宇都宮市の水道管の漏水をAIで発見する実証を官民連携で開始
wavelogy株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役:道上 竣介、以下 wavelogy)とKDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 CEO:髙橋 誠、以下 KDDI)は2025年3月1日から、宇都宮市上下水道局とともに、水道管の漏水をAIで発見する実証を開始します(以下 本実証)。
本実証では、宇都宮市上下水道局の漏水調査エリアにおいて、wavelogyのAI漏水検知ツール「SuiDo」の有用性を検証します。まずは、漏水音データ収集の運用確立およびデータ収集から開始し、AI漏水判定の確度 向上にも取り組みます。
本実証の結果をもとに、水道管の漏水調査業務の効率化と人手不足の解消に向け、2028年度の実用化を目指します。
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<漏水検知ツールと収集したデータの可視化イメージ>
背景
現在の水道インフラは高度経済成長期に整備されたものが多く、年間2万件以上の漏水・破損事故が発生する(注)など、経年劣化を原因とした漏水事故が増大しています。
一方で、漏水調査に必要な技術は専門性が高く、技術者の確保・育成・技能の伝承などが、人口減少による人手不足で困難になっています。また、地震などの自然災害が水道インフラに与える損害は大きく、調査・復旧作業における人手不足の解消と効率化が急務となっています。
wavelogyとKDDIは、これらの技術者不足、復旧作業の長期化などの課題について、宇都宮市上下水道局とともに、AI・ICTの活用による解決に向けた協議を行い、本実証に至りました。
本実証について
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概要
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特定の技術・技術者によらない漏水音データの収集技術の検証
特定の技術者に依存せず、漏水音を効果的に収集する手法を検証します。具体的には、漏水調査を「漏水音の収集」と「漏水診断」の2つに分け、簡便なツールを用いて漏水音の収集を効率化する取り組みを行います。また、収集した漏水音データをモバイルネットワークで分析環境へ迅速に伝送することで、調査や復旧作業の効率を向上させることを確認します。
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収集された漏水音データのAIによる解析・漏水診断
収集した漏水音から漏水診断を行うプロセスをAIがサポートすることで、技術者不足による調査・復旧作業の遅延を回避し、対応の迅速化への有効性を確認します。
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専門技術者によるAI漏水診断の確度向上検証
専門の漏水調査技術者がAIの診断結果を分析しフィードバックすることで、AIの診断確度を向上させることを検証します。
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漏水判定・診断の可視化、漏水音データを活用した技術者育成支援ツールの検証
専門技術者の判定結果および漏水音データを統合・可視化するプラットフォームを提供し、漏水調査の効率化だけでなく、技術者の育成にどのように寄与するかを検証します。
これらの検証を通じて、漏水調査業務に携わる技術者の作業負荷軽減や、技術者の知見を生かしたAI診断の確度向上、さらには次世代技術者の育成に貢献し、水道管の漏水調査業務の効率化と人手不足の解消を目指します。
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実証場所
宇都宮市上下水道局における漏水調査エリア
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実証期間
2025年3月1日から2026年3月31日:漏水音データ収集の運用確立、データ収集・蓄積
2026年度:AI漏水判定の確度向上(予定)
以降は年度毎にテーマを決め実証を実施
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各社の役割
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wavelogy:漏水音データの収集に関する機器提供、漏水音データ蓄積・解析、AIアプリの提供
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宇都宮市上下水道局:漏水調査フィールドの提供、漏水音データの収集、管路情報などの提供
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KDDI:収集した漏水音データ伝送のための通信提供、本実証の設計
wavelogyとKDDIは、今後も地域の防災強化への貢献と、安心安全な社会の実現に向け取り組んでいきます。
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(参考)
「SuiDo」について
SuiDoは、漏水音アップロードデバイス、漏水音共有GIS(Geogragphic Information System)プラットフォーム、漏水診断AIから構成され、漏水調査現場である管路・弁、路面上で集音された音をオンライン上で共有し、漏水場所の予測とレポートの作成を自動で生成するソフトウェアです。SuiDoの導入によって、現在行なっている漏水判断の80%をAIに置き換えることで、集音業務は誰でも可能に・漏水判断業務は現在のリソースで4倍以上識別可能にすることを目標としております。
詳細はこちらをご参照ください。
(https://wavelogy.jp/solution/)
(注)厚生労働省 医薬・生活衛生局水道課 2022年
「令和3年度全国水道関係担当者会議」(https://www.mlit.go.jp/common/830005185.pdf)
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