早期アルツハイマー病を対象としたLIPUS-Brain超音波治療装置の検証的治験計画届を提出

LIPUS-Brain経頭蓋低出力パルス波超音波治療装置の早期アルツハイマー病に対する有効性及び安全性を評価するための検証的試験(二重盲検ランダム化比較試験)の開始に向けて、SWIが治験計画届を提出

認知症治療において、世界に先駆けた医療用治療機器であるLIPUS-Brain経頭蓋低出力パルス波超音波治療装置の社会的実装を目指すサウンドウェーブイノベーション株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:加藤肇、以下当社)は、早期アルツハイマー病患者を対象としたLIPUS-Brain経頭蓋低出力パルス波超音波治療装置の有効性及び安全性を評価するための検証的試験について、2023年5月26日付で独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験計画届書を提出し受理されました。

【背景】

現在、日本には約600万人、世界には約6000万人の認知症患者が存在し、この数は2050年には1億5000万人に達すると予測されています(※1 ※2)。また、認知症全体のうちアルツハイマー病(AD)が約7割、脳血管性認知症(VaD)が約2割と、この2種類で認知症の大半を占めています。 しかしながら、認知症に対して安全で有効性の高い治療法は存在せず、治療方法の確立は世界的な大きな社会課題となっています。LIPUSは、人間に本来備わる自己治癒力を、体外から超音波を照射することで活性化させる革新的な治療技術であり、これまでの探索的治験を通じて、認知症に対する高い安全性と有効性が強く示唆されています。


※1 日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究(厚生労働科学研究費補助金厚生労働科学特別研究事業、2014年)


※2 世界の認知症患者数推計:The Lancet Public Health 「Estimation of the global prevalence of dementia in 2019 and forecasted prevalence in 2050」

https://doi.org/10.1016/S2468-2667(21)00249-8


【本治験について】

LIPUS治療は、低侵襲で安全性が高い特殊な超音波を使って人体に備わる自己治癒力を活性化させることで、既存の医薬品や医療機器では治療が困難な様々な疾患の治療を可能とする革新的な治療技術です。

超音波は、40年以上前から、心エコー検査や腹部エコー検査として世界中の医療現場で使われています。その安全性も確立しており、妊婦や小児をはじめ、あらゆる方に広く使用されています。

今回行われる超音波治療では、超音波を当てる条件を、診断用の設定から照射条件を変更することで治療装置へ応用し、治療を行います。治療に用いられる超音波(LIPUS)の出力は、診断に用いられる範囲内の出力ですので、安全性も問題ないと考えられます。治験治療は、頭にヘッドセットを装着し、両側頭部のこめかみに近い部分に固定したプローブから超音波を出すことにより行います。


今回の治験は、全国15施設において、合計220名(実治療群110名、プラセボ治療群110名)の患者さんに参加していただき、実治療群(実際に超音波治療を受ける)とプラセボ治療群(超音波が出ないように設定した装置を用いるため、超音波治療を受けない)のいずれかに、無作為に割り当てて行う予定です。(二重盲検ランダム化比較試験)


近年、認知症の原因を脳血管障害と捉える観点から、超音波治療が注目されており、動物実験でその有効性と安全性が報告されています。東北大学病院の循環器内科においても、脳血管性認知症とアルツハイマー病の動物実験において、全脳に対して超音波(LIPUS)を当てることで認知症の進行を抑制することを確認しました(※3)。さらにこの超音波治療を行なったマウスには死亡などを含めた明らかな合併症を認めませんでした。22例の早期アルツハイマー病患者を対象に実施した探索的治験でも安全性が確認され、有効性が強く示唆されました(※4)。この超音波治療の有効性や安全性がヒトの認知症に対しても認められれば、これまでの薬物療法とは別の新たな認知症治療法となることが期待できます。


※3 Eguchi K, Shmokawa H, et al.  Whole-brain low-intensity pulsed ultrasound therapy markedly improves cognitive dysfunctions in mouse models of dementia-Crucial roles of endothelial nitric oxide synthase- Brain Stim. 11:959-973,2018.

https://www.cardio.med.tohoku.ac.jp/2020/jp/res/pr/files/press20180619.pdf


※4 下川教授の早期アルツハイマー病に対する超音波治療の探索的治験の結果がTohoku Journal of Experimental Medicineにオンライン掲載されるとともに、東北大学からプレスリリースされました

https://sw-innovation.com/news/paper/1132/



【当社創業者・取締役会長 下川宏明のコメント】

アルツハイマー病と動脈硬化性疾患は、危険因子や予防法など多くの共通点があります。私は、アルツハイマー病も始まりは血管病であり、微小循環障害に伴う慢性炎症の進行がその原因ではないかと仮説を立てて研究を行ってきました。私が発見した超音波(LIPUS)治療の微小循環障害や慢性炎症に対する改善効果は、アルツハイマー病のマウスモデルで確認され、小数例で実施した探索的治験でも安全性が確認され有効性が強く示唆されました。これを受けて、LIPUS治療機器が2022年9月30日付けで厚労省の「先駆的医療機器」の第1号に指定されました。これから3年をかけて検証的治験を実施することにより、最終的に有効性と安全性を確認し、一日も早く、このLIPUS治療をアルツハイマー病の患者さんやご家族にお届けしたいと思います。


【サウンドウェーブイノベーション株式会社 概要】

会社名:サウンドウェーブイノベーション株式会社

所在地:東京都中央区日本橋堀留町1-9-10

代表者:加藤 肇

URL:https://sw-innovation.com/


【当社創業者・取締役会長 下川宏明の略歴】

九州大学医学部医学科卒業(医学博士)。九州大学循環器内科に14年間在籍、2005年東北大学医学系研究科教授、2020年より同大学名誉教授・医学系研究科客員教授(現任)。国際医療福祉大学副大学院長(現任)、久留米大学客員教授(現任)。2020年4月に当社を創業し、取締役に就任。2022年より当社取締役会長兼CMO(Chief Medical Officer)

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ビジネスカテゴリ
医薬・製薬
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会社概要

URL
https://sw-innovation.com/
業種
製造業
本社所在地
東京都中央区日本橋兜町5-1 FinGATE BASE 4階
電話番号
-
代表者名
加藤肇
上場
未上場
資本金
4億1496万円
設立
2020年04月