【イベントレポート】Goodnotes 法人向け売上で日本が世界1位、前年比2倍超に 「まず手で考え、次にAIで広げる」竹下隆一郎氏、清水久三子氏、佐々木俊尚氏がAIと手書きの使い分けを議論

新ブランド「Good Systems」、AI議事録ツール「Goodmeet」の発表など今後の展望も紹介

Goodnotes Limited

 世界2,600万人以上が利用するデジタルノートアプリ「Goodnotes」を展開するGoodnotes Limited(本社:英国ロンドン、以下「Goodnotes」)は、2026年10月27日(火)、代官山B1FLATにてメディア向けイベント「AI時代、いい仕事は手から生まれる。— Where thinking by hand meets AI —」を開催しました。

 イベントでは、COOのミン・トランが登壇し、法人向け売上が国別で世界1位、前年比2倍超に伸びた日本市場における事業の概況と、全国のビジネスパーソン1,000名を対象に実施した「AI時代の思考力/創造力」に関する調査の結果(※1)を発表しました。調査では「まず手書き、次にAI」の順で考える人が独創的なアイデアに「よくたどり着く」と答えた割合は、逆の順番で考える人の約2.4倍でした。

 また、パネルディスカッションでは、「TBS CROSS DIG with Bloomberg」CCOの竹下隆一郎氏がモデレーターを務め、経営・人材育成コンサルタントの清水久三子氏と、Goodnotesを長年愛用する文筆家・情報キュレーターの佐々木俊尚氏が登壇しました。「AIと手書き、私たちはどう使い分けているか」をテーマに、日々の仕事におけるAIと手書きの活用方法や、それぞれの特性を生かした思考整理・アイデア創出について議論しました。

※1 「AI時代の思考力/創造力実態調査」:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000170853.html

AI時代の思考力・創造力とは? ミン・トランCOOが調査結果を発表

ミン・トラン(Goodnotes Limited COO)

 冒頭のキーノートでは、ミン・トランがGoodnotesの日本市場における事業の状況を紹介しました。創業初期から支持を得てきた日本では、近年は企業での利用も拡大しています。なかでも建築・エンジニアリング・建設(AEC)分野は、日本の法人ユーザーに占める割合がグローバル平均を大きく上回るとし、ある導入企業で生産性が40%向上した事例などを挙げました。また、2027年3月頃にAndroid向けネイティブアプリの提供開始を予定していることも明らかにしました。

 続いて、全国のビジネスパーソン1,000名を対象に実施した調査の結果を発表しました。仕事で生成AIを利用する人の51.0%(20代は60.9%)が「AIに聞かないと、自分では考え始められなくなった」と感じている一方、独創的なアイデアが生まれた場面で使っていた手段は、手書き(48.6%)が生成AI(39.0%)を上回りました。

 ミン・トランは、今回の調査結果を受けて東京大学の酒井邦嘉教授が寄せたコメントから、「ペンはキーボードより強し」という一節を引用。これらを踏まえ、AIと手書きは対立するものではなく、両者を「正しい順番」で組み合わせることで独創的な発想が生まれる可能性を、調査結果が示唆していると説明しました。また、「まず手で考え、次にAIで広げる」というGoodnotesの考え方を提示し、AIは思考を代替するのではなく、その上に積み重ねるものだと述べました。

「AIと手書き、私たちはどう使い分けているか」竹下隆一郎氏、清水久三子氏、佐々木俊尚氏が議論

 続くパネルディスカッションでは、生成AIがビジネスシーンに浸透する中で、情報の整理やアイデアの発想に、AIと手書きをどう使い分けるか、登壇者3名がそれぞれの知見や経験をもとに語り合いました。

■ 仕事の現場で、手書きをどのように活用しているか

竹下 隆一郎 氏(TBSテレビ 特任執行役員/TBS CROSS DIG with Bloomberg CCO)

 竹下氏は、自身のYouTube番組のインタビュー準備で手書きを活用しています。パソコンで作った台本をGoodnotesに取り込み、手書きで書き込んでから、再びテキスト化する使い方を紹介し、「もちろん順番もあるが、往復が大事」と語りました。

 インタビューでは、データなどの「四角い言葉」と、相手の感情がにじむ「丸い言葉」の2つを意識し、深掘りしたい情報はあえて手書きでメモすると説明。

 「手書きの上にスクリーンショットを貼れるので、丸い言葉のメモと、絶対に間違えてはいけない四角い言葉のデータを両方持てる」と話しました。チームへのレクチャーでも手書きの絵を使うと、メンバーに伝わりやすくなるといいます。


