<中小企業に浸透しない「企業型年金」の表と裏>未だ中小企業の実施率23.0%の「企業型年金」が従業員の「心理的安全性」確保と「利益」を創出

企業型年金に関する「2021年度総括と2022年度の展望レポート」を発表

 株式会社イナバプランニングカンパニー(本社:埼玉県さいたま市、代表者:稲葉 晴一)は、企業型年金に関する「2021年度総括と2022年度の展望レポート」を発表いたしましたので、お知らせいたします。

 
  • 「企業型年金」こそが一番の福利厚生
 確定拠出年金は、拠出された掛金とその運用収益との合計額をもとに将来の給付額を決定する年金制度です。そのうち企業が福利厚生として導入するものを企業型年金(企業型DC、企業型確定拠出年金)といいます。資産形成において、個人では積立NISAやiDeCoなど様々な金融商品がありますが、長期分散積立の投資効果や後述の社会保険料削減効果なども期待できることを考えれば、「企業型年金」は制度として非常に優れていると言えます。しかし「確定拠出年金の施行状況[1]」によると国内企業約380万社のうち2021年3月末時点における企業型年金の実施事業主数は約3.8万社にとどまっています(加入者数は約750万人)。実施事業主の多くは大企業や上場企業であり、中小企業にはあまり導入されていないのが現状です。弊社で2022年4月22日に実施した中小企業の「企業型年金」に関する実態調査では、中小企業における企業型年金の導入率は23.0%となっております。またもし導入されている場合でも、投資教育が行き届いておらず、社員が企業型年金の恩恵を受けていないというケースが散見されます。

 
  • 「企業型年金」が普及しない構造的問題
 「企業型年金」が普及しきれていない理由としては「制度が分かりにくい」ということが言われていますが、実は制度の導入を支援する事業者(運営管理機関や代理店等)側の問題もあると考えます。例えば、少額の手数料収入のため導入事業として収益化しにくい点が挙げられます。加えて、規約作成、給与規定や退職金規定、就業規則の再整備、当局への届出等の様々な手続きがあるため半年程度の時間がかかります。そこまでの手続き的・時間的コストを負って報酬が数万円では採算が合わないのが実情です。運営管理機関である大手金融機関にとって中小企業に対する企業型年金の導入は特にこのような採算上の問題が大きいのです。さらには、中小企業の従業員に個人型の確定拠出年金であるiDeCoに加入してもらうほうが、金融機関にとっては加入者個人との接点を確保できるという営業上のメリットがあるでしょう。このように、中小企業では企業型年金を積極的に提案されないため企業型年金の導入が進まないという構造になっているのです。

 企業型年金が普及しない状況下にありますが、金融庁による高校生への金融教育の開始やつみたてNISAの推奨、厚生労働省によるiDeCoの推奨などを通じて、国は資産形成を「貯蓄から投資へ」と方針を示しています。企業型年金の未実施企業の従業員にとっては、私的年金を簡単に備えられる個人型のiDeCoは選択肢の一つになるでしょう。しかし、企業型年金には個人型のiDeCoにはないメリットがあるのです。
 
  • 個人型の「iDeCo」ではなく、企業型年金を選択するメリットとは
 例えば、100万円の課税所得があった場合、通常手元に残るお金は平均的な年収で計算したところ所得税・住民税などの税金や社会保険料が引かれて約70万円になります。貯金やiDeCoの場合はこの手取り70万円から拠出するかたちとなります。一方、企業型年金(選択制DC)の場合はこの「税引前」の100万円から先に拠出します。つまり所得税・住民税・社会保険料などの計算の元となる金額が減るため、税金や社会保険料削減の効果があるのです。特に社会保険料の削減効果の恩恵は加入者個人・実施企業ともに受けることができます。iDeCoにも所得税・住民税の還付はあるのですが社会保険料の削減効果まではありません。この点、社会保険料が減るとそれに応じて加入者個人の老齢厚生年金額が少なくなるというデメリットがあります。しかし、それでも全体的に計算すれば社会保険料の減額の効果は大きく、減額分だけ投資に回せるので大きなデメリットにはならないのではないでしょうか。
 
  • 投資のリスクは「価格変動の幅」、正しい投資教育が求められる
 実施されている企業型年金全体での資産配分は、「2020年確定拠出年金実態調査結果[2]」によると元本確保型商品の資産残高が全体の47.8%になっています。自己責任で運用を行うので、ある程度の保守的な運用も理解できます。しかし、投資教育がなされないまま「投資のリスク=危険」という考えで運用先を「元本確保型」にしている方が多いのではないでしょうか。投資における「リスク」とは「危険」ではなく「価格変動の幅」であるという理解、長期分散積立という投資の基本が浸透していないため、少しでも確実な元本確保型を選択してしまう方が多いというわけです。実際弊社が観測する限り、これまで30年間の幅で見た時に元本確保型と外国株ファンドの積立投資では運用成果に数倍の差が生じていました。投資教育、そして長期分散積立投資の恩恵を得られていない方が非常に多いのが現状で、残念ながら多くの方が選択している元本確保型は低金利の状況においては資産が増える事にはつながらず将来的なインフレリスクにも対応できていないと言えます。
 
