新型コロナウイルスの影響により、取締役会も“非接触型”が増加
~取締役会及び取締役会事務局の実態に関する調査~
株式会社日本能率協会総合研究所(代表取締役社長:譲原正昭)は、日本企業における「取締役会及び取締役会事務局の実態」を具体的に把握する目的で、東証1部・2部上場の企業を対象に調査を実施し、300社から回答を得ました。このたび、その結果がまとまりましたので、以下のとおりお知らせします。
【ポイント】
1.新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により取締役会の運営方法に変化。
2.社外取締役のスキルマトリクス整備はこれからという企業が約5割。
3.社外取締役退任時の資料回収が進んでおらず、情報管理にやや懸念。
4.取締役会の実効性評価は有用であるとしながらも、マンネリ化が進行。
5.取締役会事務局の業務量は増え、仕事の難易度も上がっていると感じており、スタッフ育成の必要性を感じて
いるが、必要とされるスキルの整理や育成の仕組みが追い付いていない。
1.新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により取締役会の運営方法に変化。
(1)2020年2月までの取締役会は、「全員集合を主とした形で実施(=対面型)」とする企業が9割を超えていたが、
3月になると8割を切り、緊急事態宣言下の4月と5月には4割を下回った。【図表1・2】
(2)一方、「WEB会議を主とした形で実施」「電話会議を主とした形で実施」「テレビ会議を主とした形で実施」 をまとめた”非接触型”は3月から増え始め、4月・5月には“対面型”を上回った。【図表1・2】
(3)中でも、「WEB会議を主とした形で実施」は4月から大きく伸び、緊急事態宣言後の6月・7月においても、
3割前後の企業が実施している。【図表2】
2.社外取締役のスキルマトリクス整備はこれからという企業が約5割。
[1]独立社外取締役比率及び属性
(1)コーポレートガバナンス・コードが求めている独立社外取締役比率1/3以上の企業が6割を超え、前回調査から
伸長している。【図表3】
(2)それに伴い独立社外取締役の人数も、前回調査では「2人」とする企業が最も多かったが、今回は「3人」が
最も多くなっているほか、「4人」とする企業が伸びている。【図表4】
(3)社外取締役の属性について、前回調査では「経営経験者」「弁護士」「会計士」に属性が集中する傾向が
見られたが、人数の増加により「金融機関」や「コンサルタント」といった属性も増えている。【図表5】
上記[1]に見るように、社外取締役の人数が増えてくることにより、どの社外取締役にどのような役割を果たしてもらいたいのかという“スキルマトリクス”を整理する必要性が出てくると考えられるが、その結果は次のとおりとなっている。【図表6】
(1)スキルマトリクスが整理されている、又は整理途中とする企業は約3割となっている。
(2)一方、「これから整理したい」と考えている企業が48.3%で、全体の約半数を占める。
(3)また、「整理する必要性を感じない」企業も24.3%で約4分の1存在する。
3.社外取締役退任時の資料回収が進んでおらず、情報管理にやや懸念。
情報管理の観点から、社外取締役退任時の資料回収の状況について質問したところ、以下のような結果が得られた。【図表7】
(1)5割を超える企業が何らかの対策をしている一方、44.6%の企業が「特に何もしていない」。
(2)対策をしている内容としては、「専用端末を貸与し、資料を電子データで配布しているため、端末を回収し
ている(26.2%)」「紙で渡した資料は、当該社外取締役において、廃棄するようお願いしている(23.2%)」
が上位2項目で、いずれも2割を超えている。
(1)実効性評価が取締役会の改善に役立つかどうかという質問について、「大いにそう思う」「概ねそう思う」を
あわせると、87.2%が肯定的に回答している。【図表8】
(2)一方、実効性評価において課題になっていることについて複数回答で質問したところ、「課題はなく、問題
なく運営できている」が、前回の21.3%から今回は14.5%へ低下し、実効性評価について何らかの問題を抱え
ている企業が増えている。【図表9】
(3)中でも、「毎年、同じようなことが課題として抽出されるため、ややマンネリ化していること」が55.8%と、
前回を大きく上回っており、「マンネリ化の進行」が見て取れる。【図表9】
5.取締役会事務局の業務量は増え、仕事の難易度も上がっていると感じており、スタッフ育成の必要性を感じて
いるが、必要とされるスキルの整理や育成の仕組みが追い付いていない。
[1] 取締役会事務局の「業務量」と「仕事の難易度」の状況
(1)約5割(49.7%)の企業において、取締役会の業務量が増え、かつ仕事の難易度も上昇していると感じてい
る。【図表10】
(2)従業員規模が大きいほど、「業務量の増加」と「仕事の難易度上昇」を感じる割合が高くなっている。
【図表11・12】
(1)取締役会事務局スタッフについて、「育成の必要性を感じる」とした企業は61.5%となっている。【図表13】
(2)必要性を感じる企業のうち、「人材スキルがすでに整理されている」企業が18.0%で2割に満たず、「人材を
育成する仕組みがない」とする企業が63.9%となっている。【図表14・15】
【参考:調査データ】
■調査時期 2020年9月
■調査対象 東証1部・2部上場企業
■調査方法 郵送配布、郵送回収
■回答数 回収数:300社 配布数:2610社(回収率 11.5%)
〔参考〕前回調査 回収数:301社 配布数:2605社(回収率 11.6%)※2018年12月実施
