京都府城陽市のNPO法人ゆう・さぽーと『障害理解と虐待防止セミナー』開催 ー京都府内17ヶ所の施設が参加ー

”障がい者の暮らしの場を支えるグループホームで働くスタッフに横のつながりを”城陽市と協働し地域課題解決を目指す

ゆうさぽ

特定非営利活動法人ゆう・さぽーと(所在地:京都府城陽市、代表:中野 裕介、以下:NPO法人 ゆう・さぽーと)は、市と協働し「障がい者地域で安心して暮らせる街づくり」を目指すため、グループホームで働くスタッフに学びと交流の場を作る『グループホームスタッフセミナー&座談会』を2023年2月24日(金)に開催し、京都市内の17ヶ所の事業所、31名の方が参加しました。昨今、障がい者のグループホームは入居ニーズが高まり多くの事業者が参入している一方で、障害理解等の知識不足から対応に困っているスタッフが多いことが問題となっています。NPO法人ゆう・さぽーとでは現状把握のため事前アンケートを実施し、特に課題として多く上がった、虐待防止の取り組みや他事業所との事例共有をテーマにセミナーを開催しました。
特定非営利活動法人ゆう・さぽーとHP:https://www.yusapo.com/

開催概要

「より良い支援を目指して」というテーマで講師の森亮氏(社会福祉法人修光学園 常務理事)より講義していただきました。最近起こっている全国の虐待事例に触れ、「どうしてこのようなことが起こったのか?」と考える時間を持ちました。障害者虐待の調査において、グループホームで起こる割合が全サービス種別の中でトップになってしまっている状況も知り、参加者は身が引き締まる思いになられていました。「支援とは正すことだと思っていないか?」という問いかけに自分自身の障害者支援のあり方を見つめ直す機会となりました。「これって虐待?」と疑問に感じる行為は、少なくとも適切な関わりではないと捉え、別の支援方法を考える姿勢が大切だと気付かされました。
演習では、リフレーミングの練習を行いまいした。「〇〇してはダメ!」と相手の言動を抑えるような対応(スピーチロック)をしてしまわないよう、禁止ばかりを伝えるのではなく「〇〇をしましょう」と肯定的な言い方に変えて伝えることが不適切な関わりを防ぐ第一の方法であると学びました。参加者からは「ついつい、言ってしまっている」「無意識に利用者の行動を押さえていたことを反省します」と自分自身への気づきに繋がったとフィードバックを受けました。具体的・肯定的に伝え直すリフレーミングの難しさを体感できる時間となりました。その後、セルフチェックシートを使って、自分達の支援方法等について振り返りチェックを行いました。
最後に、参加者同士のグループワークで情報交換を行いました。限られた時間でのワークとなり、終了時間が過ぎても話が終わらないグループが多く見られ、「時間が足りない」「もっと話したかった」という振り返りもいただきました。他のグループホームでの取り組みや課題について話を聞く機会がなかったので、今回の研修が良い機会になったと感じています。

グループワークで参加者同士の情報共有が行われました

講師の森氏(写真右)と当法人代表の中野(写真左)のタッグで研修を進めました



参加者アンケートより

講義の中で印象に残っている内容としては、「全国の虐待事案に触れ、心が痛くなった」「虐待のグレーゾーンへの対応の難しさを実感した」「スピーチロックは無意識にしてしまっている部分があるので注意したい」「リフレーミングを意識して行いたい」という回答が多く、虐待につながらないように自分達の関わり方を見直したいという感想が多く見られました。「グループホームでの虐待件数が一番多いという結果がショックだった」という回答もあり、現実を知り、今後に活かす動きに繋がったと感じます。

グループワークの振り返りでは、「グループホーム間の交流機会がなかったので、色々な意見を聞け、情報交換できたのは良かった」という回答が多く、「時間が足りなかった」「もっと交流したかった」という回答も多く見られたことから、交流機会を作れたことは大きな成果だったと思います。次回以降はグループワークの時間を増やして、より深い情報共有ができりょう工夫していきます。

「行動障害への対応」「精神障害、知的障害の方への対応」について悩まれている参加者が多く、今後は「障害理解」についての研修会の開催も求められていることが分かりました。



