工業製品の包装・梱包に関する調査
工業製品も6割が「個包装」を採用/包装作業の「自動化」は未だ3割弱
あまり注目されることがないBtoB工業製品の包装ですが、品質を守るために「個包装」が多く採用され、取引先からは低コスト化と同じくらい「環境への配慮」を求められているなどの興味深い実態がうかがえました。
また、産業界全般で人手不足、人件費の高騰が課題となっていますが、包装作業の現場は意外と自動化・省人化が進んでいないという現状も明らかになりました。
《調査結果のポイント》
1.工業製品も6割以上が「個包装」を採用
2.包装作業の「自動化」は未だ3割弱
3.取引先からの要望は、「品質保持」「低コスト化」「環境への配慮」
4.気を付けていることは、「ほこり」「振動・衝撃」「サビ」
5.「真空・ガス封入包装」の採用状況
1.工業製品も6割以上が「個包装」を採用
自社製品を出荷する際の「包装・梱包形態」について聞きました。「すべての製品を個包装」17.6%、「一部の製品を個包装」46.5%で、あわせると「個包装している」は64.1%となりました。一般消費者向けの製品では、品質、衛生、利便性などの観点から個包装が多く採用されていますが、BtoBの工業製品においても6割以上で採用されていることが分かりました。
製品別に内訳を見ると、個包装の採用率が高いものは「光学機器」75.0%、「樹脂製品」73.8%、「電子基板」69.2%などでした。サビなどの劣化が心配な鉄・非鉄金属製品よりも、樹脂製品の方が個包装の採用率は高いという結果になりました。
逆に個包装の採用率が低い製品は「半導体」28.6%でした。半導体は、複数まとめて梱包する形式が一般的であるため、個包装の採用率が低いと思われます。
出荷先別に内訳を見ると、個包装の採用率が高いものは「半導体製造装置」向け86.4%、「プラント」向け84.2%、「航空・宇宙機器」「重機械」向け81.8%などでした。
同一製品を大量に出荷することが多い「自動車・輸送機器」「電子・通信機器」「家電・住生活機器」向けなどは、個包装の採用率がやや低いという傾向がうかがえました。
2.包装作業の「自動化」は3割弱
「個包装を採用している」と回答した人に対して、包装作業の「自動化」の現状を聞きました。国内の多くの企業で人手不足や人材確保が課題となっていますが、「自動包装機を使用している」は3割弱(28.6%)に留まり、包装作業の現場では省人化、効率化があまり進んでいないことが分かりました。
製品別に見ると、自動包装機を比較的多く使用しているのは、「電子基板」44.4%や「電子部品」42.1%といったエレクトロニクス系です。これらの分野でも、自動化・機械化されていない作業が多いようで、「手作業」という回答も「電子基板」では77.8%、「電子部品」では63.2%と多数を占めました。
出荷先ごとの内訳では、自動包装機の使用は「家電・住生活機器」向け41.7%、「自動車・輸送機器」向け37.2%などで多く見られました。安定的に大量出荷する製品では、比較的自動化が進んでいると言えます。
3.取引先からの要望は、「品質保持」「低コスト化」「環境への配慮」
包装・梱包について、出荷先や取引先から受けている要望を聞きました。
断トツの1位は「品質保持」75.6%、次いで「低コスト化」と「環境への配慮」45.5%でした。産業界全体でサスティナビリティへの取り組みが広がる中、低コスト化と同レベルで環境への配慮が求められていることがうかがえます。ゴミ削減にもつながる「簡素化」26.0%の要望も少なくありません。
一方で、消費者向けの製品包装では重視される、「デザイン性向上」1.6%は少数でした。
製品別に見ると、「品質保持」はどの製品においても最重要であり、中でも「セラミック製品」88.9%、「半導体」と「非鉄金属製品」85.7%が高い比率でした。
