個展「新しい海」が元となる常設美術館 Eugene Museum in Bali/より、新たに建築家アンドラ・マティンと寒川裕人のインタビューが公開。建築のコンセプトや新たな建築スケッチなどが収録。
*2025年9月 動画が更新されました。
この度、アジアとASEAN地域、インドネシアに縁のあるコレクターズユニオンによって、東京都現代美術館の個展「新しい海 After the rainbow」(2021-22)↗がもととなる寒川裕人/ユージーン・スタジオの作品の常設美術館がバリの世界遺産一帯の麓にて計画され、現地運営組織によって建設が開始されました。本館建築はインドネシアを代表する建築家アンドラ・マティンの設計と寒川の対話によって設計され、一般開館は2026年と予定されています。(本常設美術館「Eugene Museum in Bali (ユージーン・ミュージアム・イン・バリ)」は約1haの敷地に合計約5000平米の施設と予定されています。)
本美術館は、緑豊かな周辺地域と美術館の運営を担う現地共同企業体により、現地法に基づいた建設・ 運営・法務・広報等全般の活動が行われています。また、関連する美術館周囲は重点開発区域として、現地および多国籍のチーム、地域の官公庁によって支えられています。
まずはスタジオより、私どもの想像を遥かに超える常設美術館をご提案くださり、ご尽力くださった方々に心より御礼申し上げます。
詳細は美術館の公式Webサイト(英語/インドネシア語 *外部サイトへ移動します。)をご覧ください。
美術館より新たに公開された動画(英語/インドネシア語 *日本語字幕)では、アンドラ・マティンのパートでは、新たなパーススケッチとともに、作家の思考と作品のテーマをどのように表現するかや、建築に使われる素材について語られています。寒川裕人のパートでは、今回のプロジェクトに至るまでの経緯と背景について寒川本人のことばとともに、東京近郊の大型アトリエと自宅での制作活動の様子が収録されています。
日本語字幕付きの動画はこちらから



Final form, (CG) © Andra Matin © Eugene Kangawa / EUGENE STUDIO © Eugene Museum in Bali
*2025年9月 動画が更新されました。
Eugene Museum in Bali Presents – Pre-Opening Interview
Andra Matin & Eugene Kangawa (EUGENE STUDIO) — “Voices from Indonesia” [English Subtitles]
Highlights from 2024, featuring voices from people in Indonesia.
Planning & Editing: Eugene Museum in Bali
Eugene Museum in Bali Presents – Pre-Opening Interview
アンドラ・マティン、寒川裕人(ユージーン・スタジオ)― ボイス・フローム・インドネシア(英語・日本語字幕)
企画/編集:ユージーン・ミュージアム・イン・バリ(常設美術館)、2025
Eugene Museum “Interview” Part. 1&2 Andra Matin/Eugene Kangawa (Eugene Studio) [English Subtitles]
An interview by the Eugene Museum in Bali.
Architect Andra Matin and artist Eugene Kangawa discuss the concepts and materials, with new perspective sketches, at Eugene’s atelier and home.
(This video was recorded in May 2024.)
Eugene Museum “Interview” Part. 1&2 Andra Matin/Eugene Kangawa (Eugene Studio) [Japanese Subtitles]
An interview by the Eugene Museum in Bali.
Architect Andra Matin and artist Eugene Kangawa discuss the concepts and materials, with new perspective sketches, at Eugene’s atelier and home.
(This video was recorded in May 2024.)
