【三代目 革かばん職人の挑戦】
小さな背中から 母の暮らしへ。 ランドセルを編み継ぐ かばん職人の手仕事。

大阪市東成区で3代にわたり鞄を作り続けてきた「かばん屋 今村」は、役目を終えた子供のランドセルを再生し、お母さんのためのバッグへと蘇らせるオーダーリメイクブランド【tumugi つむぎ】を立ち上げました。
このブランドは、「子供の成長」と「母のこれから」を“編む”というコンセプトのもと、
ランドセルをひも状に加工し、牛革と編み込んで美しくてしなやかなメッシュ素材を生み出す
新たな技法(同社調べでは業界初)を用いています。
従来の小物リメイクとは一線を画し、日常使いが出来る実用性とデザイン性を兼ね備えた
一点物のバッグを職人がオーダーリメイクと名付けた手作業で仕上げています。
【1】 若き三代目が継いだ鞄職人の道
私たちはレディースバッグメーカーとして、初代・今村勢一郎が1947年に創業。全国の百貨店問屋向けの商品を下請けメーカーとして製造・卸売してきました。
三代目である私は今から30年前、21歳の大学生のときに二代目である父の急逝により家業を継ぐことになりました。その頃はまだ長男が跡を継ぐのが当たり前、という時代でしたので、経営の知識や経験など何も無い私にその役目が回ってきたのです。
しかし、父親の営業力だけで経営していたような会社でしたので、継いで間もなく売り上げは激減し、弊社専属の外注職人さんに出す仕事もどんどん無くなっていき、頑張らないといけない!と思えば思うほど何をどう頑張ったら良いのかわからない苦しい状況が何年も続きました。

【2】 技術を求めて海外修行、エルメスの鞄を分解して学ぶ
この苦しい状況をなんとか打開するため、かばん職人としての技術を磨く決意をし、イタリアやフランスに何度も渡航。現地の職人のもとで鞄づくりを学びました。
特に「エルメス」の美しさと繊細な職人技に感銘を受け、エルメスの中古品を購入して解体し、構造や縫製技術を研究しながら売れる商品を開発するために悪戦苦闘を続けました。

【3】オーダーメイド職人としての20年、そして葛藤
そんなある日、たまたま雑誌で紹介された着物の裏地で作った私の鞄が京都の販売会社さんの目に留まり、全国の呉服店での販売会が始まりました。そこでの販売が非常に好評で、それから約20年かばんをセミオーダー形式でお作りし呉服店さんに卸売する下請け職人として作り続けてきました。
しかし、お客様と直接接することができない制約がありますので、本来ならお客様に出来るご提案などのオーダーメイドならではの自由度が損なわれがちになり、職人としてのもどかしさを抱え続けていました。

【4】「ランドセルを鞄に」友人の一言から生まれた【tumugi つむぎ】
そんな折、友人の奥様から「子供のランドセルで何か作ってほしい」と相談された
ことをきっかけに、新ブランド【tumugi(つむぎ)】が始まります。
その奥様は「インターネットでランドセルのリメイク商品を探してるけど、なかなか良いのが無いの。」と困っておられました。
ランドセルは素材が硬い上に使用できる面積も限られるので、リメイクする方法がどうしてもペンケースや写真立てなどの小物になってしまうのです。
そこで私は、なんとかそのランドセルをかばんに仕立て直し、奥様に日常使いしてもらえる方法はないか?と考えました。その時私は自身で制作したメッシュのかばんを持っていたのですが、その技法を利用してランドセルをメッシュにすることができないかと思いつきます。
それからすぐにネット販売されていた中古品のランドセルを購入し、かぶせ部分を細いひも状に加工して最適な厚みに調整し、当工房が定番素材として使用している柔らかな牛革に編み込んでみたところ、硬かったランドセルの素材をしなやかな素材に生まれ変わらせることに成功したのです。
その奥様は、子供が持っていたランドセルが普段使いできるメッシュのかばんに生まれ変わったことを大変喜んでくださいました。


【5】“想いを編む”オーダーリメイクという新しい挑戦
職人1人・アシスタント1人の小さな工房ながら、革の仕入れから裁断、縫製までの全工程を一貫して行い、「子供が6年間共に過ごしたランドセル」という大切な思い出と、「母のこれからの暮らし」というかけがえのない日常を繋ぐことで、私たち【tumugi つむぎ】のオーダーリメイクバッグがお客様の心豊かな優しい世界を少しでも彩ることができれば、と考えております。
今後はランドセルに限らず、思い出の詰まった革ジャンやブランドバッグなどを素材にしたオーダーメッシュも視野に入れ、より多くの人の心に寄り添う鞄づくりを目指しています。




会社名:今村勢株式会社
代表者:今村 幸平
住所 :〒537-0003 大阪市東成区神路3-13-13
電話 :06-6971-1326
メール:seinoji@gmail.com
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