Solution Creators が未利用熱の活用によるCO2分離回収を実証
廃熱エンジン駆動型ガス圧縮機とCO2分離膜を活用した「ゼロエミッション型CCUS※事業」 にむけ前進 ※CO2の分離・回収・利用・貯蔵
Solution Creators株式会社(ソリューション・クリエイターズ株式会社、本社:東京都港区、代表取締役CEO:川端 康晴、以下SCS)は、未利用となっている再生可能エネルギーや排気ガスの廃熱を有効活用することで、地球温暖化の原因物質である二酸化炭素(CO2)を効率よく分離回収する技術を実証しました。
本技術は、地熱・温泉熱や太陽熱、バイオマス燃焼時の排気ガスがもつ再生可能エネルギー熱のほか、化石燃料燃焼時の排気ガスがもつ熱エネルギーで稼働する廃熱エンジン駆動型のガス圧縮機と、簡素で低コストなCO2分離回収技術として注目されるCO2分離膜モジュールを組み合わせることで、CO2を分離回収する工程で発生するCO2の発生量を最少化したゼロエミッション型の分離回収を実現できる、当社独自の特許技術です。
当社は、廃熱エンジン駆動型のオフグリッドORC発電システムや冷蔵システムの開発と事業化を推進している株式会社馬渕工業所(本社:宮城県仙台市、代表取締役 小野 寿光)とCO2分離膜メーカー協力のもと、75℃という低温の温水でも稼働できる「未利用熱エンジン駆動型CO2分離回収システム」を開発し、1段の分離膜モジュールを組み合わせるだけで、約6%のCO2を含むガスから、約5倍となる30%のCO2を含むガスを濃縮回収できること(2段以上の多段化で95%超の高濃度回収も可能となる見通し)を実証しました。

今後は実証成果を活かしたシステムの大型化や、分離回収したCO2の圧縮・液化による産業利用と地下圧入による固定化を一貫して実現できるシステムを開発することで、地熱・温泉熱や太陽熱、バイオマスなど地域の多様な再生可能エネルギーに対応した「再生可能エネルギー地産地消型CCUSシステム」をはじめ、発電所や工場の排気ガスなどがもつ低温の未利用廃熱を有効活用できる「未利用廃熱活用型CCUSシステム」の開発と実証を通じ、カーボン・ニュートラルCO2の供給販売やCO2削減によるカーボン・クレジットの創出販売にむけた事業化を加速します。
また、開発したシステムを国内外各地の未利用エネルギーや地域のニーズに応じて導入し、「地産地消型のローカルCCUS事業」を普及拡大していくことで、多様な地域資源を活かした新たなGX産業を振興させながら地球温暖化を抑制し、持続発展する地域社会の実現にむけて全力を尽くしてまいります。
なお、今回の実証成果と今後の事業化計画の概要は、2025年9月17日~19日に幕張メッセで開催される、CCUS EXPO(第1回 CO2の分離・回収・利用・貯蔵 技術展)の当社展示ブースで紹介する予定です。


実証試験の背景とSCS技術の特長
■実証試験の背景(CCUS事業の課題)
地球温暖化の進展に伴う気候変動は、国内外各地で気温上昇や風水害の増加、農林水産業など様々な分野への影響が深刻化し、人類が存続発展していくうえで解決すべき喫緊課題となっていることから、その主要な原因物質である二酸化炭素(CO2)については、今後の排出量を削減するだけでなく、これまで大気中に排出・蓄積されてきたCO2も除去削減するため、CO2を分離回収して固定化/有効活用するCCUS技術の開発と早期の社会実装(事業化)が求められています。
■SCS技術の特長(当社独自の課題解決策)
現在、大気中や排気ガスに含まれるCO2を分離回収するため、吸収法、吸着法、膜分離法など様々な方法が開発・事業化されていますが、それぞれの方法ではCO2を分離回収するために必要となるエネルギーの消費量が大きく、電力や燃料消費に伴うコストが嵩む一方、CO2削減効果が減少してしまうことが課題となっており、こうした課題を解決しうる簡素で低コストな分離回収技術として、CO2を含むガスを圧縮して分離膜に供給したり、分離膜を通じてCO2を選択的に吸引することで回収する膜分離法が注目・期待されています。
また国内外の各地では、豊かな再生可能エネルギー資源に恵まれながら、送電網への接続が困難なために、CO2の排出を伴わない再生可能エネルギーが有効活用されていない地域や、温度が低いために廃熱が充分に有効活用されていない排気ガスがあり、送電網接続の制約なく、未利用の再生可能エネルギーや工場廃熱等を活かして、簡素なシステムで効率よくCO2を分離回収できる技術が期待されています。
こうした状況からSCSは、未利用の再生可能エネルギーや廃熱を、膜分離法における主要なエネルギー消費(に伴う運用コストとCO2排出増加)要因となる、ガスの圧縮や吸引を行う駆動力として有効活用するとともに、CO2分離膜の性能が最適となるよう、ガスの温度や湿度の制御にも多段階で活用する方法を開発して基本構成特許を取得し、特許技術を活かした当社独自CCUSシステムの開発を開始しました。

技術実証の意義と今後の展望
今回の実証試験は、今後の国内外におけるCCUS事業にむけた第一歩として、特許取得した新たなCO2分離回収方法の原理実証を行ったもので、未開発の再生可能エネルギーや未利用の廃熱を活かしたグリーンCO2の生産供給やカーボン・クレジットの創出に係る基盤技術を検証した成果となります。
また、本試験で実証した方法は、ガス圧縮機やガスポンプの軸動力を、風力タービンや水力タービンに置き換えることで、陸上や洋上の風力エネルギーを利用し、オンサイトでCO2を分離回収して地中圧入させる炭素除去事業や、水力エネルギーを利用して農業施設で利用されるCO2を供給するなど、未利用熱以外の再生可能エネルギーにも適用できることから、各地の地域資源に応じた幅広い事業への展開が期待されます。
当社は今後、本原理実証の成果を活かし、ターボ圧縮機やターボポンプなどの熱流体機械メーカーをはじめ、CO2分離膜モジュールメーカーなどとの連携体制を構築してシステムの大型化と国内外での実証・事業化を推進し、地球環境の維持・再生にむけた取り組みをさらに加速していきます。

■Solution Creators株式会社について
Solution Creatorsは、国内外各地で未利用・未開発・余剰となっている再生可能エネルギーやバイオマス資源のほか、耕作放棄地や遊休地も地域資源と捉え、各地の地域資源を地産地消することで新たなDX産業やGX産業を振興するためのソリューションを提供しています。
各種再生可能エネルギーの電力と冷熱を活用するエッジ・コンピューティング技術や、二酸化炭素の分離回収・固定化・有効活用を行うCCUS技術を活かして、国内外の各地と事業共創を行うことで、持続発展する社会の実現に貢献してまいります。
法人名称:Solution Creators(ソリューション・クリエイターズ)株式会社
所在地:東京都港区三田1-4-28 三田国際ビル2F
代表取締役CEO:川端 康晴
資本金:1,000万円(2025年7月31日現在)
主な事業内容:クリーン・エネルギーの地産地消によるエッジ・コンピューティングやCO2の分離回収・固定化・有効活用(CCUS)に関する地域連携型事業の共創実施
URL:https://s-creators.jp/(コーポレートサイト)
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