米国Alnylam Pharmaceuticals社が9 月6 日に配信: トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの患者さんへのホリスティックケアを提唱する提言
RNAi 治療のリーディングカンパニーであるAlnylam Pharmaceuticals社の日本法人Alnylam Japan株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 岡田 裕、以下「アルナイラム」)は、希少・難治性疾患に対する創薬研究や治療薬の提供とともに、これらの疾患とともに生きる患者さんが少しでもより良い日常生活を送ることができるように、疾患に関する認知・理解の促進、治療に関するサポート、その他に寄与する活動にも取り組んでいます※。
本日は、毎年10月26日に制定されている『World Amyloidosis Day (世界アミロイドーシスの日)』にあわせ、9 月6 日に米国本社が配信したプレスリリースの日本語訳版(一部編集)、ならびに本調査に参加した日本の医師のコメントをご紹介させていただきます。
ここで報告されている調査の実施、ならびにその研究結果の発表・出版においては、Alnylam Pharmaceuticals社が資金を提供しました。
※ご参考: 希少・難治性疾患に関する認知・理解の促進や患者さん支援のため、アルナイラムが実施している活動
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーについての疾患情報サイト『the BRIDGE(https://hattrbridge.jp/)』を2019年から開設。
急性肝性ポルフィリン症(AHP)についての疾患情報サイト『AHP-Info(https://ahp-info.jp/)』を2021年から開設。
2022年に特定非営利活動法人 ASrid が設立した希少疾患情報コミュニティ STEP への参画と、ウェブサイト『STEP Learning(https://www.step-rd.info/learning/genome)』へのコンテンツの提供。
上記活動の詳細については、アルナイラムのウェブサイト(https://www.alnylam.jp/)をご覧ください。
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※なお、以下の資料の正式な言語は英語であり、内容及び解釈については原文(英語)が優先されます。英語版プレスリリースはhttps://www.alnylam.com/をご参照ください。
患者支援者と医療従事者で構成される国際委員会が、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー患者のホリスティックケア*を提唱する初の提言を策定
BMJ Open誌に掲載された新しい研究が、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの治療における大きな転換を求める
提言の中で同委員会は、早期診断、治療開始、多職種による連携ケアに加え、HCPと患者間のオープンな対話により、共通の意思決定と一貫した病勢進行のモニタリングを求めています。また提言では、患者さんが自立と生活の質を維持できるための、支持療法を含めた家族を第一に考えたオーダーメイドのケアプランの重要性を強調しています。
調査に参加した信州大学医学部内科学第三教室(脳神経内科、リウマチ・膠原病内科)の関島良樹教授は、「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(遺伝性ATTRアミロイドーシス)は、進行性で死亡率の高い遺伝性の多系統性疾患で、日本でも700~1,000人程度の患者さんがいると推定されています。この疾患は複雑かつ予後不良であるため、患者さんの生活にあらゆる面で影響を及ぼします」と述べたうえで、「今回の提言は医療従事者にとって、患者さんのQOLに大きな効果をもたらせるケアについての新たな指標となります。症状を治療するだけでなく、この病気とともに生きる上で身体的、心理的、社会的、精神的な面で支援できる他の関連医療サービスについても考え始めなければなりません」と、今回の調査結果に関する所見を述べました。
アルナイラム社の支援のもと、同委員会は50の提言を策定し、27カ国からの122人の医療従事者HCPと患者支援団体の代表を集めた国際デルファイ調査によって、これらの提言を検証しました。調査の結果、回答者は患者さんのケアの改善を目的とした7つの分野 ―早期診断と治療へのアクセス、疾患のモニタリングとケアの組織化、身体的・精神的健康の維持、家族を第一に考えたケアと介護者の支援、患者とHCPの意見交換と意思決定の共有、地域社会における支援へのアクセス、精神的支援とソーシャルネットワーキング― に焦点を当てた提言の98%を支持しました。
この調査では、各提言に対する同意の度合いを検証することに加えて、自身の医療機関や診療所で、それぞれの提言が現在どの程度実施されているかを評価するように回答者に求めました。大半のHCPは、早期診断と介入、遺伝カウンセリングと検査、栄養サポート、専門センターで提供されるオーダーメイドによるケアに関する特定の提言を、標準的な診療の一部であると考えていました。提言の大部分は、現在利用可能なリソースで達成が可能である一方、資金の追加投入とケアの再編成がなければ達成できないと評価されました。この調査結果により、TTR-FAPとともに生きる人々の複雑なニーズに対応するためのサービスをお届けする方法について、更なる議論と指針が必要であることが浮き彫りになりました。
アルナイラムのメディカルアフェアーズ部ペイシェントアドボカシー&エンゲイジメントの三浦愛子は、 「私たちは、TTR-FAPとともに生きる人々やそのご家族、介護者を支援するためのロードマップを提供するこれらの提言が発表されたことを嬉しく思います。臨床診療を更に改善するためには、あらゆるコミュニティからの協力が鍵となります。アルナイラムでは、このような取り組みを支援し、日本においても医療従事者や患者支援者と協力して、患者さんのケアに対するよりホリスティックなアプローチを促進することに全力を尽くしてまいります」と話しました。