  • 投資教育を積み重ねることで生まれる社員の「心理的安全性」
 実際に「企業型年金」の導入支援を実施した事例として、売上約10億円、社員数が40名弱のリフォーム会社があります。導入して既に4年経ちますが、毎年金融教育に伺っています。この会社では、掛け金を社員の方が最低3,000円から最大55,000円まで選べるように設定しています。55,000円を選択すると、社員の方々は年間66万円の積立ができ、会社としては66万円に対しての社会保険料の削減効果が期待できるのです。削減効果が年間15%、しかもこれが社員何十人にも広がっていくと結構な金額になります。社員への投資教育がしっかり浸透してくると掛け金が上がっていきますし、将来の資産形成における老後不安がなくなることで、長期雇用へつながり会社の利益成長につながります。その結果、給料も上がっていくのでとても健全な形になります。

 導入支援の初期段階では、株の短期的な値動きに不安を持つ方から直近の社会情勢の影響や目下の経済情勢に関する質問を多く頂きます。こういった質問に対しては、ご質問にお答えした上で「長期投資という目線で見ましょう」とお伝えしています。20年後に過去を振り返り「2022年に何が起きていましたか?」と聞いて瞬時に答えられる人は多くないかもしれません。2016年にイギリスのEU離脱が起きたことを瞬時に思い出せるでしょうか。投資教育では、世界経済の流れについても時事ネタを使いながら分かり易くご説明し、従業員の皆さんの金融リテラシーを上げるお手伝いをしています。どのようにお金が貯まっていくのかという仕組みが分かってくると、その結果掛け金も上がってきます。これが10年、20年と続いた先には、自分の「老後に対する不安がなくなる」、「安心して長く会社で働ける」、という従業員のウェルビーイング(健康や幸福感)につながるでしょう。これは組織の生産性を高める「心理的安全性」の土台になるものではないでしょうか。会社が社員の金融リテラシーを高めることは、会社にとっても利益になるという好循環が生まれるのです。
 
  • 積立投資や物価上昇へのリテラシー向上を
 投資をしていると自分の持っている株が下がると不安になり、大きな損する前に売りたくなります。また、買おうと思っていた株が日に日に上昇を続けていくのをみて、焦って高値で買う、ということもあります。スーパーでいつもより食材が安く売られていたら購入し、逆に高ければ買うのを控えるような買い物上手な方でも、投資の世界では真逆の行動をとってしまうものです。しかし、積立投資であれば毎月掛け金として決めた一定金額で投資を淡々と継続するものなので、価格が下がればその分多く購入でき、価格が上がれば買える分しか買いません。その結果、平均取得単価が安くなり多く購入できるのです。最終的に60歳を超えた時に積み立てた投資資産を売却することになりますが、投資成果は「最終価格×購入量」ですから、量を確実に積み上げられる積立投資は非常に有効な手法です。企業型年金は積立投資ですので、非常に合理的な資産運用だと言えます。企業型年金の目的は老後の資産形成なので、60歳まで積立を継続できて途中引き出しができない点も確実に資産形成を行えるとても良い仕組みだと思います。

 今、「急激な物価上昇」という言葉が話題になっています。過去30年、物価上昇率は続いています。例えば、ディズニーランドの1デーパスポートも、約30年前の1993年は3,900円ですが、今では最大9,400円となっています。これは、9,000円の価値が30年前と比べておよそ半分になったということなのです。このように物価が上昇するとお金の価値が目減りしてしまいます。金利の少ない預貯金だけで本当に資産を増やせるでしょうか。資産形成のための数ある手段の中で、企業型年金は心強い制度と言えるでしょう。企業の規模に関係なく導入できるため、企業・社員両者のメリットを理解すれば導入しない選択肢はありません。採用難の令和の時代においては、企業型年金を活用するなど従業員のウェルビーイングを高め組織の「心理的安全性」の土台を確保し、社員が長く働き続けることができる企業を経営することが、これからの経営者の命題になるでしょう。
 
  • 『人生のベストコンディションを追求する』ための無料相談

 従業員を守りたい、心理的安全性を確保したいという大切な「想い」を「カタチ」にすることをお約束します。納得のいくまで何度でもいつでもご相談できるFP(ファイナンシャルプランナー) やDCコンサルタント、相続診断士を配置して居心地の良い場所をお客様へ提供いたします。
お問い合わせ/無料相談はこちらから:https://www.inaba-plan.com/contact/
 
  • ​​調査概要
調査概要:中小企業の「企業型年金」に関する実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年4月22日〜同年4月25日
有効回答:中小企業(従業員数300名未満)の経営者105名
 
  • ​​参照記事
[1]厚生労働省「確定拠出年金の施行状況」(https://www.mhlw.go.jp/content/000463291.pdf
[2]企業年金連合会「2020年確定拠出年金実態調査結果」(https://www.pfa.or.jp/activity/tokei/files/dc_chosa_kessan2020_1.pdf
 
  • ​​会社概要
会社名 :株式会社イナバプランニングカンパニー
設立  :2000年3月
代表者 :稲葉 晴一
所在地 :埼玉県さいたま市浦和区常盤10-9-14 斎藤ビル2F
事業内容:一般消費者を対象としたマネーセミナーや相続セミナー
URL  :https://www.inaba-plan.com/

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会社概要

URL
https://www.inaba-plan.com/
業種
金融・保険業
本社所在地
埼玉県さいたま市浦和区北浦和4-5-5 北浦和大栄ビル5階
電話番号
048-677-5178
代表者名
稲葉晴一
上場
未上場
資本金
5000万円
設立
1998年06月