子どもの目の健康と太陽光を浴びる屋外活動との関連を調査する共同研究を慶應大などの産学連携チームで実施
広く社会に向けた近視の正しい理解と、進行予防に関する知識の普及、啓発を行う「近視予防フォーラム」(発起人代表:坪田一男)は、慶應義塾大学医学部眼科学教室、国立赤城青少年交流の家、株式会社坪田ラボとの4者による産学連携の取り組みとして、子どもの屋外活動(外遊び)と目の健康の関連性を調査する共同研究を実施します。
研究の背景① バイオレットライトの近視抑制効果の発見
近年、近視研究は目覚ましい進歩、発展を遂げています。中でも重要な成果が、慶應義塾大学チームによる「バイオレットライトの近視抑制効果の発見とその機序の解明」です。バイオレットライトとは、太陽光の中に含まれる波長360~400nm(ナノメートル)の光。この光が目に入ると、網膜にあるOPN5という光受容体に作用し、網膜の外側にある脈絡膜の血流を増加させることが報告されました。脈絡膜は血流が低下すると薄くなり、それが近視を引き起こす原因であることがわかっています。バイオレットライトを浴びることは、近視の抑制に効果がある可能性が報告されています。
一方、バイオレットライトは窓ガラスやメガネ、コンタクトレンズに一般的に使われている紫外線カットガラスではほぼ100%遮断されるため、室内ではほとんど浴びることができません。世界中、特にアジア地域での爆発的な近視人口の増加は、私たちが屋外で太陽光を浴びる時間が劇的に減っていることと関連がある、と指摘されています。
研究の背景② 2021年度研究での成果
昨年度、国立赤城青少年交流の家で子どもたちを対象に行われた夏休みの屋外活動プログラム※と連携する形で、滞在1週間の初日と最終日に参加者の小中学生17名(平均12±1歳)の目のバイオメトリー(生物統計学的)データを測定、収集する探索的研究が実施されました。その結果、登山や野外炊事などで1週間集中的に野外活動をするだけで、脈絡膜の厚さが有意に増加したことが確認されました。このことは、アメリカのデンバーで2022年5月に開催されたARVO(The Association for Research in Vision and Ophthalmology)2022でも発表され、学術誌「Ophthalmology TIMES」でも取り上げられております。
※Short period of intensive outdoor activity results in increased choroidal/central corneal thickness
https://www.ophthalmologytimes.com/view/short-period-of-intensive-outdoor-activity-results-in-increased-choroidal-central-corneal-thickness
研究概要
昨年に引き続き、2022年度の研究は、「あかぎ無限大キャンプ」と題して行われる国立赤城青少年交流の家主催の小学生向けキャンプと連携して行います。行程は事前キャンプ(7月9日~10日)、本キャンプ(8月6日~13日)、事後キャンプ(9月17日~18日)で、小学5・6年生を対象に参加者を募集しました。キャンプの参加者のうち希望者に眼科的検査を実施し、屈折値や眼軸長など眼のバイオメトリーデータを測定するほか、近視などに関連すると考えられている環境因子についても質問票で評価します。
■検査対象者
国立赤城青少年交流の家「あかぎ無限大キャンプ」参加の小学生
■検査内容
近視の状態と近視関連因子(ドライアイ・アレルギー性結膜炎など)の変化
1.主要評価項目
検査機器を用いた眼球パラメーター(屈折値、収差、瞳孔径、眼軸長、水晶体厚、脈絡膜厚など)の変化量(1週間のプログラム参加前後での比較)
2.副次的評価項目
ドライアイ(シルマーテスト及びストリップメニスコメトリー)、アレルギー性結膜炎の変化(質問表)
3.探索的評価項目
近業(近くを見る作業)の際の目から対象物までの距離、屋外活動時間、近業時間、睡眠時間、両親の近視、眼鏡装用者の眼鏡の種類などのアンケート項目(質問表)
■検査担当者
慶應義塾大学医学部眼科学教室 医師1名、視能訓練士数名
「あかぎ無限大キャンプ」開催要項
・対象:小学5・6年生
・参加者数:24名
・会場:国立赤城青少年交流の家(群馬県前橋市富士見町赤城山27)
研究の展望
脈絡膜厚と近視には関連性が認められており、近視が強いと脈絡膜が薄くなることが報告されています。2021年度の調査では、1週間という短期間の屋外活動で近視の進行抑制効果が見出され、今後より大規模かつ長期間の調査、検証が必要と考えられます。その先駆けとして、2022年は2カ月弱にわたって行われる事前キャンプ、本キャンプ、事後キャンプと連携した検査を行います。また同地域にするキャンプ不参加の子どもを対照群として近業時間などの生活習慣も調査し、近視の進行、抑制に関連する他の因子の探索も進めていきます。
※昨年度行われた夏休みの屋外活動プログラム「限界突破キャンプ」は、 公益財団法人 安藤スポーツ・食文化振興財団 第20回記念トム・ソーヤースクール企画コンテスト一般部門で、最優秀賞(安藤百福賞)を受賞しました。受賞内容の詳細は、自然体験.comをご覧ください。
