【調査レポート】75歳以上で心身ともに自立してくらす「自立シニア」は71.0%が50歳以降にリノベーションや住み替えなどを経験。現在の住まいへの満足度が高く、「人を招ける住まい」を実現している。
75歳以上の1,000人を対象にした「100年人生 自立をかなえる住まいと暮らし」実態調査
「Good Over 50's®️」をコンセプトに超高齢社会における大人世代の住まいの在り方を提唱する一般社団法人ケアリングデザイン(東京都港区 / 代表理事:小野由記子)は、都市部に居住する75歳以上の男女1,000人を対象にした「100年人生 自立をかなえる住まいと暮らし」実態調査を実施しましたので、結果を報告します。
本調査では、身体的に自立し、精神的にも自律した生活をおくる「自立シニア」を抽出し、自立度の低い「低自立シニア」との住まいへの意識や満足度、暮らしを比較しました。
■調査結果のポイント
本調査では外出習慣や生活動作など身体的機能6項目と、意思決定など人生へのマインド8項目の回答を点数化することで自立度を設定。心身ともに自立してくらす「自立シニア」を抽出しました。(詳細はAppendix参照)
●「自立シニア」は39.0%。女性比率が高く、85歳以上の自立シニアは26.6%存在。
●「住まいの工夫が長く自立した生活につながる」と考える自立シニアは58.7%、「住まいの豊かさと幸せは関係している」と考える自立シニアは53.3%。
●自立シニアは71.5%が現在の住まいに満足し、ありたい暮らしを実現。特に「自宅に人を招くこと」の実現度は、低自立シニアとの間に大きな差がある。
●自立シニアの71.0%が、シニア期の生活を豊かにするために50歳以降住まいに対する取り組みを実施している。
・自立シニアの50歳以降の取り組み内容は「物の整理」(45.9%)、「リフォーム/リノベーション」(40.5%)、「家具の修繕・買い替え」(19.7%)、「住み替え」(19.2%)。
・自立シニアの50歳以降のリフォーム/リノベーション内容トップ10は「トイレの改修」「浴室・洗面所の改修」「照明の光源の交換」「キッチンの改修」「床や室内壁、外壁の改修」「家具やカーテンの買い替え」「暑さ・寒さへの対策」「段差解消や手すりの設置」「断熱の強化」「間取りの変更」。
・自立シニアの住み替え理由は「交通や買い物の利便性向上」(38.7%)、「住宅性能の向上」(33.3%)、「自分らしい暮らしや、やりたいことの実現」(24.0%)。
●自立シニアは趣味や読書など「自分を楽しませる時間」をもっている。
■調査結果の詳細
1. 自立シニアと判定されたのは39.0%
自立度の構成を見ると、自立シニア(自立度高)は39.0%、低自立シニア(自立度低)は22.1%でした。
2. 自立シニアは女性比率が高く、85歳以上の自立シニアは26.6%存在
自立シニアをセグメント別に見ると、性別では「女性」が高い(「男性」比+13.2%)結果でした。年齢別では、年齢が上がるほど自立シニアの構成は下がるものの、「85歳以上」でも26.6%が該当しました。同居家族別では「一人暮らし」でもっとも自立シニアの構成が高くなりました。
3. 自立シニアは住まいの工夫と自立、住まいの豊かさと幸せのつながりを認識している
「住まいを工夫することで、長く自立した生活ができる」と考える人は、自立シニアで58.7%の一方、低自立シニアでは19.9%にとどまりました。
また、「住まいの豊かさと幸せは関係している」と考える人は自立シニアで53.3%、低自立シニアで19.0%でした。
自立シニアは住まいの工夫が自立した暮らしにつながり、住まいと幸せが結びついていると認識していることがわかりました。
4. 自立シニアは住まいに満足している人が71.5%
現在の住まいの満足度について、10(とても満足)〜0(とても不満)の11段階で尋ねた結果を「満足」(10~8点)「普通」(7~5点)「不満」(4~0点)で分類しました。自立シニアは「満足」が71.5%と7割を超える結果となりました。一方で、低自立シニアでは「満足」は36.2%にとどまりました。
自立シニアは住まいへの満足度が高いことがわかりました。
5. 自立シニアは「人を招ける住まい」を実現している
ありたい暮らしの実現度*に関して尋ねると、自立シニアはさまざまな項目で実現度が高いことがわかりました。特に「自宅に人を招くこと」については75.1%が実現しており、低自立シニア(31.0%)との間に大きな差が見られました。
*ありたい暮らしの実現度とは、各項目に対する重視度(「大切にしている」「気にはしている」「特に気にかけていない」の3択)を尋ね、「大切にしている」「気にはしている」という回答者に対して、現状に満足しているかを問うた結果。
6. 自立シニアの71.0%が50歳以降に住まいに関する取り組みを実施
50歳以降、シニア期の生活を豊かなものにするために住まいに対して取り組みを実施した自立シニアは71.0%にのぼりました。一方で、低自立シニアでは49.8%にとどまりました。
心身の変化やライフスタイルの変化に応じて、住まいをアップデートすることが自立した暮らしにつながることがわかりました。
7. 50歳以降、自宅をリフォーム / リノベーションした自立シニアは40.5%、住み替えをしたのは19.2%
自立シニアが50歳以降に実際に行った取り組みの内訳は、断捨離や収納の見直しといった「物の整理」(45.9%)、「リフォーム / リノベーション」(40.5%)、「家具の修繕、買い替え」(19.7%)、「住み替え」(19.2%)という結果になりました。
8. 自立シニアは水回りや温熱環境のリフォーム/リノベーションに積極的