以上
1.新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により取締役会の運営方法に変化。
2.社外取締役のスキルマトリクス整備はこれからという企業が約5割。
3.社外取締役退任時の資料回収が進んでおらず、情報管理にやや懸念。
4.取締役会の実効性評価は有用であるとしながらも、マンネリ化が進行。
5.取締役会事務局の業務量は増え、仕事の難易度も上がっていると感じており、スタッフ育成の必要性を感じて
いるが、必要とされるスキルの整理や育成の仕組みが追い付いていない。
1.新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により取締役会の運営方法に変化。
(1)2020年2月までの取締役会は、「全員集合を主とした形で実施(=対面型)」とする企業が9割を超えていたが、
3月になると8割を切り、緊急事態宣言下の4月と5月には4割を下回った。【図表1・2】
(2)一方、「WEB会議を主とした形で実施」「電話会議を主とした形で実施」「テレビ会議を主とした形で実施」 をまとめた”非接触型”は3月から増え始め、4月・5月には“対面型”を上回った。【図表1・2】
(3)中でも、「WEB会議を主とした形で実施」は4月から大きく伸び、緊急事態宣言後の6月・7月においても、
3割前後の企業が実施している。【図表2】
2.社外取締役のスキルマトリクス整備はこれからという企業が約5割。
[1]独立社外取締役比率及び属性
(1)コーポレートガバナンス・コードが求めている独立社外取締役比率1/3以上の企業が6割を超え、前回調査から
伸長している。【図表3】
(2)それに伴い独立社外取締役の人数も、前回調査では「2人」とする企業が最も多かったが、今回は「3人」が
最も多くなっているほか、「4人」とする企業が伸びている。【図表4】
(3)社外取締役の属性について、前回調査では「経営経験者」「弁護士」「会計士」に属性が集中する傾向が
見られたが、人数の増加により「金融機関」や「コンサルタント」といった属性も増えている。【図表5】
[2]社外取締役のスキルマトリクスの整理状況
上記[1]に見るように、社外取締役の人数が増えてくることにより、どの社外取締役にどのような役割を果たしてもらいたいのかという“スキルマトリクス”を整理する必要性が出てくると考えられるが、その結果は次のとおりとなっている。【図表6】
(1)スキルマトリクスが整理されている、又は整理途中とする企業は約3割となっている。
(2)一方、「これから整理したい」と考えている企業が48.3%で、全体の約半数を占める。
(3)また、「整理する必要性を感じない」企業も24.3%で約4分の1存在する。
3.社外取締役退任時の資料回収が進んでおらず、情報管理にやや懸念。
情報管理の観点から、社外取締役退任時の資料回収の状況について質問したところ、以下のような結果が得られた。【図表7】
(1)5割を超える企業が何らかの対策をしている一方、44.6%の企業が「特に何もしていない」。
(2)対策をしている内容としては、「専用端末を貸与し、資料を電子データで配布しているため、端末を回収し
ている(26.2%)」「紙で渡した資料は、当該社外取締役において、廃棄するようお願いしている(23.2%)」
が上位2項目で、いずれも2割を超えている。
4.取締役会の実効性評価は有用であるとしながらも、マンネリ化が進行。
(1)実効性評価が取締役会の改善に役立つかどうかという質問について、「大いにそう思う」「概ねそう思う」を
あわせると、87.2%が肯定的に回答している。【図表8】
(2)一方、実効性評価において課題になっていることについて複数回答で質問したところ、「課題はなく、問題
なく運営できている」が、前回の21.3%から今回は14.5%へ低下し、実効性評価について何らかの問題を抱え
ている企業が増えている。【図表9】
(3)中でも、「毎年、同じようなことが課題として抽出されるため、ややマンネリ化していること」が55.8%と、
前回を大きく上回っており、「マンネリ化の進行」が見て取れる。【図表9】
5.取締役会事務局の業務量は増え、仕事の難易度も上がっていると感じており、スタッフ育成の必要性を感じて
いるが、必要とされるスキルの整理や育成の仕組みが追い付いていない。
[1] 取締役会事務局の「業務量」と「仕事の難易度」の状況
(1)約5割(49.7%)の企業において、取締役会の業務量が増え、かつ仕事の難易度も上昇していると感じてい
る。【図表10】
(2)従業員規模が大きいほど、「業務量の増加」と「仕事の難易度上昇」を感じる割合が高くなっている。
【図表11・12】
[2] 取締役会事務局の人材育成の必要性、スキルの整理及び育成の仕組みの整備状況
(1)取締役会事務局スタッフについて、「育成の必要性を感じる」とした企業は61.5%となっている。【図表13】
(2)必要性を感じる企業のうち、「人材スキルがすでに整理されている」企業が18.0%で2割に満たず、「人材を
育成する仕組みがない」とする企業が63.9%となっている。【図表14・15】
【参考:調査データ】
【調査概要】
■調査時期 2020年9月
■調査対象 東証1部・2部上場企業
■調査方法 郵送配布、郵送回収
■回答数 回収数:300社 配布数:2610社(回収率 11.5%)
〔参考〕前回調査 回収数:301社 配布数:2605社(回収率 11.6%)※2018年12月実施
以上
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