清水 久三子 氏(株式会社AND CREATE 代表取締役社長)

 企業研修や講演を多く手掛ける清水氏は、まず手書きでスライドのイメージを描くことを推奨しています。コンサルタントの育成でも同じ手法を教えており、いきなりPowerPointで作る場合と比べ、手書きでイメージを固めてから一気に作ると「時間は半分ぐらい」だといいます。「PowerPointは表現の道具。考えることと表現することを一緒にやろうとすると、生産性が落ちてしまう」と語りました。

 生成AIでの資料作成も、その前段を固めておかないと「AIの出力に『何か違う』とやり直すうちに、どんどんおかしくなる」とし、自分の思考をまず手書きで形にし、表現は最新のテクノロジーに任せる使い分けを提案しました。


佐々木 俊尚 氏(文筆家・情報キュレーター)

 執筆や講演活動をする佐々木氏は、原稿のゲラをPDFでGoodnotesに取り込んで手書きで校正しているほか、書籍の構成案づくりにも手書きを活用しています。概念というマクロと、現場の話というミクロをどう結びつけるかが「物書きにとっては真骨頂」だとし、「メモアプリだけだと、情報がリストに並んでいるだけで結びつきにくい。頭の中のモヤモヤを形にしていくには、身体性を伴う何かがないといけない。そこで必要になるのが手書き」と語りました。集めた情報を白紙に並べて矢印でつないでいくと、全体の構想が浮かび上がるといいます。

■ アイデアが生まれる瞬間、何が起きているのか

 アイデアを生み出す思考について、清水氏はまず「『納得』と『理解』は違う」と発言。提示されたものを「なるほど」と受け取るのが受動的な納得で、要素を分解し、関係性を自分の中に落とし込むのが能動的な理解だと説明しました。AIへの入力や音声入力と手書きの違いを問われると、手書きは「手が止まることがある。そこで初めて、自分は分かっていないと気づく。

テキストを見ているだけだと止まらないので、分かった気になってしまう」と述べました。思いつきは音声入力で残す一方、しっかり考えたいときは手書きを選ぶと良い、「考えるスピードと手書きのスピードが合っている」と語りました。

 佐々木氏は、AIは過去の膨大な学習データから知識を抽出するため「リニア(直線的)」で、出力が平均値や中央値に近づく傾向があると指摘。当時評価されていなかったゴッホのような絵は、19世紀末に生成AIがあっても出力されなかっただろうと例えました。そのうえで、すでにある知識同士を掛け合わせ、新しい発想を生み出す「触媒」となることが人間の役割だとし、「そのためには自分という存在が重要で、身体的な感覚やものの見方が必要」と語りました。

■ 人はAIと、仕事でどう向き合うべきか  

 佐々木氏は、「AIを導入しても生産性が上がらない」背景には、AIの活用が議事録の要約や資料作成など、事務処理の効率化にとどまる現状があると指摘。本来の価値は、人間が気づかなかった傾向を見つけ、ビジネスプロセスそのものを変えることにあり、「議論する相手」として使うべきだと語りました。

 清水氏は、AIを自分の思考の「拡張脳」として使うことを提言。効率化や検索エンジン代わりにとどまらず、「違う視点から見たらどう思うか」と問いかけ、思考の抜け落ちを補ってもらうことが大切だと説明。「『自分はこう考える』というものを渡さないと、AIから一般的な答えが出て、それでおしまいになってしまう」と述べ、AIと「共創」する関係性の重要さを強調しました。

 パネルディスカッション全体を振り返って清水氏は、企業変革のビジョンや求める人材像を描く場面を例に挙げ、「最初にAIにどんどん広げてもらい、真ん中ではみんなで手書きをして納得感が醸成される。『やっぱりこれだ』と最後に人間が決める。こういう使い方が、AI時代にはすごくいい」とまとめました。

 佐々木氏は、自らが登山や料理に関する書籍を執筆していることも踏まえ、「AI時代に人間に残るのは、生身の人間としての信頼性と、そこにつながる身体性。料理は手、登山は足。手書きも同じ『手仕事』として身体に直接つながる営みで、手で書くことによって初めて、AIの到達しにくいノンリニアな思考につながる可能性が出てくる」と締めくくりました。

Goodnotesの今後の展開

スティーブン・チャン(Goodnotes Limited Founder&CEO)

