認知症・軽度認知障害と診断された方の39%が「買いものに行かない・行けない」理由とは?
〜認知症、認知症ケアラーに「認知症当事者のお買いもの事情の意識調査」を実施〜
調査の結果、認知症・軽度認知障害と診断を受けた方の39%の人はお買いものに行かない・行けないと回答。しかし、サポートする家族・知人・介護職の方の8割以上の方は行けない理由や不安が解消した場合、お買いものに行って欲しいと回答しました。
新型コロナウイルス感染予防対策のための外出自粛や環境の変化などから、認知症の人の症状の悪化が専門家から指摘されています。※
お買いものの機会は、認知症の悪化を防ぐ対策として本来は良い刺激になります。KAERUが目指しているのは、誰もがお買いものを楽しみ続けられる世の中にすることです。フィンテックサービスが増える中、もの忘れが増えてきた方をはじめ、認知症と診断された方や認知機能の低下に不安がある方も安心して、簡単にお使いいただけるお買いものアシスタントアプリをリリースするにあたり、当事者、またサポートする家族・知人・介護職の方のリアルな意見を踏まえることを重視し、今回の調査を実施しました。
※広島大学と日本老年医学会による調査 https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/59484
【調査概要】
調査名:認知症当事者のお買いもの事情
調査方法:認知症に関わる本人や家族の生活に役立つ情報を紹介するサイト「なかまぁる」(https://nakamaaru.asahi.com/)での当社独自のインターネット調査
調査期間:2021年8月12日~8月29日
調査対象:40代〜60代を中心とした全国の認知症当事者、認知症の方をサポートする家族・知人・介護職の方
※本リリースに関する内容をご掲載の際は、必ず「KAERU調べ」と明記してください
【調査サマリー】
1.認知症・軽度認知障害と診断を受けた方の39%の人は「お買いものに行かない・行けない」と回答。
2.お買いものに行けない理由は、「短期記憶の障害」「現金の管理能力の低下」に起因。
3.自身でお買いものに行くことができている当事者をサポートする家族や専門家が感じる当事者のお買いものへの困りごとや不安も、当事者同様、「短期記憶の障害」「現金の管理能力の低下」に起因。
4.お買いものに行けない理由や不安が解消した場合、サポートする家族・知人・介護職の方の8割以上が、買いものに行って欲しいと回答。
【調査結果】
1.認知症・軽度認知障害と診断を受けた方の39%の人は「お買いものに行かない・行けない」と回答。
認知症・軽度認知障害と診断を受けた方とそのご家族などに「お買いものに行く頻度を教えてください」と質問したところ、「お買いものに行かない・行けない」と回答した方は39%となり、認知症の程度が重くなるにつれて、その割合は増加していることがわかりました。
2.お買いものに行けない理由は、「短期記憶の障害」「現金の管理能力の低下」に起因。
当事者やそのご家族などが感じているお買いものに行けない理由として、全体の54%(※重複回答含む)が、歩行困難や施設入居と回答されました。
それ以外の理由として多かった回答が、お店に行った時に買うべきものを忘れてしまう「買い忘れ」が28%、昨日・一昨日と同じものを買ってしまう「多重買い」が18%、支払い時のお金の計算が難しいとの回答が23%となり、「短期記憶の障害」や、「現金の管理能力の低下」に起因するものが不安に感じられている当事者が多いようです。
3.自身でお買いものに行くことができている当事者をサポートする家族や専門家が感じる当事者のお買いものへの困りごとや不安も、当事者同様、「短期記憶の障害」「現金の管理能力の低下」に起因。
サポートする家族・知人・介護職の方へ、「対象の方がお買いものに行くにあたり不安な点は?」と質問したところ、昨日・一昨日と同じものを買ってしまう「多重買い」と回答された方は49%、お店に行った時に買うべきものを忘れてしまう「買い忘れ」と回答された方は48%となり、対象者の「短期記憶の障害」を不安に思う方が約半数いることが判明いたしました。
また他にも、財布の紛失と回答された方が34%、支払い時のお金の計算ができるか不安と回答された方が35%で、サポートする家族・知人・介護職の方は「現金の管理能力の低下」に対しても不安に感じる面が多く、サポートする方が不安に感じる点は、当事者の不安点と通じていることがわかりました。
4.お買いものに行けない理由や不安が解消した場合、サポートする家族・知人・介護職の方の8割以上が、お買いものに行って欲しいと回答。
「お買いものに行かない・行けない理由が解消された場合、対象者にお買いものを楽しんでもらいたいと思いますか?」という質問については、お買いものに行ってもらいたいと回答した方が86%となり、対象者のプラスになることであれば、なるべく本人の希望に添いたいと考えている人が多いことがわかりました。
