マッチング理論で社会をよりよい方向へ。MiDATAと東京大学マーケットデザインセンターが共同研究を開始
恋愛・人材マッチングプラットフォームにおけるミスマッチを解消
AIサービス開発を行う株式会社MiDATA(本社:東京都中央区、代表取締役社長 後藤 司、以下「MiDATA」)は、2024年7月16日、国立大学法人東京大学大学院経済学研究科東京大学マーケットデザインセンター(所在地:東京都文京区、センター長:小島 武仁、以下「UTMD」)と、データを活用し対象者双方の嗜好性を考慮した「two-sided recommendation※」のアルゴリズム改良と、データに基づく新技術の性能検証についての共同研究(以下、「本取り組み」)を開始し、少子化問題や企業における人材不足といった社会課題の解決を目指します。
※ 推薦対象の両側(例:求人企業と求職者の双方)の選好を考慮に入れて最適なマッチングを薦める推薦システム
■背景・目的
マッチングプラットフォームを上手く機能させるためには、プラットフォーム上でマッチする2種類のユーザー・グループ(例: 女性と男性、企業と求職者)の双方が持つ、「どの相手とマッチしたいか」という選好(希望)を尊重しなければなりません。データに基づき、双方の選好を考慮しつつ、推薦するマッチング相手を決めるtwo-sided recommendationは、この課題を解決するための有力な手段です。本取り組みではtwo-sided recommendationのアルゴリズム改良を行い、有効性と課題の検証のためにMiDATAの親会社リンクバルが運営するマッチングアプリ「CoupLink」を利用します。
■概要
MiDATAはこれまで、マッチングアプリ「CoupLink」において、機械学習等のAI技術に加えてマッチング理論の考え方を適用し、two-sided recommendationの開発を続けてきており、マッチ数の380%増加など、高い実績を上げてきました。
この度、MiDATAが開発してきたtwo-sided recommendationの仕組みに、UTMDの持つマッチング理論の最先端の知見を適用することで、アルゴリズムの更なる改善が実現可能かどうかの共同研究を開始します。
■今後の展望
MiDATAは、本取り組みを通じた将来的な目標として、日本が直面する少子化とそれに伴う企業の人材不足という二つの重要な社会問題に対する解決策を提供することを目指しています。
少子化問題においては、経済的・社会的要因の他に、出会いの減少も一因と考えられます。内閣府が公表した2022年版「少子化社会対策白書」では、内閣府が全国の約1万人を対象に調査した結果、2021年4月~5月時点で出会いを求めている未婚者のうち、13.1%が「新たな出会いが減少した」、17.3%が「新たな出会いが非常に減少した」と回答しています。さらに、多くの男女が「いずれ結婚する」ことを希望しながら、「適当な相手にめぐり会わない」と回答。MiDATAは、この問題に対し、恋愛マッチングへのマッチング技術活用により、効率的に最適な相手とのマッチングを促進することで、この問題の解決に貢献します。
企業の人材不足における問題は、労働人口の減少に加え、雇用のミスマッチにあります。三菱総合研究所が公表した「MRIマンスリーレビュー2023年8月号」によると、2035年には480万人規模の産業間・職業間ミスマッチが発生すると試算されています。MiDATAは、本取り組みの成果を活用し、求職者と求人企業の双方にとって最適なマッチングを実現することで、雇用のミスマッチを解消し、生産性向上へ寄与することを目指します。
恋愛におけるマッチング、人材領域における求人と求職者の最適なマッチングの実現は、様々なマッチングプラットフォームにかかわる政策的課題に対する応用も可能になると考えております。MiDATAは、AI技術の力で社会の課題を解決しより良い未来を創造すべく、本取り組みの成果をサービス化し、広く社会に展開してまいります。
■東京大学マーケットデザインセンター プロジェクトマネージャー/共同研究者 野田 俊也氏 コメント
本共同研究の中で、UTMDはマッチング理論の推薦アルゴリズムへの応用と、「CoupLink」における実証実験によって得られたデータによる、新しい推薦アルゴリズムの有効性の実証を担当します。マーケットデザインによる制度設計は、実社会で性能を発揮してはじめて価値が生じますが、MiDATAのような実証実験とデータ提供に協力してくれる企業なくして、実社会における制度の性能検証を行うことはできません。今回の共同研究では、マッチング理論に基づく改善提案をプラットフォームに実装し、さらに得られたデータをもとに実証研究を行うという、理論・実装・実証のすべてを包含する理想的な制度設計の研究サイクルを実現できるのではないかと期待しています。UTMDは本共同研究を通じ、マーケットデザインの技術の実社会における活用の裾野を広げ、広範な社会的課題の解決を行うことを目指します。
【野田 俊也氏 プロフィール】
2012年に東京大学経済学部経済学科を卒業(経済学部卒業生総代)。2014年に東京大学大学院経済学研究科修士課程(経済理論専攻)を修了。2019年スタンフォード大学経済学部博士課程を修了し、ブリティッシュコロンビア大学経済学部助教授を経て、2021年より東京大学大学院経済学研究科講師・東京大学マーケットデザインセンタープロジェクトマネージャー。研究分野はマーケットデザイン、ゲーム理論、アルゴリズム、ブロックチェーンなど。
東京大学大学院経済学研究科東京大学マーケットデザインセンターについて
近年、経済学において「人々にとって望ましい結果を得るにはどのような制度=ゲームのルールをデザインすればよいか」を追究する、マーケットデザインと呼ばれる領域が注目を集めています。UTMDは、マーケットデザインを支える「マッチング理論」「オークション理論」等の理論研究と、マーケットデザインの知見を現実の制度改善に反映する社会実装の拠点として、2020年秋に設立されました。教育・保育、労働市場、災害・医療、環境制度設計などの領域において、企業・自治体などとの共同研究に取り組んでいます。
所在地:東京都文京区本郷7-3-1
代表者:東京大学マーケットデザインセンター長 小島 武仁
URL:https://www.mdc.e.u-tokyo.ac.jp/
株式会社 MiDATAについて
MiDATAは、主にtoC企業を対象としたAIソリューションを提供してまいります。マッチングサービスやオンラインコミュニケーション分野を中心に、AIマッチングエンジン、画像解析、予測分析などの最先端技術を活用したソリューションの提供がメインとなります。これらのソリューションを通じて、企業はユーザーエクスペリエンスの向上やサービス品質の最適化を実現し、事業の競争力を高めることが可能となります。さらにMiDATA社は、これらのtoC企業に特化したソリューションをベースに、他業界や業種にも適応可能なAIソリューションを開発・提供していくことで、幅広い顧客ニーズに応えていくことを目指しております。
代表取締役社長:後藤 司
会社設立 :2023年5月
資本金 :30,000千円
所在地 :東京都中央区明石町 7-14 築地リバーフロント 6F
事業内容 :AI開発事業および AIコンサルティング事業
公式HP :https://midata.co.jp/
【MiDATA 研究代表者について】
株式会社MiDATA シニアAIエンジニア
大川 幸男
2011年に慶應義塾大学理工学部数理科学科を卒業。2016年に東京大学大学院数理科学研究科博士課程を修了し、2017年よりAI専業コンサル会社でデータサイエンティストのキャリアをスタート。2021年より株式会社リンクバルでシニアAIエンジニアとして、同社における種々のAI開発を担当。2023年より、株式会社MiDATA(リンクバルグループ会社)シニアAIエンジニア。
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