この研究、結果発表および出版には、アルナイラム社が資金を提供しました。医療系調査会社Lumanity(ルマニティ)社がメディカルライティングをサポートしました。
*ホリスティックケア: 身体的、感情的、社会的、精神的な健康を含めたホリスティック(全包括的)なサポートを提供するケア手法。
参考文献
1. Obici L, Callaghan R, Ablett J, et al. Consensus Recommendations on Holistic Care in Hereditary ATTR Amyloidosis: An International Delphi Survey of Patient Advocates and Multidisciplinary Healthcare Professionals. BMJ Open 2023;0:e073130. doi:10.1136/bmjopen-2023-073130
2. Niederberger M, et al. Delphi Technique in Health Sciences: A Map. Frontiers in Public Health. 2020; 8:457
Primary Consensus Panel、提言および手法について
Primary Consensus Panelは、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーにおけるホリスティックケアの水準を向上させるための提言に関する合意形成を目的として2020年に設立されました。このパネルは、患者さん、患者支援団体、主要臨床専門分野(神経学、循環器学、理学療法、心理学、栄養学、看護学)、企業(アルナイラム社)を代表する8カ国14名の学際的なメンバーで構成されています。
この提言の目的は、症状のある患者さんの診断と治療開始の遅れを最小限にすること、集学的治療における連携と協調の促進、各患者さんのニーズに応じた支援の確保、家族中心のケアと介護者における支援の提唱、意思決定の共有を支援するためにオープンで誠実な意見交換の促進、身体的健康の維持と経済的および社会的支援を通じて患者さんの自立を支援すること、受容を促し、回復力を高め、幸福を支援するために患者と家族のための地域プログラムを奨励することでした。
本研究では、修正デルファイ法を使って(1)匿名化されたオンライン投票(1回目の投票)を用いた、提言案の作成と合意のためのPrimary Consensus Panelの結成、(2)広範囲の国際的な臨床および支援コミュニティからの、翻訳された提言案に対する匿名でのオンライン投票(2回目の投票)、(3)合意が得られなかった場合の、Primary Consensus Panelからの提出された提言を議論と修正するための国際委員会による最終投票(3回目の投票)、という3つの手順を実施しました。この研究の目的は、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー患者のホリスティックケアに関する提言について、合意に達することでした2)。
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーについて
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは、遺伝性 ATTR アミロイドーシス、FAP (Familial Amyloid Polyneuropathy)とも呼ばれています。TTR 遺伝子の変異が原因で生じる進行性の難治性疾患で、死に至ることも多い疾患です。TTR タンパク質は主に肝臓で産生され、ビタミンAの輸送体として働きます。TTR 遺伝子に変異が生じると、異常なアミロイドタンパク質が蓄積して、末梢神経や心臓などの臓器・組織を傷つけ、治療が難しい末梢神経障害、自律神経障害および/または心筋症などを引き起こします。トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの患者数は全世界で約 5 万人おり、障害発生率と死亡率はきわめて高く、大きなアンメットニーズが存在します。トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの診断からの生存期間の中央値は 4.7 年で、心筋症を発症する患者さんでは 3.4 年とさらに短くなっています。
Alnylam Japan 株式会社について
Alnylam Japan 株式会社(https://www.alnylam.jp/)は、次世代医薬品として注目される核酸医薬の一つである RNAi 治療薬を日本の患者さんに届けるため、2018 年 7 月に設立されました。RNAi 治療薬は、従来はターゲットにできなかったmRNAに選択的に作用することで、これまで治療が困難であった疾患の新たな治療選択肢となる可能性があります。RNAi 技術を応用して開発された世界初の siRNA 製剤オンパットロ点滴静注2mg/mL(一般名:パチシランナトリウム、適応症:トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー)は、当社が日本国内で 2019 年に販売した最初の製品です。2021 年には、2 剤目となる siRNA 製剤ギブラーリ皮下注189mg(一般名:ギボシランナトリウム、適応症:急性肝性ポルフィリン症)、2022年11月には3剤目となるsiRNA 製剤アムヴトラ皮下注25mgシリンジ(一般名:ブトリシランナトリウム、適応症:トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー)を販売しています。当社は、医療の未来を切り拓く可能性のある新しい治療薬の開発に取り組み、アンメットニーズの解消に貢献することを目指しています。
Corp-JPN-00037 | October 2023
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