集中して作業を行う際に、紅茶が最も脳血液量が増加しました。血液量増加はその部位の活動性が高まったことを意味します。すなわち紅茶は、脳のはたらきをもっとも活性化することがわかりました。(図1、図3)
記憶課題(2バックテスト)遂行中の脳血液量変化
記憶課題では、四者の中で紅茶は前頭葉の血液量を増加させる作用が計算課題よりさらに著明という結果が得られました。
前頭葉の機能は注意集中のみでなく記憶や判断、行動の制御など、非常に高度な機能をつかさどっています。紅茶はそのような高次の機能にかかわる部位を顕著に活性化することがわかりました。(図2、図4)
紅茶が交感神経の活動を適度に抑えて、自律神経のバランスを整える
自律神経に与える効果を心拍数測定機器を用いて測定すると、クレペリンテスト検査(変法)および2バックテストのどちらでも、エナジードリンクは交感神経活動を高め、水では副交感神経の活動が高まるという結果がみられました。一方、紅茶では、交感神経と副交感神経の活動のバランスが保たれていました。コーヒーは、クレペリンテストでは交感神経活動が高まりましたが、2バックテストでは交感神経と副交感神経のバランスが取れていました。
この結果は、紅茶は他の飲料と比較し、注意・集中を持続したり記憶力を発揮しつづける状況でバランスの良い心身の状態を保つように自律神経を機能させることを示唆しています。
心理に与える影響としては、紅茶は緊張を緩和させ、活力をアップ
理状態についてのアンケート(POMS2・日本語版・短縮版)では、「緊張/不安感」、「活気/活力」の2つの項目において、紅茶と他の飲料の間の差が明らかでした。すなわち、紅茶には、緊張や不安を和らげるだけなく、活気や活力を強めるという効果があることがわかりました。(図5)
<古賀杏林大学名誉教授のコメント>
働き方改革が積極的に進められるなかで、オフィスでの仕事の能率を向上させる方法として、日常よく用いられる飲料の効果を、脳生理学ならびに自律神経機能、心理状態(ストレスの自覚的軽減効果)の3つの次元で検証しました。
その結果、四者のなかで、紅茶が注意力の集中維持、および現代の記憶研究で注目されているワーキングメモリーの能力発揮にもっとも効果があるということがわかりました。ワーキングメモリーとは、ある仕事をこなす上で、脳にたくわえられた記憶のなかから必要なものを的確に素早く選び出し、判断や行動の遂行に役立てる能力です。これは仕事を効率的に進めるうえで最も求められる脳の機能であり、その中枢は前頭葉にあるとされています。今回の研究で紅茶は、注意集中のみでなく、ワーキングメモリーという仕事の遂行にあたり非常に重要な機能を高めるということが脳生理学的に検証されました。
また、自律神経機能の測定結果から、紅茶はその高度な機能を営む際に、自律神経のバランスを保ち、いたずらに緊張が強まることを防ぐ作用があることがわかりました。さらにアンケート調査の結果から、紅茶は活力を増進させる作用もあることが示されました。
これまで嗜好品は、仕事の合間にリラックスするために飲むものと考えられてきました。しかし紅茶には、ほっとひと息つくばかりでなく仕事そのものを遂行する能力を高める、すなわち生産性を高める作用があることが実証されたことが今回の実験で得られた重要な結果です。
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