先駆けて2024年5月末にインドネシアにて美術館より計画が発表されました。
Financial Times (フィナンシャル・タイムズ/イギリス、本紙)
“アンドラ・マティンが設計した広さ3,000平方メートルのユージーン・ミュージアムには、現代アーティスト、寒川裕人(1989年生まれ)の常設作品が15点以上展示される。これらは絵画から大型のインスタレーションまで多岐にわたる。寒川裕人は、従来のギャラリーに所属しなくとも、2021年に東京都現代美術館で最年少で個展を行ったアーティストである。”
(本紙より)
Rumahjurnalis.com (インドネシア、Web)
バリ島にEugene Museum in Baliを設立するというアイデアは、2021~2022年に東京現代美術館で開催された寒川裕人の個展『新しい海:After the Rainbow』の成功を受けて浮上した。新型コロナウイルス感染症の影響下での開催となったが、連日長蛇の列ができるなど大きな注目を集めた。この展覧会の成功は、インドネシアを含む国際社会からの広範な支持を生み出し、バリ島に寒川裕人の作品に捧げる常設美術館を創設するというアイデアにつながりました。
この美術館には、「Goldrain」、「海庭」などの有名なインスタレーションや、これまでの国際展で来場者を驚かせたいくつかの大きな光り輝く絵画など、寒川の記念碑的な作品が展示されます。ユージーンは、愛、光、影、人間と自然の関係など、実存的なテーマを探求することで知られています。彼の作品はスケールが大きいことが多く、訪問者に現代生活の複雑さを熟考させるような没入型の体験を生み出します。
Le Quotidien de l’Art(フランス、本紙)
“2026年初頭、インドネシア南部のバリ島に新しい私立美術館がオープンする予定だ。ユージーン・ミュージアムは、1989年にニュージャージーで生まれた日本人アーティストの名を冠している。”(本誌より)
Art+ Magazine(フィリピン、web)
"バリにある常設美術館は、アメリカ生まれの日本人アーティストによって、従来の巡回美術展の枠組みを超越したものになります。
寒川裕人は、日本で最も知られる現代美術館のひとつである東京都現代美術館での個展で特に知られており、同館で最年少で個展を開いた記録を持っています。この展覧会は長蛇の列を作り社会現象となりました。"
Tourismvaganza (インドネシア、Web)
東京都現代美術館で開催された非常に著名な個展『新しい海: After the Rainbow』に続き、さまざまな地域や国からの期待と支援が高まり、バリ島に常設美術館『Eugene Museum in Bali』の設立が進められています。有名なタナロット寺院から約10分の場所に位置し、ユネスコ世界遺産の敷地内に建設されるこの美術館は、インドネシアの著名な建築家アンドラ・マティンによって設計される予定です。
Casa Brutus/カーサ・ブルータス(日本、Web)
2026年、バリ島南部、森と海に囲まれた立地に、寒川裕人/ユージーン・スタジオの常設美術館が誕生することが発表された。…常設展示には、寒川の代表作である《海庭》シリーズや《Goldrain》、《Light and shadow inside me》などの絵画やインスタレーション、さらに建築一体型の新作などが予定されている。…2024年内に着工がスタートする〈Eugene Museum〉は、寒川の創作の根底にあるコンセプトである共生、そして「新しい海」を体現し、アップデートしていく、壮大な作品でもある。大自然に抱かれたスピリチュアルな地で、現代アートを堪能できる新たな聖地となりそうだ。
Art Asia Pacific(香港、web)
アメリカ生まれの日本人のコンセプチュアル・アーティスト、寒川裕人/ユージーン・スタジオの作品に特化した新しい常設美術館が、2026年初頭にインドネシアのバリ島にオープンする予定だ。
(webより)
Eugene Museum in Bali について
(下記、美術館より発行の英語版ボイラープレートより直訳・引用しています。)
“世界遺産の麓、名勝タナロット寺院から約 10分、美しい緑と水に囲まれた常設美術館「Eugene Museum in Bali(ユージーン・ミュージアム・イン・バリ)」は、2026年の一般開館を予定しています。アジアとインドネシアに根差したコレクターズ・ユニオンが、作品を次世代に届けるための恒久的な美術館として、着工が進行しています。
本美術館の設計は、インドネシアを代表する建築家アンドラ・マティンが主導し、アメリカ生まれの日本人現代美術家・寒川裕人と対話を重ねて設計され、作品のために構想されました。来館者は、この1ヘクタールの敷地全体を通じて、自然と人間の共生を体感することができるでしょう。
設計にあたっては、休耕田となっていた土地を再利用し、既存の樹木を避け、太陽光や星座の軌道に沿わせ、テラコッタ素材を再利用し、時間の経過とともに変化する空間を生み出しています。
本館では一般開館のほか、ワークショップや夜間ツアーのほか、プレイルーム(礼拝部屋)、レストラン、ライブラリ、そして「ミュージアム・ステイ」と呼ばれる宿泊プログラムも予定されています。来館者は、金色の雨に包まれ、光の波の中へ足を踏み入れ、何万枚もの落葉に囲まれ、巨大な金色の絵画や天体、光の中、あるいは影に身を置くことになります。これらの作品体験は、天候や時間帯といった自然条件によって大きく変化し、まるで風景のように移ろいます。本美術館は、東京都現代美術館で開催された寒川裕人の大規模個展を見たコレクターたちの「幾世代先へと見られるべきだ」という思いから生まれました。美術館が位置するエリアは「Emerald」と名付けられ、地域の自然的・環境的魅力を高めることを目的に、レストランや宿泊プログラムも併設される予定です。”
2023年末には、美術館建築の準備の一環として、地域の方々の支えにより、アート・ジャカルタ本部と同じビルに「美術館準備室」が設立されました。
本美術館は現地美術館チームと地域共同体による共同運営です。
