新型コロナウイルス感染症の後遺症に対する抗酸化サプリメントの有効性を示す論文が、学術誌「Brain Supplement」に公開されました。アンケート調査より。
新型コロナウイルス感染症の後遺症症状に対して、抗酸化サプリメントの有効性が示唆されました。
公益財団法人 ルイ・パストゥール医学研究センター 抗酸化研究室(本社:京都府京都市 主席研究員:犬房 春彦)は、同研究室が研究を行う抗酸化サプリメント「Twendee X(トゥエンディ エックス)」の新型コロナウイルス感染症の後遺症への効果を報告する論文が、学術誌「Brain Supplement」のオンライン版にて2022年4月5日に公開されましたので、お知らせします。
■背景
現在、世界各国において新型コロナウイルス感染症の後遺症症状が報告されています。この2年間で感染症自体による重症や死亡は減少しているものの、感染後後遺症の長期化が問題となっています。また、これらの症状は未だ原因が明確になっておらず、エビデンスに基づいた有効な治療法が見つかっていません。しかし、最近の研究結果から、新型コロナウイルス感染者は体内でサイトカインストーム(免疫暴走)や血液凝固異常の増幅・持続の原因となる『酸化ストレス』を引き起こすことが明らかになっています。そこで、抗酸化サプリメントにより酸化ストレスを低減することで、後遺症の症状緩和につながるという仮説がたてられました。■論文発表内容
この調査では、新型コロナ感染後の後遺症に悩む方々を対象に、抗酸化サプリメント「Twendee X」を無償提供し、服用前と服用1ヵ月後に、代表的な8つの症状(倦怠感、呼吸苦、胸の痛み、味覚・嗅覚障害、頭痛、ブレインフォグ、関節痛、めまい)についての重症度を6段階でWEBアンケートにて自己申告していただきました(有効回答数 126)。今回の中間報告(集計期間 2021年9月2日~9月28日)では、関節痛を除くすべての症状の重症度スコアが有意に低下していました。さらに各症状において比較的重症の参加者においては、全ての症状における重症度スコアが有意に低下しました。
(参考データ)
・抗酸化サプリメント Twendee Xの服用前後の代表的症状のスコアの変化について
■結果
新型コロナ感染症には酸化ストレスが大きく関与していることが報告されていますが、今回のアンケート結果から酸化ストレスが後遺症の症状に関与している可能性が示されました。新型コロナ感染によって上昇する酸化ストレスと炎症性サイトカインは互いに促進し合い、この2つの因子の上昇が長引くと後遺症が生じることが推定されます。
この論理に基づけば、抗酸化物質によって酸化ストレスを下げることによって、炎症が抑えられ症状の改善につながる可能性があります。
■主席研究員 犬房春彦のコメント
本来であれば多施設、二重盲検、前向きの臨床試験が最もエビデンスの高いデータが得られる。しかし、新型コロナ感染症後遺症の患者さんへの臨床研究は新型コロナウイルス感染症が未だ継続中の現在では大変困難である。今回のモニターアンケート結果はリヒテンシュタイン登記法人であるTIMA establishmentがHPに掲載したデータの2次使用であり、参加者の自己記入アンケート調査であるのでエビデンスレベルは高くない。しかし新型コロナ感染症後遺症の方に対して100名以上の参加者で症状軽減の報告がある論文は現時点では存在しないので、学術的意義は高いと考えられる。抗酸化配合剤が症状緩和に役立ったというデータから、新型コロナ感染症後遺症は酸化ストレスが大いに関係し、これにより様々な症状を引き起こしている可能性が示唆された。
■アンケートデータ提供元:TIMA establishment (Liechtenstein、代表者:Markus Matuschka von Greiffenclau)
※本論文は、TIMA establishmentがネット上で公開している情報の2次使用許可を得て論文化したものです。
<論文情報>
雑誌名:Brain Supplement (ISSN 2434-9615)
論文タイトル:Antioxidant composition Twendee X may improve long COVID symptoms
著者:Fukka You, Sho Tanaka, Toshikazu Yoshikawa, Markus Matuschka von Greiffenclau, and Haruhiko Inufusa
論文URL:https://6b95d072-44e5-4cb6-b67e-26198abec2ca.filesusr.com/ugd/bb2283_7015ff4e2e7a4aba9af1ae13c3b4967f.pdf
<学術誌 Brain Supplementについて>
本誌は脳に良いサプリメントと関連物のwebsite専門総合国際誌として、2019年5月に発行を開始しました。掲載対象論文は、脳機能に関連する様々なサプリメントや、認知症予防・脳機能活性化・脳の健康維持に有用なバイオマーカー研究・音楽療法・ダンス療法・ヨガ・診断補助機器・AI (artificial intelligence)など幅広い分野です。本誌は脳の健康増進や認知症・脳卒中・パーキンソン病・神経難病など多くの脳疾患の補助治療の開発に資する情報を英文で世界に向けて発信し共有することを目的としています。
- 酸化ストレスについて
「酸化ストレス」があらゆる疾患に関連することが知られています。主原因とされる活性酸素種 (ROS)は日々の呼吸の副産物として産生されるほか、紫外線や放射線、細菌やウイルス、大気汚染などの外的因子や喫煙や大量のアルコール、そして偏食による生活習慣、病気やストレスによっても毎日産生されます。一方、体内には元々ROSを消去する働き(抗酸化力)が備わっており、これにより身体はROSによる障害を抑えることができるのです。しかし、年齢と共にその働きが衰えROSが抑えきれなくなると、細胞の障害や炎症などが起こり、実に150種類もの病気に繋がると言われています。この不均衡が酸化ストレスです。
- 組織概要
ルイ・パストゥールの理念に基づき、ウイルス性疾患や癌や難病などに関し、医学内部の専門性の境界にとらわれず、とくに各人に内在する自然免疫力の増強の観点から、基礎的・臨床的研究を行い、心身両面での、人々の病気に対する悩みを可能な限り軽減し、予防することを目標とする。
公益財団法人 ルイ・パストゥール医学研究センター
所在地:〒606-8225 京都市左京区田中門前町103-5
理事長:吉川敏一
HP:http://www.louis-pasteur.or.jp/
抗酸化研究室HP:https://antioxidantres.jp/
<主席研究員 犬房春彦について>
公益財団法人 ルイ・パストゥール医学研究センター 抗酸化研究室 主席研究員
岐阜大学 科学研究基盤センター 共同研究講座 抗酸化研究部門 特任教授
日本認知症予防学会 エビデンス創出委員会 実行委員、日本脳サプリメント学会 理事
-略歴‐
1982年近畿大学医学部卒業。1988年近畿大学医学部大学院外科学系卒業(医学博士)。専門は消化器外科で腹腔鏡手術、癌転移の研究。近畿大学を退職後、2007年よりTIMA establishmentの主席研究員としてアルコール代謝、糖・脂質代謝、酸化ストレスの研究を開始。2013年岐阜大学 科学研究基盤センター 共同研究講座 抗酸化研究部門の新設にあたり、特任教授に就任。現在は酸化ストレスと抗酸化配合剤「Twendee X」に関する研究を行う。 2020年3月より公益財団法人 ルイ・パストゥール医学研究センター 抗酸化研究室 主席研究員。
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