イベント開催レポート『「認知症施策推進大綱」における予防活動の課題と社会実装』メディア説明会
認知症予防・治療の第一人者 新井平伊が、自治体における認知症予防の取り組みの課題と対策/注目される次世代アルツハイマー病治療薬の最新動向と社会的意義を解説
現在国が発表している認知症患者数の推定予測や、ガイドラインとして提示している「認知症施策推進大綱」に基づいて「予防」に対する具体的なアプローチや対策が非常に重要になってきています。
6月23日(金)、新井平伊は①認知症の予防対策に対する考え方、②具体的な取り組みとしてスタートする全国初の自治体向け予防パッケージ「オンライン健脳カフェ」の導入意義、③次世代アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の最新動向と社会的意義を解説するメディア説明会を実施しました。
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【講演①】
初の自治体向け認知症予防パッケージ「オンライン健脳カフェ」導入の意義(アルツクリニック東京院長/順天堂大学名誉教授・新井平伊先生)
● 医学的・社会的背景●
疫学的研究に基づきWHOにより認知症予防法の提言がされ、我が国でも令和元年「認知症施策推進大綱」が発出され、これまでの新オレンジプランと異なり「共生と予防」が主題となり、認知症の二次予防(発症を遅らせる)が社会的に重要となっています。
● 自治体の取り組みの現状●
これまでの自治体における認知症予防対策は、一定の事業費をかけている一方で、参加者が増えない課題があり、効率が悪い状況になっています。これまでの、時間と場所を設定した「集合方式」の取り組みはコロナ禍も影響し、ほとんどの取り組みが開催中止になるなど既に限界を迎えています。
● 「オンライン健脳カフェ」の導入意義●
「オンライン健脳カフェ」は「認知症施策推進大綱」対応の初めての認知症予防パッケージだと考えています。
いまや物を購入する習慣において、インターネットの利用は当たり前になっている時代になっています。認知症の予防対策も例外ではなく、インターネットを繋いで「いつでも、どこでも」予防活動が可能になることは予防対策の可能性を拡大させます。今回の初の自治体との取り組みにより、事業費や人件費を抑え、コロナ禍でも中断することなく、より多くの住民が予防活動に参加できる「オンライン健脳カフェ」は大きな意味を持ちます。
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【講演②】
次世代アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の最新動向と社会的意義(アルツクリニック東京院長/順天堂大学名誉教授・新井平伊先生)
● 医学的・社会的背景●
1906年にAlzheimer博士が初めてアルツハイマー病を発表し、20世紀は認知症研究の世紀と言えます。以降、研究はさらに進化し、1990年代には、画期的な治療薬ドネペジル(®︎アリセプト)が上市されましたが、あくまでも症状改善薬の域までには到達できていませんでした。
●「レカネマブ」の特徴と最新動向●
次世代アルツハイマー治療薬「レカネマブ」は、発症原因物質として重要視されている「アミロイドβ蛋白」に対する免疫療法として、初めて学術的に認容できるrisk/benefit (有意な有効性に比べ軽微な有害事象)をもった「疾患修飾薬」/「根治的治療薬」です。現時点においてこれまでの認知症研究の集大成ともいえる画期的な治療薬で、7月には米国FDAでの完全承認が予想され、日本においても早々に承認の動きが期待されています。
●将来的展望と最終目標●
認知症治療において、いかなる薬剤が開発されても、予防や治療における非薬物療法の必要性は変わりません。
認知症は進行性の疾患です。SCD(主観的認知機能低下)やMCIの段階で非薬物的予防介入と疾患修飾薬の併用により、二次予防だけでなく一次予防も可能になるかもしれないと考えます。
これらの対応により、65歳から80歳までの認知症患者数を半減させることが理論上は可能になります。
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【「オンライン健脳カフェ」の紹介】
「健脳カフェ」のプログラムやオリジナル動画をオンラインで視聴体験できる配信プラットフォームです。
・お身体の事情で「健脳カフェ」に足を運べない方
・遠方にお住まいの方
・「健脳カフェ」のプログラムを導入して未病、予防対策をしたい法人や団体様
などから「いつでも、自由に『健脳カフェ』の視聴や参加が出来る環境が欲しい」というご要望を頂く中で開設。「健脳カフェ」のプログラムやオリジナルコンテンツをオンラインで視聴可能、また毎週金曜日には特別プログラムとしてライブ配信も行っています。
「オンライン健脳カフェ」WEBサイト:https://alz.tokyo/kennocafe-online/
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【「健脳カフェ」の紹介】
認知症治療・予防の第一人者・世界的権威である新井平伊が、学術的・医学的知見により認知症の早期予防・未病の観点から、認知症予防に興味のある方、もの忘れが気になり始めた方、軽度認知障害(MCI)と診断された方、そのご家族の方を対象に、脳寿命の延伸に貢献するために開設した施設です。
「健脳カフェ」は、上智大学の老年心理学研究室、公益社団法人「認知症の人と家族の会 東京都支部」、公益財団法人「認知症予防財団」を中心に、一般社団法人「生涯健康社会推進機構」、「40代からの認知症リスク低減機構」、一般社団法人「日本音楽健康協会」、さらに予防・啓発活動に関わる各団体との産学の連携サポートにより認知症予防の啓発活動を進めております。
毎週月曜日から金曜日まで「運動や体操プログラム」「栄養教室」、上智大学 老年心理学研究室の学生さんとの世代間交流を中心に絵画や麻雀クラブ、編み物の会、ご家族の相談会など、認知症予防にとって必要な「頭、身体、心」に良い充実したプログラムを体験できます。
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【新井 平伊(あらい へいい)先生プロフィール】
アルツクリニック東京院長、順天堂大学名誉教授。順天堂大学医学部附属順天堂医院・メンタルクリニックで長年主任教授を務め、順天堂大学定年退職後の2019年より「ー情熱的な人生を送るためにー”Active Life with Zeal”」をテーマにした精神科・内科のクリニック・アルツクリニック東京を東京駅至近に開院。
長年の認知症の外来で培われた経験と最新の研究成果をもとに一般の方向けに書いた本「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書、2020年)は大きな話題となる。
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