*本美術館は、個展「ユージーン・スタジオ 新しい海/After the Rainbow」(東京都現代美術館、2021〜22年)を原型とし、寒川が本美術館のために特別に制作した新作を加えて構成されています。《Goldrain》《Everything Shines》《Light and Shadow Inside Me》をはじめとする15点以上の常設インスタレーションを予定しています。
— Eugene Museum in Bali, 2025”
※その他、美術館に関する記事はこちらからもご覧いただけます。
https://eugene-museum.com/newslist/(外部サイトへ移動します)
https://the-eugene-studio.com/news/(日本語)

About Andra Matin アンドラ・マティン
アンドラ・マティン(Andra Matin)は1962年インドネシア生まれ。2018年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展特別賞受賞や、イスラム圏の建築における最高賞のひとつとされるアガ・カーン建築賞を2022年に受賞等、住宅や美術館、モスク、公営 水泳場などを幅広く手がけるインドネシアを代表する建築家。 代表作に「ブリンビンザリ空港」、「ポテトヘッド」(2010年)、「Tubaba Mosque」 (2017年)など。西ジャワ州バンドンで生まれ、1981年バンドンのパラヒャンガン大学建築学部卒業、1990-98年Grahacipta Hadiprana勤務、1998年に事務所を設立し、バンドンにて約40名超のスタッフが勤務しています。
https://www.andramatin.com/
建築家 Andra Matin コメント
「Eugene Museum in Baliは、建築がEugeneの作品と有機的に混ざり合うこと、そしてバリの伝統、文化、魂を閉じ込めることが重要です。 私の建築は自然への敬愛がベースになっており、作品との親和性を感じています。今回の取り組みはアート、人々の行動、自然が繊細に混じり合っており、コスモロジーにとって重要な要素が含まれていると感じています。
バリの伝統的な住居システムとして、Natah Systemというものがあります。そこには憩いを生み出す共同空間と共にコミュニティが成り立ちます。今回は建築、自然とEugeneの作品、そしてビジターの皆さんとの共生の地となります。このシステムをベースに、テラコッタなど現地の素材と技術を最大限活用しています。
そしてこの美術館は、インドネシアにおいて、質の高いコンテンポラリーアートと建築を体験する名所になってほしいと思います。インドネシアの建築チームと日本のコンテンポラリーアーティストが力を合わせ、非常に繊細な技術によって、空間と体験を作り出して行きます。是非インドネシアの人々や、世界の人々に感じてもらいたいと思います。」

About Eugene Kangawa / EUGENE STUDIO
寒川裕人(Eugene Kangawa)は1989年米国生まれ。時間や存在、歴史を題材に扱った抽象的な絵画やインスタレーションを中心に、過去に東京都現代美術館 個展『ユージーン・スタジオ 新しい海』(2021–22)、金沢21世紀美術館「de-sport:」(2020)、資生堂ギャラリー個展「1/2 century later.」(2017)、サーペンタイン・ギャラリー(ロンドン)「89+」(2014)参加のほかコレクション展など。
「共生」をテーマとした東京都現代美術館での個展は同館最年少での個展となり、またその後本展の反響が国際的に広がる形で、アジア・ASEANゆかりのコレクターたちの手によって同展が原型となる約1haの常設美術館がバリの世界遺産麓で建設されています。
またアメリカで発表された短編映画がロードアイランド国際映画祭、ブルックリン映画祭ほか複数の海外映画祭でオフィシャルセレクションの選出や受賞。
現在は東京近郊にて、作家本人とスタジオスタッフの設計とDIYによる、緑豊かな「Atelier iii」にて、様々な分野のスタッフによって制作が行われています。
the-eugene-studio.com
寒川裕人(Eugene Kangawa) コメント
「まず、このような私一人では想像できえないような素晴らしいご提案、機会に感謝しています。インドネシアを訪れ、そこで友人たちと交流することは本当に喜ばしいことでした。このような国を超えた取り組みは当然ながら、多くの方の有り難い支持や支えあってのことで、全ての関わる方にとって大切な場所になってほしいと願っています。
建築家のアンドラ・マティンとの出会いは非常に重要なものでした。現在、美術館のテーマとして挙がっているものは、「Meta-Nature」や「Diverthing (Divert-Thing)」(※いずれも造語)、また「共生/Symbiosis」「想像の力」などが挙げられます。
最初に私が、敷地の中央には建築を作らないのはどうか、と話したところ、Andraがバリの伝統的な集落との共通項を見出し、彼らの伝統につなげてくれました。
今回、各作品のディテールを細かに共有し、作品空間と建築が一緒に設計されていくという興味深いプロセスがありました。建築全体が作品のようでもあり、一部は私のアトリエと同じように自然光が多く、時間帯による変化が大きい場であり、同じ作品でも昼と夜とでは全く違う様子になるでしょう。このようなあり方は作品にとっては理想的な条件の一つだと思います。 森羅万象すべてへの等しい探求が表され、建築、ランドスケープ、そしてそこに訪れる人々と共にあること。それをAndraは “Museum as a village”と呼びました。作品を含めて、ひらかれた場になれば幸いです。」

本件に関する問い合わせ先(日本語):
Eugene Studio(ザ・ユージーン・スタジオ株式会社)
press@the-eugene-studio.com
Press enquiries on this matter:
https://eugene-museum.com/inquiry/
Correspondence
Indonesia / Vivin
UK, US, FR / Sutton
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