 イベント後半では、Goodnotesの今後の展開を紹介しました。はじめに、Goodnotesをはじめとする複数のプロダクトを展開する「Good Systems」の構想に触れ、創業者兼CEOのスティーブン・チャンによるビデオメッセージを上映しました。

 ビデオメッセージでは、新たなプロダクトであるAI議事録ツール「Goodmeet」を紹介。会話内容のプライバシー保護に配慮した設計を特長とし、「書くこと」を支えるGoodnotesと、「話すこと」を支えるGoodmeetという、それぞれの製品の役割を示しながら、「グッドな思考をグッドな成果へ。」というミッションを語りました。

※Goodmeetのベータ版は現在、Appleシリコン搭載Mac、メモリ16GB搭載のWindows 11、iOS 17以降のiPhoneで無料でお試しいただけます。日本語版は現在テスト中で、提供開始時期は今後発表される予定です。

 さらに、日本市場での今後の取り組みとして、シングルサインオンや請求書払いなど法人向け機能の開発や、Goodnotes Educationの無償提供によるGIGAスクール構想の支援を掲げ、12月に開催される「JAPAN BUILD TOKYO」への3年連続の出展も発表しました。

 最後にミン・トランは、AIがあらゆる問いに答えられる時代だからこそ、自分自身の考えに価値があると強調。

 Goodnotesは手書きから始まる思考をAIの力でよい仕事へとつなげる場であり続け、日本のユーザーとともに製品を進化させていく考えを示しました。 


ミン・トラン

Goodnotes Limited Chief Operating Officer

イェール大学で心理学学士号、香港大学で教育学博士号を取得。米国・香港で教育者としてキャリアを始め、EF Education FirstやBloomKKCA Academyで教育プログラム開発や事業戦略に従事。2022年にGoodnotesへ参画し、VP of Operationsを経てCOOに就任。

Goodnotesについて

Goodnotesは2011年に香港で創業された、世界をリードするデジタルノートアプリです。世界2,600万人以上が利用し、App Store「iPad App of the Year」、Google Play「Best of 2025」を受賞。平均評価4.75/5を獲得し、App Storeの生産性カテゴリ1位を維持しています。また、教育・建築・法律など多様な分野の法人にも導入され、幅広い現場で活用されています。

社名:Goodnotes Limited

設立:2011年

CEO:Steven Chan

従業員数:296名(2025年1月時点)

拠点:ロンドン

公式サイト:https://www.goodnotes.com/jp

Goodmeetについて

製品紹介ページ:https://goodmeet.com/ja#how

紹介動画:https://youtu.be/Tn-6JfjrASc


Goodnotes AIで、手書きのアイデアをさらに活用

Goodnotesでは、手書きで自由に考えを広げながら、その後の検索や整理、発展をAIがサポートする「Goodnotes AI」を提供しています。

① ノート内の情報を横断検索し、AIがチャット形式で回答

入力したテキストだけでなく、手書き文字やPDF、画像、図表など、ノートに蓄積された情報を横断して検索できます。AIがチャット形式で質問に回答するため、過去のメモや資料から必要な情報を探し出し、アイデアの整理や情報収集に活用できます。

② 手書き文字を認識し、編集可能なテキストに変換

手書きした文字を認識し、編集可能なテキストに変換できます。また、スペルチェックや文章の調整にも対応。手書きで自由に書き出した内容を、読みやすい文章に整え、資料作成や情報共有などに活用できます。

③ 音声を文字起こしし、会議内容をAIが要約

会議や打ち合わせなどの音声を録音・文字起こしし、その内容をAIが要約します。長時間の会議内容から重要なポイントを整理できるため、議事録の作成や会議後の振り返りなどを効率化できます。

④ 手書きの数式をAIが認識し、計算結果を提示

ノートに手書きした数式をAIが認識し、計算結果を提示します。手書きで考えを整理しながら計算内容を確認できるため、学習や業務における数値の確認など、さまざまな場面で活用できます。

⑤ アイデアを画像や図解ダイアグラムとして生成

手書きのメモやアイデアをもとに、AIを活用して画像や図解、ダイアグラムなどのビジュアルを生成できます。頭の中にあるアイデアを視覚的に整理し、企画の具体化や資料作成など、次のアウトプットにつなげることができます。

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会社概要

Goodnotes Limited

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URL
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業種
情報通信
本社所在地
1 Bartholomew Lane,London, United Kingdom EC2N 2AX
電話番号
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代表者名
Steven Chan
上場
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資本金
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設立
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