「低コスト化」は「半導体」85.7%と「セラミック製品」77.8%、「環境への配慮」は「電子基板」69.2%と「非鉄金属製品」66.7%、「簡易化」は「非鉄金属製品」47.6%と「セラミック製品」44.4%が、それぞれ要望を受けることが多いようです。
出荷先別に見ると、「品質保持」は「航空・宇宙機器」向け90.0%と「医療機器」向け85.7%が多くなりました。「環境への配慮」を求められる出荷先は、「医療機器」向け81.3%が最多となりました。
4.気を付けていることは、「ほこり」「振動・衝撃」「サビ」
自社製品の包装・梱包について、気を付けていることを聞きました。上位は、「ほこりの混入防止」68.0%、「振動・衝撃からの保護」59.8%、「サビの発生防止」45.1%でした。
製品別に見ると、<ほこり>が最多となったものは「光学機器」100%、「電子部品」88.9%、「樹脂製品」78.4%です。<振動・衝撃>は「半導体」100%、「セラミック製品」88.9%、「電子基板」76.9%、「非鉄金属製品」71.4%。
出荷先別に見ると、<ほこり>が最多となったものは「家電・住生活機器」向け77.1%、「電子・通信機器」向け72.2%、「自動車・輸送機器」向け70.8%などの大量生産メーカー向けが中心です。
<振動・衝撃>は「医療機器」向け93.8%、「半導体製造装置」向け81.0%、「航空・宇宙機器」向け80.0%など、高度な安全性や精度が求められる分野で多く見られました。
5.「真空・ガス封入包装」の採用状況
「真空包装/ガス封入包装」は、品質保持に優れた効果が期待できる包装技術です。高い品質管理や安全性が求められる食品、メディカル分野では既に広く使用され、近年はエレクトロニクス系を中心とする工業製品の分野でも関心が高まっています。
今回の調査では、「真空/ガス封入包装機を使用・検討している」は12.6%(11人)でした。この回答者の自社製品は「電子部品」「樹脂製品」「鉄製品」などで、出荷先は「自動車・輸送機器」「精密機械」「医療機器」向けが多数でした。
真空/ガス封入包装機を使用・検討している理由は、11人中10人が「製品の特性上、必要なため」と回答しました。「出荷先・取引先の業界では真空包装またはガス封入包装が一般的」「出荷先・取引先から要望を受けた」というケースも少なくないようです。
【調査概要】
調査時期:2023年5月下旬
調査方法:インターネット調査(イプロスリサーチ)
調査対象:工業製品メーカー148社
電子部品、電子基板、半導体、光学機器、鉄製品、非鉄金属製品、セラミック製品、樹脂製品など
【会社概要】 ※2023年7月1日から、新社名、新住所になりました。
会社名 :ムルチバック・ジャパン株式会社(旧:東京食品機械株式会社)
本 社 :東京都中央区銀座5-9-8 クロス銀座ビル5F(旧:東京都中央区日本橋人形町1-3-8)
社 長 :大沼謙一郎
設 立 :1973年2月16日
従業員数:186人(2023年4月)
事業内容:食品、メディカル関連製品、化成品の加工機械・包装機械の輸入及び包装資材の販売
ホームページ:https://multivac-jp.com(旧:https://www.tokyofoods.co.jp/)
【ご参考】~MULTIVAC(ムルチバック)グループについて
MULTIVAC社(本社:ドイツ・バイエルン)は、包装機器のグローバルメーカーです。グループ会社84社、160カ国以上で事業を展開し、食品やメディカル製品などに多く使われている深絞り包装機は、世界で高いシェアを誇ります。
東京食品機械株式会社は、1995年にMULTIVAC社より代理店権を取得し、2004年に資本提携。今年7月には「ムルチバック・ジャパン株式会社」に社名変更し、グループ内の売上高世界2位の日本市場において、さらに存在感を高めてまいります。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
- 種類
- 調査レポート
- ビジネスカテゴリ
- 電子部品・半導体・電気機器鉄鋼・金属・ガラス・土石・ゴム
- ダウンロード