新たな研究結果:4人に1人の高齢者において介護や支援のニーズが満たされていない
研究の詳細ページはこちら:https://extranet.who.int/kobe_centre/ja/project-details/foregone_care
本研究は、WHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)と一橋大学社会科学高等研究院の研究者が主導し、WHO本部 保健制度ガバナンス・資金供給部門との協働で行われました。世界規模で高齢者を対象にヘルスケアと継続的なケアのアンメットニーズを分析した、初のシステマティックレビューとメタ分析である本研究では、国別および年齢層や性別などの個人属性別に高齢者が抱えるアンメットニーズの発生割合の統合推定値が算出され、高齢者におけるアンメットニーズの主な理由も明らかになりました。本研究では4種類の主要な文献データベースから、1996~2020年に出版された関連研究101件を抽出して分析の対象としました。
ヘルスケアにおけるアンメットニーズ
全体分析の結果、高齢者の10.4%が、ヘルスケアに対するアンメットニーズ(自己認識している健康上の問題に対する受診控え・放棄や受診の遅延、と定義)を報告しました。ヘルスケアのニーズが未充足である理由として多かったのは、医療費の負担、保健医療施設の不足、時間の不足、健康上の問題を深刻に捉えていないこと、医療提供者に対する不信感や恐怖心でした。特筆すべき点として、医療費に起因するアンメットニーズの発生率は男性より女性の方が高く、同様に、教育レベルが低い、収入が低い、無保険である、または主観的健康状態が悪い高齢者において、それぞれアンメットニーズの発生率が高くなりました。
継続的なケアにおけるアンメットニーズ
継続的なケアのアンメットニーズ(日常生活機能に制約はあるが、身の周りの世話や介助を受けていないこと)の発生率はさらに高く、高齢者の4分の1において報告されました。都市部よりも農村部の居住者で、介護や支援におけるアンメットニーズが多く発生していました。
アンメットニーズの解消に向けて
これらの知見は、ヘルスケアや介護福祉などの制度が高齢者の継続的なケアのニーズにどの程度応えられているのか、また、不足点が何であるかを理解する上で重要です。医療や継続的なケアを必要とする高齢者の数は、人口高齢化とともに世界全体で急増しており、医療費や介護費をすべての人にとって負担可能な水準にすることや、ケアサービスにアクセスするための地理的な障壁の解消、高齢者から見たサービスの受容性の向上が、アンメットニーズの解消には不可欠となるでしょう。
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