【認知症介護研究・研修東京センター 副センター長(兼)研究部長 永田久美子氏のコメント】
元気な時にはあたりまえにしている買い物。その買い物に自分で行けない状況が続くことは、不便であるだけではなく、好きなものを自分で選べないもどかしさや、自由や自分らしさまで失ってしまいかねない生活上の危機だ。こうした「買い物に行かない・行けない危機」に、認知症・経度認知症と診断された人の39%が遭遇している実態とその理由を浮き彫りにした今回のKAERUの調査結果の意義はとても大きい。
なぜ、買い物に行かない・行けなくなってしまうのか?今回の調査では、回答数は少ないものの、当事者15名から貴重な回答が寄せられ、その内容が非常に興味深い。歩行等移動の問題以上に、「お店に行ったときに買うべきものを忘れてしまう(買い忘れ)」、「同じものを買ってしまう(多重買い)」、「支払いやお釣りの計算が難しい」、「財布を落とす懸念がある」といったまさに認知機能の障害による買い物上の具体的なバリアが浮き彫りにされた。それらはこれまで、「認知症だから仕方がない」、「認知症の人に買い物は無理」と最初からあきらめてしまったり、認知症とひとくくりの問題として見過ごされてきてしまった社会の側の意識や環境・文化のバリアでもある。
今回の調査を一つの契機に、認知症があっても「自分なりに買い物を続けられること」をあたり前にする意識や環境・文化を社会全体に広げていくことが大きな挑戦課題だ。そしてそれを実際に可能にするためには、認知機能の障害を具体的にカバーする技術や仕組みを開発し、「認知症になってからも、買い物をストレスなく楽に楽しく続けられる」当事者を地域の中で着実に増やしていくアクションが急務だ。
今回の調査では、認知症の診断を受けてからも買い物を自分で続けている本人がいること、そして本人が買い物を続けることを望んでいる家族や支援者がかなりの数に上っている実態も明らかになった。「認知症になってからもあたり前に買い物を続けられる」ことは、現在認知症になっている本人はもちろんのこと、これから認知症になりうる数百万人の中高年者、そして本人をとりまく膨大の数の家族や支援者、そして本人をお客として迎える全国の多種多様なお店や企業、それぞれにとって、計り知れない恩恵をもたらすことになるだろう。
【永田久美子氏プロフィール】
認知症介護研究・研修東京センター
副センター長(兼)研究部長
■主な研究実績【著書等】
・永田久美子監修:認知症の人たちの小さくて大きな一言、私の声が見えますか?harunosora(2015)
・永田久美子監修、沖田裕子編著:「DVD BOOK 認知症の人とともに、クリエイツかもがわ」(2016)
・永田久美子:社会的支援の視点から~見守り・SOS体制に焦点をあてて~、栁沢信夫他監修:認知症の予防とケア、長寿科学振興財団(2018)
・永田久美子:認知症の人の生活を支える、NHKテキスト 社会福祉セミナー(2021年4~9月)
■主な社会活動
・日本認知症本人ワーキンググループ理事
・福祉フォーラムジャパン理事
・NHK厚生文化事業団「認知症とともに生きるまち大賞」選考委員長
その他 国・自治体の研究事業、認知症施策検討委員会等を多数歴任
【お買いものアシスタントアプリ「KAERU(かえる)」とは】
もの忘れをサポートする優しいお買いものアシスタントアプリKAERUは、もの忘れが増えてきた方をはじめ、認知症と診断された方や認知機能の低下に不安がある方にも安心して、簡単にお使いいただけるお買いものアシスタントアプリです。
短期記憶の障害と現金管理能力の低下をフォローする機能により、認知力が低下した方も安心してお買いものできます。2021年9月にメモ機能のみのβ版をリリースし、今後はみまもり機能付きのブランドプリペイドカード機能をリリース予定です。
【「なかまぁる」とは】
「なかまぁる」は、「認知症当事者とともにつくる」をコンセプトに、朝日新聞社が2018年に立ち上げたウェブメディアです。誰がどこで認知症になっても安心して暮らし続けられる社会「認知症フレンドリー社会」への貢献を目指し、さまざまな情報をお届けします。
https://nakamaaru.asahi.com/
【KAERU株式会社 会社概要】
社名 : KAERU株式会社
代表者:代表取締役 岡田知拓
所在地:東京都渋谷区渋谷2丁目12-24 東建長井ビル3F
設立 :2020年10月
事業内容:お買いものアシスタントアプリ「KAERU」の企画・運営
URL :https://kaeru-inc.co.jp/
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