開催に至る経緯と背景

厚生労働省の調査によると、平成18年度に障害者自立支援法(現:障害者総合支援法)のサービスとしてグループホーム(共同生活援助)が位置付けられて以降、入所施設や精神科病院等から地域移行を推進し、令和元年11月に利用者数は入所施設を上回り、令和3年2月には14万人に増加しました。障がい者が重度化・高齢化する中、グループホームにおける重度障害者の受け入れ体制の整備が課題であり、重度障害者支援加算の拡充等を図ってきています。グループホーム利用者の中には、一人暮らしや家族・パートナーとの同居を希望される方があるなど、利用ニーズの多様化への対応も課題となっています。障害者総合支援法の「どこで誰と生活するかについての選択の機会の確保」という基本理念を踏まえ、障がい者が希望する地域生活の実現・継続を支える支援の充実が課題となっています。
また、近年、障害福祉サービスの実績や経験があまりない事業所の参入が多くなり、障害特性や障害程度を踏まえた支援が適切に提供されないという支援の質の低下も懸念されているところです。障害者虐待防止法に基づく虐待防止研修等の取り組みも強化され、各事業所で研修を実施されていますが、研修の実施が困難であったり、他事業所との横のつながりがなく、支援に行き詰まっているケースもあるのではないかと思われました。障害者虐待状況調査によると、被虐待者の障害種別では知的障害者が7割、次いで精神障害者・身体障害者が2割、虐待が起こった事業所別ではグループホーム約2割で一番多くなっています。グループホームで暮らす知的障害者への適切な支援が課題になっていると考えられます。障害特性の理解、適切な支援方法の取得等について学ぶことが必要になります。
そこで、令和4年6月に当法人代表の中野が部会長を務める城陽市障害者自立支援協議会サービス調整部会において、グループホームでの研修実施状況についての調査を行いました。調査の結果、「研修の実施をしているが効果を実感できない」「研修実施の時間的余裕がない」「他事業所との交流がない」などが分かりました。城陽市においてグループホームスタッフ向けの研修の機会を作ることができないかと、城陽市福祉課障がい福祉係と協議を重ね、今回の研修開催に至りました。

課題1:障害理解の難しさ・虐待防止の取り組み
利用者の障害の重度化、ニーズの多様化への対応を行うための、知識やスキルが支援に不足している現状があります。
グループホームスタッフの障害理解の不足により、利用者が起こす言動に対して適切に対応できなくなることが懸念されます。
利用者の行動を制限することや人格を木津つけるような不適切な関わりが虐待へと繋がりかねません


課題2:スタッフの研修機会の少なさ
日々の業務が忙しく、研修実施の難しさがあり、スタッフが障害特性等について学ぶ機会が少なくなっています。
夜勤等の交代勤務が多く、外部研修の受講が難しいケースもあります。


課題3:横のつながりが薄い
研修機会だけではなく、他のグループホームとのつながりも薄く、自事業所での課題を同業種で共有する機会が少なくなっています。その為、支援現場等で起こる課題を事業所内で抱え込みやすく行き詰まるケースも少なくないと感じられます。



NPO法人ゆう・さぽーとが取り組む理由


NPO法人ゆう・さぽーとは、障がいがある方とともに、当たり前で彩りある暮らしを作り出すことを理念に活動しています。当法人は城陽市とともに「障がい者地域で安心して暮らせる街づくり」を目指して、城陽市障がい者自立支援協議会へ参画し、サービス調整検討部会において当法人代表の中野裕介が部会長を担わせていただいています。城陽市と協働で地域課題の解決のために活動をしています。
近年、障がい者のグループホームは入居ニーズが高まり、多くの事業者が参入しています。特に知的障がい者・精神障がい者の地域生活支援においては中心的な役割を担っています。しかし、利用者の障害の多様化・重度化等により、支援スタッフの苦労を聞かせていただくことも増えました。福祉人材の不足も重なり、人手不足の中、個々のスタッフにかかる負担は大きくなってきています。支援スタッフの不足は地域で暮らす障がい者の生活に直結しますので、大きな地域課題だと捉えています。

当法人は、平成26年から他法人と協働で研修開催を定期的に行ってきました。事業所間の横のつながり、スタッフ同士の交流や情報交換を盛んに行い、自事業所だけでは解決できない利用ニーズへの対応を地域の他事業所とともに取り組むための土台作りに力を入れていました。約6年間で培った研修開催のノウハウを活かし、城陽市を含む京都府南部地域のつながりを作るための研修を実施するために動き出しました。




今後のビジョン

今回の研修開催は一回だけの開催で終わらせず、継続てして定期的に開催できるようにしていきたいと思っています。グルーワークでの話の盛り上がり方から、「他事業所間の情報交換や交流」の大切さを実感しました。利用者の障害特性の理解、行動障害への対応方法など、別テーマでの開催も求められています。また、今回、参加できなかった事業所のスタッフや今後入職する方への学ぶ機会としても継続していく必要性はあると感じています。
障がい者が住みやすい地域を作るため、生活拠点であるグループホームが住みやすい場所になる必要があります。より良い適切な支援を受け続けることができるよう、今後もグループホーム間のつながりをサポートするセミナーの開催を行なっていきます。

【団体概要】
団体名:特定非営利活動法人ゆう・さぽーと
所在地:京都府城陽市枇杷庄島ノ宮20番地21
代表: 理事長 中野 裕介

設立: 2011年11月22日
事業内容:
HP:https://www.yusapo.com/

【問い合わせ先】
特定非営利活動法人ゆう・さぽーと 理事長 中野 裕介
Mail:sorairo-nyakano@nike.eonet.ne.jp TEL:0774-26-3007

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ビジネスカテゴリ
福祉・介護・リハビリ
ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

URL
https://www.yusapo.com/
業種
医療・福祉
本社所在地
京都府城陽市枇杷庄島ノ宮20番地21
電話番号
0774-26-3007
代表者名
中野裕介
上場
未上場
資本金
-
設立
2011年11月