http://www.shizen-taiken.com/
近年、近視研究は目覚ましい進歩、発展を遂げています。中でも重要な成果が、慶應義塾大学チームによる「バイオレットライトの近視抑制効果の発見とその機序の解明」です。バイオレットライトとは、太陽光の中に含まれる波長360~400nm(ナノメートル)の光。この光が目に入ると、網膜にあるOPN5という光受容体に作用し、網膜の外側にある脈絡膜の血流を増加させることが報告されました。脈絡膜は血流が低下すると薄くなり、それが近視を引き起こす原因であることがわかっています。バイオレットライトを浴びることは、近視の抑制に効果がある可能性が報告されています。
一方、バイオレットライトは窓ガラスやメガネ、コンタクトレンズに一般的に使われている紫外線カットガラスではほぼ100%遮断されるため、室内ではほとんど浴びることができません。世界中、特にアジア地域での爆発的な近視人口の増加は、私たちが屋外で太陽光を浴びる時間が劇的に減っていることと関連がある、と指摘されています。
研究の背景② 2021年度研究での成果
昨年度、国立赤城青少年交流の家で子どもたちを対象に行われた夏休みの屋外活動プログラム※と連携する形で、滞在1週間の初日と最終日に参加者の小中学生17名(平均12±1歳)の目のバイオメトリー(生物統計学的)データを測定、収集する探索的研究が実施されました。その結果、登山や野外炊事などで1週間集中的に野外活動をするだけで、脈絡膜の厚さが有意に増加したことが確認されました。このことは、アメリカのデンバーで2022年5月に開催されたARVO(The Association for Research in Vision and Ophthalmology)2022でも発表され、学術誌「Ophthalmology TIMES」でも取り上げられております。
※Short period of intensive outdoor activity results in increased choroidal/central corneal thickness
https://www.ophthalmologytimes.com/view/short-period-of-intensive-outdoor-activity-results-in-increased-choroidal-central-corneal-thickness
研究概要
昨年に引き続き、2022年度の研究は、「あかぎ無限大キャンプ」と題して行われる国立赤城青少年交流の家主催の小学生向けキャンプと連携して行います。行程は事前キャンプ(7月9日~10日)、本キャンプ(8月6日~13日)、事後キャンプ(9月17日~18日)で、小学5・6年生を対象に参加者を募集しました。キャンプの参加者のうち希望者に眼科的検査を実施し、屈折値や眼軸長など眼のバイオメトリーデータを測定するほか、近視などに関連すると考えられている環境因子についても質問票で評価します。
■検査対象者
国立赤城青少年交流の家「あかぎ無限大キャンプ」参加の小学生
■検査内容
近視の状態と近視関連因子(ドライアイ・アレルギー性結膜炎など)の変化
1.主要評価項目
検査機器を用いた眼球パラメーター(屈折値、収差、瞳孔径、眼軸長、水晶体厚、脈絡膜厚など)の変化量(1週間のプログラム参加前後での比較)
2.副次的評価項目
ドライアイ(シルマーテスト及びストリップメニスコメトリー)、アレルギー性結膜炎の変化(質問表)
3.探索的評価項目
近業(近くを見る作業)の際の目から対象物までの距離、屋外活動時間、近業時間、睡眠時間、両親の近視、眼鏡装用者の眼鏡の種類などのアンケート項目(質問表)
■検査担当者
慶應義塾大学医学部眼科学教室 医師1名、視能訓練士数名
「あかぎ無限大キャンプ」開催要項
・対象:小学5・6年生
・参加者数:24名
・会場:国立赤城青少年交流の家(群馬県前橋市富士見町赤城山27)
研究の展望
脈絡膜厚と近視には関連性が認められており、近視が強いと脈絡膜が薄くなることが報告されています。2021年度の調査では、1週間という短期間の屋外活動で近視の進行抑制効果が見出され、今後より大規模かつ長期間の調査、検証が必要と考えられます。その先駆けとして、2022年は2カ月弱にわたって行われる事前キャンプ、本キャンプ、事後キャンプと連携した検査を行います。また同地域にするキャンプ不参加の子どもを対照群として近業時間などの生活習慣も調査し、近視の進行、抑制に関連する他の因子の探索も進めていきます。
※昨年度行われた夏休みの屋外活動プログラム「限界突破キャンプ」は、 公益財団法人 安藤スポーツ・食文化振興財団 第20回記念トム・ソーヤースクール企画コンテスト一般部門で、最優秀賞(安藤百福賞)を受賞しました。受賞内容の詳細は、自然体験.comをご覧ください。
http://www.shizen-taiken.com/
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