自立シニアのリフォーム/リノベーションの内容トップ10は「トイレの改修」(70.3%)、浴室暖房の設置を含む「浴室・洗面所の改修」(69.0%)、LED化など「照明の光源の交換」(63.3%)、「キッチンの改修」(62.7%)、「床や室内壁、外壁の改修」(61.4%)、「家具やカーテンの買い替え」(43.7%)、「暑さ・寒さへの対策」(38.6%)、「段差解消や手すりの設置」(31.6%)、「断熱の強化」(24.7%)、「間取りの変更」(22.2%)でした。
自立シニアは経年劣化に対応する修繕だけでなく、「トイレ」「キッチン」といった水回りの設備更新や、「浴室・洗面所」「暑さ・寒さへの対策」「断熱の強化」といった温熱環境の整備を積極的に行っている様子が見えてきます。
9. 自立シニアは「利便性」「住宅性能」と「自分らしい暮らし」を念頭に住み替え
50歳以降に住み替えを行った自立シニアの住み替え理由は「交通や買い物の利便性向上」(38.7%)、「住宅性能の向上」(33.3%)、「自分らしい暮らしややりたいことの実現」(24.0%)、「公共施設や医療機関の充実」(22.7%)が上位になりました。
自立シニアは生活の利便性や高い住宅性能だけでなく、自分らしい暮らしややりたいことの実現をも視野に入れて住み替えをしていることが明らかになりました。年齢にともなう心身の変化に対応するだけでなく、これからの時間をアクティブに過ごそうとする積極的なマインドが垣間見えます。
10. 自立シニアは趣味や読書など「自分を楽しませる時間」をもっている
自分にとって「心地よい時間」はどのようなものかを尋ねたところ、自立シニアは「趣味の活動」「お茶・コーヒーを飲む時間」「読書を楽しむ時間」が上位に上がりました。趣味や読書など「自分を楽しませる時間」をもっていることがわかりました。また、自立シニアは「ない・わからない」が上位に入らないことからも、自ら気持ちを整え自分を楽しませる暮らしをしている人が多い様子がうかがえました。
【調査概要】
調査期間:2024年9月20日(金)〜9月23日(月)
調査目的:シニアの「自立・自律」と「住まい・暮らし」の関連を探る
調査対象:75歳以上の個人1,000人
(東京都または全国の政令指定都市在住者で、男女各500サンプル)
調査方法:インターネット調査
お問い合わせ:一般社団法人ケアリングデザイン
info@caring-design.or.jp
本調査は日本財団の助成プログラムの支援を受けて実施しました
【調査結果に関するシンポジウム】
2025年3月7日(金)
東京都港区での会場参加とオンライン配信によるハイブリッド方式
詳細および申し込みはPeatixにて承ります
【ケアリングデザインについて】
一般社団法人ケアリングデザイン Caring Design Association
〒107-0062 東京都港区南青山6-1-32 #110
設立:2013年6月
代表理事:小野由記子
ビジョン:50代以降の大人世代の住まいを豊かにする「Good Over 50’s®️」と医療・看護・福祉のケア空間をもっとここちよくする「Design for Care®️」の実現
事業内容:プロジェクト企画受託、デザイン監修、建築・インテリア設計、セミナー・デザイン展企画運営、企業研修、執筆・出版
リスキリングプログラム「Caring Design EXPERT講座・検定」の企画・運営
Caring Design Learning Lab:https://www.cdll.caring-design.or.jp
コーポレートサイト:https://caring-design.or.jp
問い合わせ先:info@caring-design.or.jp
■Appendix
自立シニアの抽出プロセス
本調査では身体的に「自立」し、精神的にも「自律」したシニアを抽出するため、下記のプロセスで「自立度」を設定した。自立度「高」と判定された390人を「自立シニア」、自立度「低」と判定された221人を「低自立シニア」と定義した。
(1)身体的「自立」の算出
身体的「自立」に関する6つの設問の回答を得点化し、合計値で設定
<設問と得点>
①食材の買い物、食事の準備、掃除や洗濯、生活費などお金の管理の4項目
・自分でしている:3
・自分でもできるがしていない:2
・自分ではできない:1
・その他:1
②自宅内の移動や歩行
・一人で歩ける:4
・場所による手すりや家具につかまって歩く:3
・杖や歩行器を使っている:2
・車椅子を使っている:1
③日常的な外出
・自分で外出でき、している:4
・自分で外出できるが、あまりしていない:3
・付き添いやサポートを得ながら、外出している:2
・外出していない:1
(2)精神的「自律」の算出
精神的「自律」に関する8つの設問の回答を得点化し、合計値で設定
<設問>
・自分の意見や行動には責任を持っている
・人から指図されるよりは自分で判断して行動する方だ
・趣味や楽しみ、好きでやることを持っている
・状況や他人の意見に流されないほうだ
・何か夢中になれることがある
・何か人のためになることをしたい
・これからの人生に目的を持っている
・自分の考えに自信を持っている
<選択肢と得点>
・当てはまる:4
・やや当てはまる:3
・あまり当てはまらない:2
・当てはまらない:1
(3)自立度の設定
(1)(2)の結果を下表の通り掛け合わせをして最終的な「自立度」を設定した。
自立度「高」と判定された390人を「自立シニア」、自立度「低」と判定された221人を「低自立シニア」と定義した。
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